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第44話 セキュリティの設置


「セキュリティの誤作動の方は大丈夫だったの?」


「はい。屋敷の周りに侵入者があった時に警報音を鳴らす結界を設置したのですが、この子が入ってくる設定をまだしていなかったので警報音が鳴ってしまいました……」


「警報音に驚いてこの子が暴れちゃったの」


「そっか。警報音だけでよかったよ」


 確かにこれから王都とこの屋敷を往復してもらうわけだし、屋敷のセキュリティにこのスターピジョンは例外として登録しないといけなかったようだ。


 アオイの話によると、警報音が鳴る魔道具だけでなく、侵入者を捕らえる魔道具も設置する予定だったらしいので、警報音だけで済んだのは不幸中の幸いだったな。


「レイン王子からの手紙によると、マジックバッグの中身を入れ替えて、外に飛ばせば王都まで向かってくれるそうね。中に入っているお水とエサをあげて、夜は休ませてほしいみたい」


「なるほど」


 こっちはマジックバッグの中身を入れ替えて、水とエサをあげて明日屋敷の外に出してあげればいいらしい。


 俺たちもちょうど晩ご飯の時間になったので、一緒にご飯を食べる。どうやらこの子のエサは乾燥した豆のようだ。思っていたよりもたくさんの豆をパクパクと食べている様子は可愛らしかった。


 あれだけの距離を一気に飛んでくるのだから、結構なエネルギーを消費しているのだろう。今日はゆっくりと休んでもらうとしよう。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「気を付けてね、ハヤテ」


「クルック~」


「おお、本当に一瞬で見えなくなった」


 翌日の朝、秋葉原で購入してきた漫画とフリーマーケットで売れ行きの良かった商品のリストのメモとケーキをマジックバッグに入れ、スターピジョンを屋敷の窓から見送った。


 真っ白い姿が一瞬で消えていく。日本にいる鳩やカラスの速さの比ではないな。


「ハヤテの速さなら他の魔物に襲われる心配もなさそうね」


「羽毛が柔らかくて気持ち良かった」


 ユウカの言う通り、ハヤテより速い魔物なんてほとんどいないように思える。身体もそれほど大きくないから旋回力もありそうだ。


 ちなみに昨日はこの子に疾からハヤテと名付け、3人で可愛がっていた。アオイの言う通り、ハヤテの身体はモフモフとした羽毛でとても触り心地がよかったな。また一週間後に来てくれるのが楽しみだ。




「これで完成です」


「おおっ、確かに全然目立たない。なるほど、認識が阻害されるとこんな感覚なのか」


 屋敷の入り口。扉の上に取り付けられているはずの監視カメラがそこにあるとわかっている俺でさえ、そこにあると気付けない。


 監視カメラそのままではあまりに目立ってしまうので、監視カメラのソーラーパネルとカメラ部分以外を屋根と同じ色の金属で覆い、さらにアオイが作ってくれた認識阻害の魔道具をはめ込むと、そこに監視カメラがあるなんてまったくわからなくなってしまった。


「あとは充電ができたらか。モニターで見るのは明日になりそうだな」


 最初はある程度充電されるまで監視カメラを起動できない。実際にうまくモニターに繋がり、警告音が鳴るかの確認は明日になりそうだ。


「監視カメラやモニターにケーブルがあると、一気に文明が進んだように見えるわね」


「確かに。祝福者がいる分、文明はある程度進んでいるけれど、やっぱり機械があると違って見える」


 ユウカとアオイの言う通り、この監視カメラやモニターは屋敷の様式とは若干異なって見える。


「魔道具の方も設置済みです。これで侵入者が入ってきてもすぐにわかります」


「お疲れさま。警報の魔道具と拘束の魔道具か。これで完璧だね」


 アオイが用意してくれた防犯用の魔道具の設置も終わったらしい。この屋敷に合わせてたった1日で制作から設置まで行ってくれるとは思ってもいなかった。


 まずは警告音が鳴る罠。昨日ハヤテが誤って引っかかってしまったやつだな。これは屋敷の入り口以外から屋敷の塀の中へ侵入すると、とても大きな警告音を出す魔道具らしい。もちろん俺たちやスターピジョンは例外に設定してある。


「侵入や襲撃をしてきたやつを捕らえるだけじゃなく、そのまま迎撃したかったですね」


「……昨日のハヤテみたいなことがあるかもしれないから、一旦は今ので大丈夫だと思うよ」


 もうひとつは拘束用の魔道具だ。警報音を鳴らす魔道具が鳴ってもさらに屋敷へ近付いてくるような侵入者に対しては拘束型の罠が起動する。


 最初はもっと過激な迎撃用の魔道具にしようと思っていた。こちらの世界だと危険な犯罪者が多く、犯罪者に対しての過剰な防衛などはそこまで厳しく言われないので、かなり攻撃的な魔道具でも問題はない。


 だけど、もしも俺が誤ってその罠を発動させてしまったら命に関わるレベルなので、拘束用の魔道具に変更してもらった。自分たちで仕掛けた罠にはまって死んでしまうのはさすがに勘弁だ。


 少しずつだけれど、こちらの世界の生活もより充実したものになってきたな。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 チリン、チリン。


「あれ、ハヤテがもう来たのかな?」


「予定だとハヤテが来るのは3日後じゃなかったかしら?」


 王都から帰ってきてから5日。この数日は久しぶりにのんびりと過ごすことができた。


 お昼の時間帯に屋敷の2階に設置してあるベルが鳴る。これはスターピジョンのハヤテが屋敷に来たら分かるように設置したものだ。あの子は賢いから、屋敷に着いたらベルを鳴らすように伝えるとすぐに理解してくれた。


 本来なら毎週日曜日の夕方に来て、月曜の朝に王都まで向かってくれる予定だったのだが、それまでまだ3日ある。


 なにか緊急の連絡でもあるのかな?


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― 新着の感想 ―
トラブルの予感?それか、祝福者が城に押しかけてきたとか?って、それも普通にトラブルwどんな用事か気になります!
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