第41話 日本のお土産
「カケルさん、ありがとうございました」
「こちらこそ、いただいたおにぎりはとてもおいしかったです。ユウカさんもすごく喜んでいましたよ」
「カケルお兄さん、お土産もありがとう!」
「うん、春華ちゃんもあと少し、リハビリを頑張ってね」
王都から帰ってきた翌日の朝、ユウカの実家へとやってきた。先日メールでは伝えていたけれど、改めておにぎりのお礼を伝える。
そして王都で購入してきた蜜菓子とガレットのようなお菓子、異世界っぽいデザインのネックレスや首飾りのアクセサリーなどのお土産を渡した。もちろん俺のセンスはあてにならないので、ユウカとアオイが選んでくれたものである。俺も異世界のお菓子を食べてみたけれど、ちゃんと砂糖も使ってあって結構おいしかった。
もうひとつのお土産である異世界の写真はすでにユウカのスマホからグループにあげてある。ファンタジーな生物であるスレイプニルや王都の街並みの写真はどれも見ているだけで楽しめるだろう。
……まあ、例の王城の写真は予想通りと言うべきか、ちょっと微妙な反応になったが。
「……アオイの実家も問題なさそうか」
ユウカの実家を出て、続けてアオイの実家を遠くから確認する。あれから一週間ほど経ったが、マスコミに囲まれているようなこともないようだ。
こっちの方も定期的に確認しておくとしよう。さて、このまま予約していたフリーマーケットへ向かい、お金を稼がないと。
「ただいま~」
「おかえりなさい。大丈夫だった?」
「うん。やっぱり土曜日は人が多いね。レインの用意してくれた物も結構売れたよ」
やはりフリーマーケットの土日のお客さんの数は平日の比じゃない。それに平日だと、身分証なしで参加できる場所が結構限られてしまうから、今後は基本的には土日だけ参加する方が効率はいいかもしれない。
「あれ、アオイは?」
「部屋にこもって屋敷用の魔道具を作っているみたいね。そろそろ晩ご飯にするから、呼んできてもらってもいい?」
「もちろん」
今の方からはおいしそうな香りが漂ってくる。今日は朝から夕方までフリーマーケットに参加していて、お昼は簡単なものですましたからお腹が空いた。今日の晩ご飯も楽しみだ。
「アオイ、そろそろ晩ご飯だって。入っても大丈夫?」
「はい、大丈夫です!」
アオイの部屋のドアをノックして、返事があったので、部屋の中へ入れてもらう。
「お帰りなさい、カケル様」
「た、ただいま。1日でこんなになったんだ?」
「はい。今日はいろいろと準備を整えたので、明日から本格的に作業をしていきます」
アオイの部屋は俺が借りている部屋と同じ、30㎡くらいの広い部屋だったのだが、たった1日で研究室っぽくなっていた。
本棚にはこちらの世界の本が並び、大きなテーブルの上にはフラスコや試験管などが並んでいる。何に使うか分からない魔法陣の刻まれた大きな道具はいかにも魔道具を作るための研究室だ。
「カケル様の方は大丈夫でしたか?」
「うん、やっぱり休日の方がお客さんは多かったね。前回と同様に値段を少し安めにしたおかげで結構売れてくれたよ。詳しいことはあとで話そうか。ちょっとしたお土産もあるよ」
「お土産……楽しみです」
「今日のご飯もおいしかったよ。たまに食べる中華料理もいいね」
「豆腐なんて久しぶりに食べた。この辛さもちょうどいいくらい」
「ふふっ、お粗末さま。中華スープの方はインスタントだけれどね」
今日の晩ご飯は麻婆豆腐と中華スープとご飯にサラダという献立だった。
アツアツでピリッとした豆板醤の辛みと滑らかな真っ白な豆腐とひき肉の旨み。一口食べると辛くて白いご飯が欲しくなり、ご飯を食べると今度は麻婆豆腐が欲しくなるというループを繰り返した。
昨日の肉じゃがに続けて、久々に食べる麻婆豆腐もいいものだな。ずっと高級料理ばかりだったから、こういう味はありがたい。中華スープもインスタントであってもすごくおいしい。最近のインスタントも馬鹿にはできないのだ。
「今日はお土産にデザートを買ってきたよ」
「あら、ショートケーキ! すっごく久しぶりに見た気がするわ!」
「こっちはモンブラン! 日本のケーキを見るのは本当に久しぶり!」
フリーマーケットで手に入れたお金は手数料として俺たちも使っていいことになっている。今日は結構売れたし、お土産にケーキ屋さんでケーキを買ってきた。
ショートケーキ、モンブラン、チョコレートケーキ、フルーツケーキ、シュークリームなどなど。明日の分も含めて、1人2つずつ合計8個のケーキを選んだ。もちろんレインの分も購入してきてあるので、漫画と一緒に送ってあげるとしよう。
「好きなのを選んでね。残りの3つはまた明日食べよう」
順番にケーキを選んでもらい、ユウカはフルーツケーキ、アオイはモンブラン、俺はシュークリームを選択した。
「……甘くておいしいわ! 本当に日本で売っているケーキっておいしいのね!」
「こっちの世界のお菓子もまだまだ日本のものには敵わない!」
王都で食べた蜜菓子やガレットにもしっかりと砂糖が使われていて、甘くてとてもおいしかったけれど、やはり日本のザ・ケーキのようなお菓子には及ばないようだ。
祝福者が広めたのか、貴族用の店には甘いクリームやフルーツを使ったお菓子も販売していたけれど、そっちの方はだいぶ行列ができていたので諦めた。どこの世界も人気のある甘味は人を惹きつけるらしい。
久しぶりにとてもおいしいケーキを食べられたこともあり、本当は明日用に残しておいたもう1個も結局続けて食べてしまった。
「幸せ……」
「おいしすぎて2個も食べちゃったわ。日本のお菓子は一度食べると止まらなくなっちゃうから危険ね……」
アオイとユウカは至福の表情を浮かべている。久しぶりに日本のケーキを食べることができて満足しているようだ。
「久しぶりのケーキはおいしかったなあ。レインのおかげで定期的に日本のお金がある程度手に入るようになったし、2人は他になにか欲しいものはある?」




