第12話 決心
――――再び時は遡り…人々の入れ替わりの時代。
転生者が溢れかえる街を見下ろしながら、神ガイヤと、魔王サタリシア=バランは、神室で言葉を交わす。
「ちょっとガイヤ!どうゆう事なの!?何故あんなにも転生者を送り出すの!?」
お怒りのサタリシア。
「そっ…そんなこと言われましてもぉ〜…。」
サタリシアの気迫にビクビクしながら、縮こまる『この世界の神』ガイヤ。
「ハァ…。」
溜息をつくと、脱力した様に椅子に座るサタリシア。
「あなたの事ですわ。この世界の均衡を守るため…そんな所でしょう?まだあなたの様なおどおど神にも、その気があった事にも驚きですが…。」
バンッ!
「ヒィッ…!」
机を叩くサタリシア。
「逆にまた均衡が崩れてるわよ!私達の努力は水の泡ですわ!どう責任とってくれますの!?」
「…ご…ごめんなさいぃ…。」
ガイヤは正座をしながら、涙目になり、だんだんと小さくなっていく。
「均衡を保つと言うのなら、私達に魔界にも転生者の1人や2人―――」
「――この神に言ったって無駄よ。あなたももう、うすうす気づいているのでは?」
2人だけの筈の神室から、声がする。
「…やっぱりあなたの仕業よね。」
「ふふふ…ご名答ですわ♪」
神室の床に白いの輪が映り、ピカピカと光り出した。するとそこから、黒い長い髪をした美しい巨乳の女性が、ゆっくりと出てきた。
「随分と派手な登場ね。異界の神アマテラス。」
「それほどでも♪」
ニヤリと笑うアマテラス。
「別に褒めてないわよ!」
「それでどうして、均衡を保つ以上に、魔界側が不利になるようにしたの?…って今更聞く必要も無いわね…。」
「あら?どうしてですの?」
呆れ顔をするサタリシアに、疑問を抱くアマテラス。
「どーせ、均衡が崩れかけた世界を知ったここの神様がどうにかしようとしたけど、結局自分じゃ何も出来ず―――」
「――うっ…!」
「―――あーだこーだと考えても、それを実行する決断も自分ではできず―――」
「――ううっ…!」
図星なのか、ガイヤが胸を抑え俯きになる。
「―――どうしようと悩んだ結果、異界の神に頼る他なく、数少ない友達、アマテラスを頼ったと…。そんな所かしら?」
「…う…うぅ……。」
完全に体制がカタツムリ状態になり、涙の水溜りを作っているガイヤ。
パチパチ。
「その発想力…流石としか言いようがありませんね。」
手を2度叩き、サタリシアを賞賛するアマテラス。
「瞬時に支持をする知能、それも的確にアドリブも効く。私に劣らず美しい身なりに、戦闘能力を長けているとか…。」
突然褒められて、嬉しそうな表情を見せるサタリシア。
「ふっ…ふん!そんなの当然ですわ!」
サタリシアは、嬉しさを隠そうとしているのは分かるものの、全く隠しきれてはいない状態。
「そうですわね。あとは胸さえあれば完璧ですのにね。」
「……はい?」
何とも不気味な笑顔に変わるサタリシア。
「な…何を言っているのか分からないですわね…。」
サタリシアは非汗をかき始める。
「ふふふ。私を騙せるとでも思って?魔力で誇張に誇張、そして再び誇張しているのはバレバレですのよ?」
「そッ!そんなにしてないわ!」
サタリシアは椅子から勢い良く立ち上がり、否定する。
「あら?そんなに、してないのね?」
口に手を当て、ニヤニヤと笑うアマテラス。
「う…ッ!」
口車に乗せられてしまったサタリシア。
「え?サタリシアさんのその大きな胸ってニセモn――――」
「―――ガイヤは黙ってなさい!」
「はっ…はいぃ〜…。」
再びカタツムリの様に縮こまるガイヤ。
「ちょっとサタリシア!ダメですわよ。そんなに強く当たっては…。ガイヤも可愛そうですわ。」
ガイヤの背中に、そっと手を添えるアマテラス。
「ほらこんなに怯えてしまって…。」
アマテラスは哀れみの目をサタリシアに向ける。
「その貧相な胸に手を当ててみなさい。なんて言って――――」
「―――貧相な胸って言うなぁぁーーーー!…というか、あなたはそれが言いたかっただけでしょ!?」
「…ゴホン。話がそれてしまったわね…。」
サタリシアは顔を赤く染めながら、無理やり話を戻そうとする。
「あら?胸の話以外、何の話をしてまして?」
「転生者の話よ!」
食い気味に即答するサタリシア。
「私達魔王軍にも転生者を送りなさいよ!あなた達の言う、均衡とやらはもう崩れてるわ。どう考えても王国側の方が優勢。力の差も歴然ですわ。終いには、魔界攻め入るものまで出てきてしまったわ。」
アマテラスの顔が、ふざけたニヤニヤ顔から急に真面目な顔に変貌する。
「そう簡単に言われましても。私達も、全てが決められる訳ではないの。最低でも転生者には、転生先は自分で決めてもらう様、決まっていますの。」
「…だったら―――」
「――もうこれ以上、転生者を出さないで欲しい…と。言いたいのでは?」
「そ…そうですわ。」
言おうとしていた言葉を先に読まれ、少し動揺するサタリシア。
「ハァ…話が少し長くなるわよ。」
ため息の後にアマテラスは話し始めた。
「私の――――」
「―――死後の手続きが面倒だから、人材欲しいのなら、死者全員、そちらで転生させるように…って言ってませんでしたっけアマテラス様?」
『………。』
突然割って話に入ってきたガイヤに、目を瞑り人差し指を立て、話そうとしていたアマテラスが一瞬にしてフリーズする。また、その姿を見ているサタリシアは、軽蔑の目を向けていた。
「アマテラス様?」
突然フリーズしたアマテラスの状況が、全くと言っていいほどに分からないガイヤは、心配そうに言う。
「話は長くなるのでは?ア〜マ〜テ〜ラ〜ス〜?」
サタリシアは、ニコニコと黒い笑顔をしながらアマテラスの方をじっと見つめていた。
「ガ…ガイヤ…?私そんな事言ってないですわ…よね?」
「えぇ〜?いいましたよぉ〜。私は5〜7人程度で良いとお願いしたのに、アマテラス様がその程度じゃまた面倒だから、そっちに全部回す〜って、言ってましたよぉ〜。」
ゆっくり口調で、何の気なしに真実を語るガイヤに、非汗ダラダラのアマテラス。
「な…なんのことやら…?」
「あらら〜?記憶が曖昧のようですわね?脳の栄養も全て、その大〜きな大〜きな、無駄に大〜〜きな胸にいってしまってるのではぁ?」
ニコニコ笑顔のまま、アマテラスの方へ、ゆっくりと近ずいてくるサタリシア。
「あ…あら?嫉妬ですの?」
動揺しながらも、無理にサタリシアに突っかかるアマテラス。
「あ"ぁ!?」
対抗。ガチギレサタリシア。
「よいしょっ!」
アマテラスは床に白い輪を再び出し、その中に逃げ込む。
「逃げるんじゃないわよ!アマテラス!」
「ふ…ふふふ。形なければこちらのものよ…!悔しかったらこちらに来てみなさい!」
「あらそうですの?」
サタリシアは、右手に黒い炎を纏った。
「じゃあ私もそちらに行こうかしら?」
その右手を床につける。
「ぇ…なんですって!?」
「私とて、魔力を使えばそちら側に行けることを――――」
「―――あーーー!待って待って!ごめんなさいごめんなさい!分かりましたわ!魔界希望の転生者が現れ次第、すぐに送りますわ!それで宜しいのでしょう?」
サタリシアの手から黒い炎が消える。
「分かれば良いのですわ。」
ニコッと笑うサタリシア。
「…ふぅ。」
ひと安心したような、力の抜けたような息を吐くアマテラス。
ボソッ…
「ほんっと、その胸以外は大きい魔王ですわ…。」
「聞こえてますわよ?」
黒い炎を手に再び纏わせ、笑顔で言うサタリシア。
「ご…ごめん遊ばせ〜…。」
□■○■□
「そしてやっと、あの阿呆から、連絡があったのよ。」
『魔界希望の転生者が現れましたわよ。』
「希望も何も…アマテラスって誰だよと言った所なんだが?」
最後の部屋でサタリシアとマコト、2人だけで対談をしていた。
「ハァ…やっぱり会ってすらないのね…。きっとマコトは『転生の間』で、寝ていたのでしょう。それを起こす事なく、半ギレしていた私の方へ送り付けて来た…と言った所ですわ。」
「ですが魔界に来てしまった以上――――」
「―――マコニャンはボク達と一緒にやって行かなきゃいけないって事。」
ユバが床から顔を出し話に割り込む。
「そうですそうです。一緒に王国側を殺って行きましょう。」
エザも続いて顔を出す。
「はぁ…。」
マコトは簡単と肩の力を抜くように、溜息をつきをつく。
「今更王国側には行けそうに無いしな。分かったよ。魔界側につく。」
パァっと嬉しそうな表情になるサタリシア。
「マコト…!」
マコトは何かが吹っ切れたように、背を伸ばす。
「ま。魔王軍スタートの転生者なんて聞いたことしな。これはこれで、面白くなりそうだ。」
笑顔でマコトがサタリシアに手を伸ばす。
「宜しくな。見栄っ張り貧乳魔王、サタラン様。」
ニヤリと笑うマコト。
「見栄ッ…貧乳ッ!?…あなたって人はぁぁーーーー!」
顔を真っ赤にして叫ぶサタリシア。
右と左の袖を引っ張るユバとエザ。
「マコニャンマコニャンよろしくです。」
「そうですそうです。よろしくなのです。」
「おう!宜しくな!」
今度から土日のどちらかで更新の、週一になりますね。学校が忙しいのでw




