質問タイム
そんな中、その他大勢の一人へと化していた霊子くんが言う。
「…ところで情、どんなお礼をしてくれるんだ?」
…ガクッ。
思わず、コケてしまいそうになってしまった。
みんなも本当にさっきの話を聞いてなかったんだ。…ショック!
僕はもう呆れ返ってゲンナリしてしまった。
みんなはどんだけ僕の話を聞く気がないんだ。
僕は論破するのは諦めて、仕方なくもう一度説明してやることにした。
「あのですね…、私のお願いを聞き入れてくださったみなさんにお礼をさせていただkいたいなと思いまして…今から私に投げかけられた全ての質問に答えます。…それはもう、包み隠さず細部まで、嘘偽りなく、どんな質問でもなんでも、私が知っていることを全て、教えて差し上げます。…いかがですか?」
霊子くんは、しばらく考えるフリをしてみせ、その後、勝手にみんなの代表となって答える。
「…分かった。いいだろう。存分にお礼をしてもらおうじゃないか」
「ありがとうございます。了承してくださったこと、光栄に思います。誠に感謝させていただきます。
…それでは早速、質問がある方はいらっしゃいますか?」
突然だったからか、近くの人と顔を見合わせ、「どうしよう」と困惑の表情をみせていた。
…まあ、そりゃそうだろうな。
僕も、今日会ったばかりの人に「おい、あんたら俺に質問あるんだろ。オラ言ってみろよ」と言われたら、同じような気持ちになるし…。
まあこの例の場合は、出会った一秒後に「あ、この人、関わらないほうが良さそうな人だ」と思って、会話よりも先に走って逃げ出しちゃうと思うけど…。
そんな中、花乃くんと舞衣くんの会話が耳に入ってくる。
「ねえ舞衣。本当に、相談しなくてもいいの?」
「…」
「ずっと前から気がかりだったんでしょ?せっかくの、またとないチャンスだよ?有効活用したくない?このチャンス、無駄にはしたくなくない?」
「…でも…」
「次はないのかもしれないよ?今しかこんなチャンスはないのかもしれないよ?それなのに、本当に聞かなくてもいいの?」
「…うぐ…」
「せっかくくださったチャンスなんだからさ、有効活用しようよ。胸の内に引っ掛かっているままの取っ掛りをやっと外すことができるのかもしれないじゃん」
「…んー…」
「ねっ。勇気を出して聞いてみようよ。情くんは人の意見を否定したりなんかしないよ。この我が断言してやる。だから、安心して。勇気を出して聞いてみようよ。この我がそばについてるから大丈夫だ!だから…ね?」
「…う、うん…」
そして舞衣くんは恐る恐るそろーっ…と僕のことを見てくる。
舞衣くんはゆっくりと目を閉じたかと思うと、カッと見開く。
すると、気高さとカッコよさを兼ね備えたキリっとした瞳へと変わっていた。
さっきまでの舞衣くんとは全然違う。似ても似つかない。
「あの…質問しても、よろしいですね?」
「お、舞衣さん。ご質問、誠にありがとうございます。…それで、なんでしょう?質問の内容を教えてください」
「私、たまに、立ったまま意識が抜けちゃって、気づいたときにはいつの間にかさっきまでとは別の場所にいたりしちゃうのよ。前からずっと分からないままだったのだけれど…なにか少しでも知っていることがあるのなら、私に教えてはくれないかしら?」
それを聞くとあいつは、少し間を空けて言った。
「あなたがそれを聞いてくれて良かったです。この話は、あなたにとってもとても大事な話です。あなたはとても良い質問をしてくださいました」
「…?」
「…本当に、聞きたいですか?」
「…はい」
ごくり…。
みんなは息を飲んで、次に来る僕の言葉を静かに待つ。




