み、見ないで…
ついつい僕も、お腹の虫が鳴り続けていることにも気がつかずに聞き入ってしまっていた。
さんさんと照りつけてくる太陽がすぐそこにいるような真昼とは思えない、この閑散としている空気からは深夜を感じさせてくる。
そんな空気の中にいるみんなの視線は、綺麗にみんなそろって、真っ直ぐに僕に向けられている。
みんなそろって、その顔は、呆然としていた。
ただしその動作は、僕と憶以外の人がしている動作だった。
僕たちは事前に知っていたが、それにしても、聞き入ってしまっていた。
僕の感じたことを読み取ったのか、彼女は僕の口を意のままに動かして言う。
「みなさんっ、なにか、どうしたんですかっ?なにかっ、不具合や体調不良でもあったりしたんですかっ?とっ、とりあえず、私のことをまじまじと見つめるのはご遠慮願いますっ」
みんなはそう言われて、やっと自分たちが僕のことをじっと見つめていたということに気づき、ハッと反射的に動いてしまう。
そしてみんな、「ごめんなさい」「すみません」と、各々謝罪の気持ちを口にしてしまう。
すみません。みなさんは悪くないです。
「いっ、いえっ。みなさんは悪くなんかないです。だから謝っていただかなくても大丈夫です。悪いのは自分勝手に長々と話し続けてしまってい私なのでっ…。そのっ、こちらこそみなさんのお気持ちも考えずにっ…ごめんなさいっ。すみませんっ。本当に申し訳ありませんっ」
…嘘つき。
本当はそんなこと、思ってもいないくせにっ。
なのにそんなに頭まで下げてまでいい子を演じているとはっ。
まったくもう、バカバカしい。
なんでこんな奴と意識共有させられちゃってんだかっ。
こんな彼女にみんなは、「いいよいいよっ」「全然っ、全然気にしないでっ」「大丈夫っ、大丈夫だからっ、安心してっ」「そうだよ。逆に私たちについてのことがよく知れてラッキーだったしっ」と慰めてくれる。
そんなみんなは、優しい。
それに比べてこいつは…はぁ。
僕が言えることでもないのは自覚しているが。
…さてさて、君は今から言うべきことがあるんじゃなかったけ?
僕が心の中でそう呟くと、あっそうだった!とでも言うように彼女は話し始める。
「そうですっ。私のお願いを聞き入れてくださったみなさんに、お礼をさせていただきたいなと思いまして…今から私に投げかけられた全ての質問に答えます。…それはもう、包み隠さず細部まで、嘘偽りなく、どんな質問でもなんでも、私が知っている限りのことを全て、教えて差し上げます。…いかがですか?」




