・・・え?
「よぉーっし、そろそろお昼休憩は終わりにして、バイトの午後の部、さっさと始めちゃおうか……ね?一緒に行こっ、星斗くんっ」
火菜さんは座っていたソファから立ち上がって伸びをしたあと、僕のほうを向いて笑いながらそう言った。
僕はポケーっとした顔でひなさんをガン見しながら立ち尽くしていたが、数秒後に僕に同意を求めていることに気づき、
「はっ、はいっ。そ、そうですね……」
と、一応返事をしておくことにした。
僕は苦笑いをしながらソファを立ち、火菜さんの後ろをのこのことついていった。
……それにしても「つまんない」……か。
確かにその通りだな。
でも、僕が星を好きになった理由はこんななのに、何故星の精霊使いになってしまったんだろう?
それからの午後のバイトは、お昼の疑問がずっと気になってしまい、どうしても仕事に集中できなかった。
それだからか、たくさんの人に「星斗くん、大丈夫?」「さっきからぼーっとしてばっかだよ。何かあったの?」と、仕事中に何度も何度も声をかけられてしまった。
そしてその度に僕は、絶対何かあったような顔をして「いえ、大丈夫です。何もありません」と返していたらしい。
そうやってみんなに心配され、みんなに迷惑をかけすぎてしまったがために「今日は早く帰ってゆっくり休んだほうがいいよ」と言われ、気を使われてしまった。
だから今、制服を脱いで帰らされるところだった。
僕はずーっとぼーっとしていた。
気が抜けていたままだった。
それに僕は、気づくことができなかった。
不覚にも僕は、僕の住んでいるところはコンビニの横にある物置だったはずなのに、コンビニの前にある道路へと向かってしまった。
そして僕は、右から猛スピードで突っ込んでくる車には全く気づかずに、道路へとふらふらと入っていった。
その時だった。
僕は確かに誰かに名前を呼ばれた気がした。
気になって慌てて振り向いてみると、僕の体に飛び込んできた、白くて長い髪の、僕より少しとしが上くらいの、見覚えがある少女の脇腹のあたりから、大量の赤黒い血がすごい勢いで吹き出ていた。
僕はすぐにその少女が誰なのか、分かった。
……そう。
水樹だ。
どうして、水樹が……。
そう思った瞬間、一気に視界が暗くなった。




