昼食中の過去話(星斗編)
そんな、無理して笑わなくてもいいのに……。
……てか、まだ昼飯食ってなかったんだ。
そんな、食べながら話してくれて良かったのに……。
……まあ僕は、さっき火菜さんが話してくれていた時間を使って、さっさと食べ終わっちゃったんだけどなー。
……まあいいや。
なんとか質問に答えてもらったわけだし……。
あー……火菜さんが食べている間何もやることがないし、暇だなー。
どーしよっかなー……。
……とか考えながらボーッとしていると……
「……んぐんぐ……ごくんっ。ねえねえ星斗くんっ。私からも質問していい?」
あっという間に昼飯を食べ終わって、そう言いながら目を輝かせている火菜さんが、ズイっと僕に顔を近づけてきた。
そのせいで僕は焦ってしまい、曖昧な返事をしてしまうこととなる。
「は……はい?んど……どうぞ?……んなな、なんでしょう?」
ただ、そうやって返事をしただけの効果があったらしく、火菜さんは自分の頭の位置を戻して言った。
「星斗くんは、なんで星の精霊使いになったの?」
ヴッ……。
同じ質問を返されてしまった。
僕、火菜さんみたいに深い理由は持ってないんだけどなー……。
「えっと僕は……星が好きだったからですよ……たぶん」
「どうして好きになったの?教えて!」
「えっと……寂しい夜とかにふと空を見上げるといつも星がいて、僕の道しるべのようにキラキラと輝いて見えたから。ただ、それだけです。…………あと、なんか星のマークってかっこいいじゃないでふか?」
どうだ。
僕の答えは、こんなもんだ。
これ以上でもこれ以下でもない。
これだ。
どうだ。
期待はずれで悔しかったか。
悲しかったか。
「んもー、つまんない!星斗くんのことだから、絶対面白い話聞かせてくれるって期待してたのにー!」
火菜さんは口を尖らせてそう言った。
残念だったな。
これが僕という人間だ。
というか、変な期待を勝手にしないでおくれ。
期待するだけ無駄になっちゃうよ、火菜さん。
……まあ、本当はもっと違う理由なんだけど。
僕が星好きになった原因は、僕が幼い時。
そう。
それこそ幼稚園に入る前の年の頃。
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昔、よく、母が僕を寝かせるときに歌ってくれていた歌があった。
「見上~げて~ごらん~、夜の~ほ~しを~。小さ~なほ~し~の~、小さ~なひか~りが~、ささやか~なしあわ~せを~、い~のおって~る~」
僕の背中を優しく叩いて、耳元で優しく囁きながら歌ってくれた歌だった。
そしてある日の夜、みんなでご飯を食べに行って家に帰ってきた時だった。
ふと、夜の空を見上げてみるとそこには、あたり一面に星が散りばめられていた。
星の海が、広がっていた。
「……綺麗」
と、思わず口にしてしまうほどだった。
こんなに綺麗ならば、正確無比に並べたわけでもなく、誰かが夜空にバラ撒いたわけでもないのだろうと思った。
もちろん、なにかの法則に従って規則的に並べたものでないのは、見ているだけで分かることだ。
そして、よく見ると、だんだんその星たちが動いているように見えた。
ううん、あれは確かに動いていた。
僕はこの時、あの歌を思い出して、思わず歌いだしてしまった。
「見上~げて~ごらん~、夜の~ほ~しを~。小さ~なほ~し~の~、小さ~なひか~りが~、ささやか~なしあわ~せを~、い~のおって~る~」
確かにこの歌の通りだ。
星のひとつひとつは本当に小さくて、僕にとっては小さい光しか出せていないけど、僕たちの幸せを祈ってくれてるんだ。
いいな。
星って、不思議だな。
星って、面白いな。
……僕はそう思ってしまった。
だから星のことについてたくさん調べ始めた。
調べ始めると止まらなくて、いろんなことを知るたびに、新しい知識を得るたびに、どんどん星のことが好きになっていった。
大好きになっていった。
だからなんだと思う、僕が星の精霊使いになった理由は。
でもこんな話、火菜さんにする必要はないかな。
なんだかもうめんどくさくて、そんなことを口にする気にはなれなかった。




