火の神殿 精霊都市パパンバ 無情な拷問
タイトルからしてお察しですが、今回非常に非情な世にも恐ろしい残酷な表現があります。苦手な方は注意してください。
「ん・・ううん・・・」
「気が付いたみたいだ!」
捕まえた誘拐犯がキョロキョロした後こちらをしっかり見ていることを確認した。
「状況は飲みこめたかな?誘拐犯。赤子は無事だよ。そして君は捕らえられたと」
努めて事務的に話しかけた。
「お前たちなんなんだ!?神殿の者でも兵士でもなさそうだし、どうしようってんだ?」
そうなのだ。どうしようかってので皆で相談したんだけど、この誘拐犯をどうするかもそうだけど赤子もどこに返せばいいのか分からず困っていたのだ。ライカは寝ているジーナとリンダを見つつ寝室で保護した赤子を見てもらっているから、こいつからすると目が覚めたらラバースーツ(頭部分は外した)の俺とジャスパ、それに褌一丁のレンがいたってことになる。そりゃ兵士とかには見えないだろう・・・。
ちなみにユイは真後ろにいるのでこいつからは見えていない。
「決まっている。洗いざらい知っている情報をすべて吐いてもらう」
「舐められたもんだ!この大盗賊ピーキー様がそう簡単に情報など話すものか」
おや?いきなり自分の名前を言いやがった。案外簡単に落ちるかな?
「何の目的で誘拐したんだ?」
「誰に頼まれた?」
「他の仲間はどこにいる?」
「・・・・・・・・・・」
「だんまりを決め込むってか。だったらこうしてやるよ」
俺がダルマになった塊に魔力を込める。
すると丸かった形が立方体になり、新たに骨組みにより自立した形になった。
首から上だけ出ているが、身体は全て立方体の中でそこからゴムの壁により身動きが封じられている。
そのゴムの壁から魔力を込めて手を突っ込み、着ている衣服を剥ぎ取った。
「やめろーーー!!!」
「止めてほしかったら話すんだな」
あれ?俺のセリフ完全に悪役やん?
でもま、さっさと情報を吐いてもらわないと赤子をいつまでも放っておくわけにもいかないし心を鬼にしてさらに続ける。
着ていた衣服を全部剥ぎ取って分かったが、こいつ女だった。
顔が男勝りな感じ、、、うーんギリギリボーイッシュと言える感じか、だったし喋り方も雑だったから分からなかった。それに黒装束を着ている時は分からなかったが脱がしてもおっぱいもぱいも付いてなかった。ついていたこれはちっぱいだ。
「Aカップ・・・か?」
と呟くと一気に顔を赤らめた。
「うるさい!!この変態集団!!」
と威勢よく言っているが涙目になっている。よっぽどコンプレックスなのか。。。
ならばもう少し突いてみるか。
「大盗賊ピーキー様の胸はAカップ?とかって言いふらして回ろうかな?俺達は世界中を旅するから世界中の人に知ってもらえるな」
「っ!!!・・・・」
一瞬こっちをキッと睨んだが、その後目を閉じ口を真一文字にし俺への対抗意識を露わにした。
強情な!だが拷問とはこの程度の事を言うのではないのだ!
「まぁ、すぐに話したくなるよ」
というと俺は立方体にラバーが張り付いているところに手を差し伸べ、一部に穴をあけるとそこから風魔法を使い中の空気を抜いて行く。ついでに面白そうだからこのピーキーってやつの身体全体に【照光】をつけて少し光を持たせた。
30秒もしないうちに中の空気がすべて抜け、ラバーがピーキーの身体をくっきり浮かび上がらせ黒いラバーだけど光っているため肌が少し透けて見えるというなんともフェティッシュなものになった。
簡単に言うと、バキュームラックってやつだ。
バキュームラックの中に入ってしまえば身動きはほとんどできない。ただ、ゴムなので多少は伸び縮みする。力を込めると数センチは動けるのだ。だが、抵抗はそこまで。それ以上は動けない。そして全身を覆うラバー素材のせいで皮膚から感じる感覚は鋭くなる。そんな状態でする拷問はひとつ。
つんつん。
「ばっ!やめろっ!」
くすぐったいようで身じろぎしている。
つんつん。
「あっ!やめろっ!!」
つんつんつんつんつんつん。
「あはっ!!あはははっ!!!やめろっ!!!!」
さわさわさわさわ
「くすぐったっ!やめろーーー」
「どう?ちょっと話したくなった?」
「はぁはぁはぁはぁ・・・ふざけやがって!」
気丈にも睨みつけてくる。
「そっかぁ。じゃあもうちょっと続けてみようかな」
指をわきわきしながらゆっくり近づく。
「ひっ・・・・」
逃げられないのを覚悟してぎゅっと体に力が込められるのが分かる。
つんつんつんつんつんつんつんつん。
さわさわさわさわさわさわさわさわ。
「あはははっ!!ひゃあああああああああああああ」
頑張って身じろぎしているが拘束された体に逃げ場なし!さっさと情報を吐いてもらいたいので話し始めるまで続けてやるか。
つんつんつんつんつんつんつんつん。
さわさわさわさわさわさわさわさわ。
もみもみもみもみもみもみもみもみ。
「あひゃひゃひゃひゃあひゃあしょこらめぇひゃああああああああああ」
「どうかな?話したくなったろ?」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「あれ?まだ足りないか。じゃあ・・・」
指をわきわきしながらゆーーーくり近づく。
「まって!!しゃべるかあひゃあひゃひゃひゃひゃひゃああああ」
つんつんつんつんつんつんつんつん。
さわさわさわさわさわさわさわさわ。
もみもみもみもみもみもみもみもみ。
「レン、ちょっと俺だけじゃ足りないみたいだからこいつの足をさわさわしてあげて」
全身をさわさわする拷問の最中、レンは恍惚の表情で見入っていたが突然声を掛けられちょっとビクッとなったのが面白かったが、言葉の意味を理解したのか手をわきわきさせながら近づいてきた。
「ちょ!!まって!!あひゃあああしゃべるかあひゃひゃひゃ」
「ん?レン何かいったか?」
ととぼけてやると
「いえ、何も言ってません。ではご命令通り・・・」
俺の意思に従って動いてくれる。
つんつんつんつんつんつんつんつん。つんつんつんつんつんつんつんつん。
さわさわさわさわさわさわさわさわ。さわさわさわさわさわさわさわさわ。
もみもみもみもみもみもみもみもみ。もみもみもみもみもみもみもみもみ。
「あひゃひゃひゃひゃあひゃあしょこらめぇひゃああああああああああ」
つんつんつんつんつんつんつんつん。つんつんつんつんつんつんつんつん。
さわさわさわさわさわさわさわさわ。さわさわさわさわさわさわさわさわ。
もみもみもみもみもみもみもみもみ。もみもみもみもみもみもみもみもみ。
「あひゃひゃひゃひゃあひゃあしょこらめぇひゃああああああああああ」
息も絶え絶え、目からは涙、鼻からは鼻水、口からはヨダレを垂らしていることなんか本人は全く気にもできないらしい。
つんつんつんつんつんつんつんつん。つんつんつんつんつんつんつんつん。
さわさわさわさわさわさわさわさわ。さわさわさわさわさわさわさわさわ。
もみもみもみもみもみもみもみもみ。もみもみもみもみもみもみもみもみ。
「らめぇえええええぢゅりゅしてくらしゃいいいいいいいいぃい」
涙を流しながらついに心が折れたらしく降参の声を出した。
手でレンの動きも止めてやる。
「さて、じゃあ質問に答えてもらう」
喋るよりも息をするほうが忙しいらしく、俺の質問にはとりあえず首を縦に振ることで反応していた。
「まず、あの赤子はどこの子だ?どこで誘拐したんだ?」
「火の神殿の巫女の御子で・・・火の神殿に潜り込んできました」
「なぜ誘拐なんかしたんだ?身代金目的か?」
「違う!弟が人質になってて仕方なく・・・」
「どういうことだ?詳しく話せ」
「アタイと弟のカーロは地元じゃ有名な盗賊だったんだけど今はいろいろあって世界中を旅してまわっていたんだ。ちょっと用事があってこの町に寄ったときドジっちまってカーロが攫われたんだ。んで無事に返して欲しくば御子と交換だって言われて仕方なく火の神殿に忍び込んで連れて来たんだ」
その時の事を思い出したのか、苦虫を噛みつぶしたような表情になった。
「その、弟を攫ったヤツって何者だ?」
「詳しくは分からない・・・けど、町の西の外れにある岬を交換場所に指定してきたんだ。その場所の事を竜の顎と呼ぶの・・・」
「なるほどな。それで、そいつはなんで御子を狙ってるんだ?」
「さぁ。でも御子は産まれながら火の精霊の祝福を授かっている場合が多いからじゃない?それよりも、早くなんとかしないとカーロが・・・」
「ふむ、じゃあお前のいう事が本当なのか確かめてくる。お前の処遇はその後だな」
それだけ言うとラバー素材でマスクを作りピーキーに被せておいた。もちろん、目と口は閉じているが息ができるように鼻の部分はあけてある。しばらくおとなしくしていてもらう。
「レンはこいつの見張り、ジャスパは俺と一緒に来てくれ。ユイはライカと一緒に赤子を頼む」
皆が頷くとそれぞれの行動を開始した。
俺はまずラバースーツの上から服を着て武器と防具を装備すると最後に黒のマントをラバー素材で作り出しそれを羽織った。そしてジャスパと一緒にテラスに出た。
「ジャスパ、頼む」
「よかろう」
ジャスパは人気が無いのを確認して竜化、俺をつかんで一気に上空まで上昇した。
「西の岬って言ってたから、あっちだ!」
ジャスパがその場で旋回、指を刺した方向へ加速を開始した。
しばらく加速すると町を外れ小さな林になり、その先に断崖絶壁になった岬に辿り着いた。
そこには一隻の船が横付けされていた。
岬の突端は凹凸があり横から見ると竜の顔に見えなくもなくもなくもなくなくない・・・無理したらそう見えるような形をしていた。よく見るとそしてその下あごの部分から縄梯子が掛けられ横付けしている船まで続いていた。
「見張りは・・・あの竜の頭あたりに人影が一人、だけかな?」
「そのようじゃの。海のほうが警戒が薄そうじゃな。あっちから降りるぞ」
ジャスパは上空で旋回すると海側から船に近づき到着寸前で人化した。もちろんそのままだと勢いよく船に落ちてしまうので直前で【魔法板】を出して音もなく着地することに成功。
念のため【認識疎外】をかけて潜入開始だ。
「中には人の気配が複数するようじゃ」
と小声で教えてくれたので物陰に隠れながら船内への入り口を探す。
すぐに操舵室の後ろから船内に入るための入り口を発見、二人で音を殺しながらそっと侵入する。
階段を降りると廊下が続いており、左右に船室への扉がいくつか見て取れる。
「ジャスパ、子供の気配って分かるか?」
「一度見ないとなんとも言えぬな」
ジャスパの気配察知も万能ではないようだ。
仕方ないので一つ目の扉まで近づき、耳を当てて中の様子を伺う。
何やら大人の声で酒を飲んでいるような雰囲気があった。ここはハズレだな。
次の扉も同じ様子だった。おそらく一つ目の扉とつながっている部屋なのだと辺りを付け、次の扉へ。
こちらは物音一つしなかったから無人と思われる。そっと中に入ろうとしたら鍵がかかっていたのであきらめて次へ。次の扉も同じく鍵がかかっていた。その先は降りる階段。
階段を降りてみるとその先廊下があり船室の扉がいくつか見えた。
とりあえず手近な扉に耳をつけて中の様子を伺う、、、こちらも無人らしい。
扉に手をかけると鍵がかかっていなかった。そっと扉を開いて中に入ってみる。
木箱がたくさん積みあがっている・・・倉庫のようだった。念のため木箱の中身をいくつか確認してみたが、お酒が入っていた。とりあえずこの部屋はただのお酒用倉庫と断定、次の部屋へ向かう。
次の部屋も扉の前で様子を伺うと、人の気配と小さなうめき声が聞こえた。
そっと開けようとしたが残念ながら鍵がかかっていた。
「どうするんじゃ?見たところ単純な構造の錠前のうようじゃ。壊すのは簡単じゃが音がするぞ?」
「ちょっと試してみたいことがあるんだ」
そういうと俺は再びラバーっぽい素材を作った時の黒い塊を少量作り出した。
そして無造作にそれを鍵穴に詰め込む。これ以上入らないところまで入れたら魔力を込めてカッチカチの硬さにしてやる。そして回す。
カチャン。
上手くいった!という手ごたえと共にジャスパを見るとひとつ頷いた。
そーっと扉を開けて部屋の中に侵入。
そこで見たものは、薄暗い部屋の中、10人位の子供たちが素っ裸の状態で手首・足首を縛られて無造作に放置されていたのだ。
「みんな、静かに聞いてくれ。助けに来た」
突然部屋の中から知らない声が聞こえて来たため、一斉にキョロキョロし始める子供たち。
そこで【認識疎外】を解除する。
「だれ?」
「まずは皆聞いてほしい。ヤツラに見つからないように静かにね。僕たちは冒険者だよ。助けに来たんだ。ここに連れてこられたのは君たちだけかい?それとこの中にカーロという子はいるかい?」
他の場所にも攫われた子供がいるかもしれない。そう思って聞いてみた。
「あと二人はいたけど抵抗したら別のところに連れていかれた・・・・」
「なるほど、じゃあそっちも助けなきゃね。とりあえず皆の縄を外すから順番に」
そういうと、ジャスパと二人でみんなの拘束を解いていった。
「しかし、人攫いってのは皆こうなのかな?」
つい、昔を思い出して独り言を呟いてしまう。
いくら子供だからって素っ裸にひん剥いて拘束しなくても。確かに裸であれば脱走しにくいのかもしれないけど。。。
「どういうことじゃ?」
呟いた独り言にジャスパが反応したので以前にもこういうことがあった事を話してあげた。
「人族は弱いからの。装備が無くては身動きがとりずらいじゃろ。犯人も賢いではないか」
うん、まぁそうかもしれないけどさ。
「それは置いといて、他にも助けないといけない人がいるから行ってくるよ。ここはジャスパに任せていいかな?」
「ふむ、よかろう」
「じゃあ任せた。【風結界】」
部屋の8割程を覆う形で結界魔法を作り出した。これでこの空間は少々攻撃されても大丈夫だろう。
「マメなことじゃのう・・・」
「あと、これを!」
そういうと裸の子供たちのために黒いラバー素材っぽい布を人数分だしておいた。ただの長方形だけどとりあえずマントみたいにすれば裸を隠せるだろう。
それだけすると俺は【認識疎外】を掛けなおし部屋から出てさらに奥へと進んだ。
いくつか倉庫部屋があったがそこには人はいなかったので残っている突き当りの部屋が本命のようだ。
ドアに耳を当てて中の様子を伺うがまったくの無音。他の攫われた人は意識を失っているとか?念の為そーっと扉を開けて中を覗いてみた。薄暗い部屋ではあったがなんとか全体が見える程度に照明がある倉庫?に使えるような部屋の中には3人の人影が見えた。全員に気付かれないようにそーっと扉を閉める。
3人の人影を見ると、二人は天井の梁から吊り下げられもう一人が鞭のようなもので打ち据えていた。
拷問部屋?なのか、吊り下げられた二人の下には見覚えのある魔法陣。
以前俺達が人攫いにあった時に拷問された、あらゆる魔法を阻害する魔法陣が敷いてあった。
こんなものを見てしまった以上、こいつはフルボッココースだな・・・と思っていたら鞭を振り下ろしながら何やらしゃべり始めた。
「俺はなぁ!」
「お前らみたいな!」
「魔法を使う子供に!」
「酷い目に合わされたことがあってな!」
「それ以来!」
「そんなやつを!」
「苦しませるのが!」
「何より嬉しくてな!」
「どうした!」
「魔法が使えるんだろ!」
「抵抗してみせろよ!」
一言一言呟く度に吊り下げられた子供を交互に鞭を振り下ろす男。虐待が趣味とかどうかしている。吊り下げられた子供は俺と同い年位か?男の子と女の子が一人ずつだが、女の子のほうはもう体力がないのか気絶しているのか鞭を受けても反応がない。男の子のほうは鞭を受けるたびに悲鳴を上げているようだが猿轡を嵌めらえてくぐもった声が漏れていた。それでも鞭を打ち据える男を睨むだけの気力はあるらしい。
正直、偉い。
「おっと、夢中になりすぎちまったな。いるんだろ?出て来いよ」
鞭を持った男がゆっくりとドアのほうを振り返る。
その顔をみた瞬間俺の脳裏に昔の記憶が蘇る。と同時に怒りが瞬間で沸いてきた。
こちらの姿を確認した男が驚いた表情を見せたのも一瞬のこと、すぐに口角があがると生粋のサディストの表情を見せた。
違和感を感じたのはその時だった。
俺は【認識疎外】を使っていたからそう簡単に見つからないはず・・・自分の手を見るとはっきりとその姿を視認できた。周りの様子をよく見ると部屋のあちこちに魔法を無効化する魔法陣があった。どうやらそのせいでせっかくの【認識疎外】も無効化していたようだ。
しかし、今の俺にとってはそんな些事どうでもよかった。
「くくくく・・・はははは・・・はーっははははは!!!!まさか夢にまで見た貴様が目の前に現れるとは!!!!今なら神の思し召しってやつを信じたくなったぜ!!!!」
そう、こいつは以前俺達が解決した誘拐事件の犯人だ。今そこに吊り下げられた子供達の場所に俺がいて拷問されたんだ。当時の俺の息子を痛めつけてくれた恨みは忘れていない。
見事な三段笑いで悪役演出をしてきた男に少しだけ冷静になれた。
「どうしてここにいるのかな?ちゃんと衛兵さんに身柄を渡したはずなんだけど?」
腰の剣を抜きながら言葉を放つ。
「お前のせいで強制労働区に連れていかれ仲間は死んじまったよ。だからお前への復讐を誓って脱走したんだ!お前の事が憎くて憎くて似たような生意気なガキをいくら打ち据えてもこの憎悪は消えなかった。やっと会えて・・・嬉しいよ!」
フルボッココースは確定として、まずは拷問を受けていた子を助けないと。このおっさんの事はスルーして吊り下げられた子供達の所へ移動する。
「おいおいおい、嘘だろ?俺を見ろよ!!!この5年、毎日毎日貴様の事を想い続けていたんだぜ?」
剣で吊り下げられた縄を切り、すぐ下にあった魔法陣も切れ目を入れてその機能を止めると【小回復】を使う。がどうやらすぐ下にあった魔法陣だけではなく部屋の他の場所にある魔法陣の影響があるのか魔法は発動しなかった。
「くくく・・・俺は同じ轍は踏まんよ!魔法が得意なお前はここでは無力だ!!」
魔法が使えないならばと、二人の手首、足首、猿轡を外し意識のある男の子に自前の魔法鞄から回復魔法薬を取り出し飲ませ、女の子用にもう一本取り出すと男の子に介抱をするよう目線で伝える。
「いつまで無視してんだコラァ!!!!」
男は手に持っていた鞭を俺に向けて振るうが手に持っている剣でそれを弾く。というより、プツリと鞭が切れた。
「革の鞭じゃこんなもんか。だったら!」
男はすぐ近くに置いてあった別の鞭を取り出し再度俺に向けて鞭を振るう!
再度剣で薙ぎ払うと今度はカキンッ!という金属同士がぶつかる音がした。
男は弾かれた鞭を再び振りなおすが俺も再度薙ぎ払う。
が今度は結果が違った。剣に鞭が絡みついた瞬間、俺の手から剣がスッポリと引き抜かれてしまったのだ。
雑魚感丸出しの三段笑いで油断していた。俺は剣気すら纏わず対峙していたのだ。が、大切な愛剣を取られ不利な状況に陥った事が逆に俺を冷静にさせた。
【身体機能強化】
今度はきちんと魔法が発動する。やはり魔法陣では体外へ放出した魔力を散らせるだけの以前と同じ性能の魔法陣だったらしい。体内で完結する系統の魔法をちゃんと使えた。
「ミスリル製か、なかなかいい剣じゃねーか。これも俺達をひどい目に合わせたおかげで手に入れたのか?だがせっかくのいい武器も使い手がこんなにクズだったら意味はないな!」
そういいながら再度鞭を振るうが、俺は最小限の動きで回避する。
「素早っこさだけは磨きがかかったか?だが、その程度俺の地獄の5年間に比べたら!!!」
そういいながら今度は連続で鞭を振るってくる。
しかしその速度はジーナやリンダの剣撃よりも遅い。十分に身体強化した今の俺ならば余裕で躱せる。
「君!その子を連れてこの部屋を出るんだ!」
拷問を受けていた男の子に避難するよう伝える。回復魔法薬を女の子に飲ませ終えたようなので急がせるとよろけながらも女の子を抱えて部屋から退出できた。
大人しくそれを見送っていた男に再度対峙する。
「ふん、あんなガキどうでもいいわ!なんせお前がいるんだからなぁ!!!」
バカの一つ覚えのように鞭を振るってくるが、問題なく回避する。
「おっさんにそんなに思われても迷惑なだけだよっ!」
鞭の嵐を回避しながらも距離を詰め懐に潜り込もうとするが、左に手持った俺の剣で牽制された。
「その程度のはずはないだろう?」
そういいながらも中距離は鞭で、近距離は剣で攻撃してくる男は叫ぶ。
【身体機能強化】
俺は心の中でそう叫び、【身体機能強化】を重ね掛けする。
「もう謝っても許さないからな」
とだけ呟くと、鞭の嵐を回避しながら距離を詰める。そして近距離になって剣を振るわれても回避しさらに近づき超近距離で5連打の掌底を打ち込んだ。
「ぅぅ・・・」
重ね掛けした【身体機能強化】の効果は回避速度を上げるだけじゃない。攻撃力も上がっているため普通の人ならそれだけで悶絶するレベルのはずだ。
「ってーな・・・ックックック」
だが男は悶絶するどころか痛いと言いつつも笑っている。
まさかマゾヒズムにも目覚めたか?とちょっと心配してしまったがそうではないらしい。
「痛いなぁ・・・痛いよ・・・だが、この痛みをお前に返してやれると思うと、、、この痛みを返した時の
お前の苦しむ姿を想像すると、、、ワクワクするよなぁ!!!」
そう言ってまた鞭を振る。
「しねーよ!」
反論と気合を乗せた一言と同時に【魔法弾】を放つ。
部屋の壁面や床、天井にもいくつかあったが見える範囲にある魔法陣に向けてだ。
バキッ!という音がいくつか響いて魔法陣が壊されたのを理解した男は驚きの表情を浮かべたが、それもすぐに消えた。
「ククク・・・それが5年前にも魔法陣を壊した力か。だが、それも想定内だよ」
なんか読んでいたぜ!的な事を言ってる割には鞭を振るってくることしかしないな。
「そうかいっ!じゃあこれはどう?【火球】」
あちこちに見える魔法を封じる魔法陣を壊したおかげで俺の右手からはきちんと魔力が炎に変換され火の玉が射出された。
男はその火の玉を確認したが何もせず動かない。結果、火の玉は男の胸に命中することになる。
直撃の瞬間、火の玉は掻き消えた。
「5歳の子供が魔法を使っていたんだぜ?あれから5年、お前は得意になって魔法を使っていると考えるのは当たり前の話だろう?そしてそれを対策するのもな」
そういえば昔も魔法防御系のインナーを着ていたっけな。ただ、前と違うのは威力が軽減されたというよりも掻き消えた感触だったからダメージはおそらく0なのだろう。
「じゃあしっかり対策しても無駄だってこと教えてあげなきゃね。【火球】の連射だ!」
今度は威力は同じ火の玉を一つではなく複数ぶつけてみる。
ちょっと前にジャスパとの模擬戦でやって感触は掴んだ連射だ。
「ほぉ・・・そんなこともできるのか!すごいじゃないかぁ!!!」
連射したところで命中した瞬間に掻き消えるのは変わらないため、俺の成長を喜ぶようなセリフだ。
「余裕のつもり?」
と声を掛けると、直撃を続けていた箇所が掻き消え切れなくなってきたようで、少しずつ熱を帯び始めた。
「なんだと??」
慌てて両腕で防御姿勢を取ったがそれは愚者の選択だよ。助かる道は必至で逃げ回ることだけだったのに。まぁ逃がさないけどね。
「もうちょっと追加してあげるよ。【火弾】の連射だよ!」
そういうと開いていた左手も追加すると一気に防御力を超えた威力が降り注ぎ魔法無効効果のある防具が弾け飛んだ。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおあああああああああああ」
もちろん、だからと言って撃つのは止めない。
「おい!こっちにもいるぞ!!」
今度は扉から新手が入ってきたのが見えた。と同時に扉方面からヤバイ気配がした。もう全力前回の危機警報を俺の五感が告げているので攻撃の手を止め全力で【魔法結界】で防御結界を張り扉方向に向けて腕を交差させ腰を落として防御姿勢を取った。
結界の中にいるのに凄まじい轟音俺の耳まで届き、視界が真っ白に染まった世界を何が来ても対応できるように気配を伺う。正直、一緒んで感じたヤバイ気配は並みじゃない。状況を確認して一気に撤退する事だけを考えたほうがよさそうだ。
最短で脱出経路を考えていると轟音と光が収まりだしたのでよく見る。
と、そこには船室の壁をいくつか突き破りその奥で大きな口を開けたジャスパの姿が見えた。
さらに周りを見ると、さっきまで戦っていた男もあとから入ってきた人攫いの仲間と思しき男たちもジャスパのブレスの射線上だったため見事に消滅していた。
それどころか、反対の船室の壁も突き破って船の外が見えている。
「こんなところでブレスなんて使っちゃダメだろ!」
「なにやらうじゃうじゃいたのが鬱陶しいかったのじゃ。それにケンの相手していたヤツにもちゃんと当てたから問題なかろう?」
直線でジャスパに駆け寄って言った俺の抗議に対する返答は、鬱陶しかったの一言で片づけられた。
ちなみに射線は船室の壁や天井、それに床を見るとはっきり分かるのだが見事に俺がいた場所は避けて撃たれているのが分かった。
でもね、ジャスパ。
そのブレスの直撃はしてなかったけど1メートル程しか離れていなかっただよ、俺。
全力で防御魔法使ったけどさ、手ごたえすごかったよ?
そのブレス、余波だけでどんだけ威力あるのさ。。。
「それで、こやつらはどうするのじゃ?」
と後ろを振り向くジャスパ。
もちろん、そこにいるのは攫われた子供達だった。俺が逃がした二人もここに合流していたようだ。
その全員が驚きのあまり口を開けて固まっていたが。
「とりあえず船から降りよう。この船、沈むよ」
俺の一言で子供達も正気に戻ってくれたようだ。
俺達はジャスパが開けた穴から海上に出て全員を陸地に登らた。
後から助けた二人の子供にもラバー生地の布を渡してあげ、水魔法で温かいお湯を生み出し皆に配り一心地着いてもらうことにした。
ずっと裸で体温が下がってしまっている子もいたため、土魔法で大きめの浴槽を作りそこにお湯を注いで簡易お風呂を作って皆で入ってもらった。
どうやったの?とか何者なの?とかいろいろ聞かれたりもしたけど適当に相手しつつ、全員に血の気が戻ってきたのを確認できた。
その時だ。
「見て!」
浴槽に浸かっていた子の一人が海を指さして叫んだ。
そこには夜明けになり海面から太陽が昇ってきていた。
ちょうど竜の顎と呼ばれる崖の部分に太陽が見え、竜が光の玉を咥えているようにも見えなくもない。光のブレスを出しているように見えなくもなくもない。
「竜が光を出してる」
子供の目から見るとそう見えたのかもしれない。
その後俺達は町まで戻り、町の入り口直前に姿を眩ませた。
別に正義のヒーローになりたいわけでもない。ギルドから受けたクエストでもない。後の事は町の入り口の兵隊さんにお任せしたのだ。
ただし、カーロを除く。
俺達の目的はカーロの救出だったんだ。途中少しそのことを忘れていたけど。
という訳で、子供達の前から姿を消すときに一緒にカーロ君も連れ去ったのだった。
まぁ、がっつり【身体機能強化】してカーロ君を抱っこしつつダッシュしただけなのだが。
さて、宿に帰りますか。
最近この小説の続きが読みたくて仕方ないのになかなか文章に出来ずにいます。
頭の中のものを自動で文章にしてくれるアプリを探し中。
ブクマや評価いつでも大歓迎!ちょっとでもいいなと思ったらぜひお願いします。




