再び精霊都市シーマへ
ギルドを出ると俺達はそのまま港へと向かった。
もともとシーマに行こうとしてたがクラーケンがいたため定期便が止まってしまい足止めとなったのだが、
クラーケンがいない今、定期便が運航しているはずだ。
港に着くと、ちょうど定期便が出航する前だった。
「今日はこのまま船に乗ろうかと思うけどいい?」
「もちろん」
ライカは同意してくれた。
「問題が一つ。このまま乗ってしまうとお昼にお肉を食べれなくなるわ」
ジーナ・・・あ、うん。
「そうだね、お昼時は逃すかもしれないけどシーマに着いてからにしない?」
あれ?そういえばおかしい。
この話題にリンダが食いついてきていない。
ふとリンダを見ると、港にある露店に釘付けになっているようだ。
なるほど。
「じゃあ、リンダが見ているあれを買って船に乗ろうか」
リンダを指さすとジーナも満面の笑みで同意してくれた。
俺達は露店で販売しているお弁当を買い込むと定期便に乗り込むと間もなく出航となった。
俺達は最後のほうに乗ったにも関わらず、甲板の船首部分が開いていたのでそこで固まって座った。
さっそくジーナとリンダがお弁当を食べようとしていたので、少し早いがブランチにすることにした。
俺とユイはライスサラダが入っていた一角兎肉の入ったお弁当、
ライカは貝を焼いたのがメインのお弁当、
ジーナはレッドボアのステーキが入ったお弁当、
リンダは焼き魚がメインのお弁当だった。
しっかし、揺るがないねぇ。
「そんなに好きなものばかり食べてたら栄養が偏るよ?」
「問題ないにゃ!むしろ獣虎族は魚類から豊富に栄養を吸収出来るにゃ!」
「獣狼族は肉を食べないと死んでしまうの」
「ライカ、そんな話聞いたことあるか?」
「・・・ない」
だよねぇ。まぁたまには野菜も食べさせてるようにしよう。
「あ、見てみて!この前クラーケンと戦ったポイントだよ」
「どれどれ?あ、ほんとだ」
高台からサーチライトのように光が輝いていた。
「そういえばあの辺で使った【照光】って全部そのままにしちゃってたね。どうしよう、消しとこうか」
「そのままでいいんじゃない?夜になるとキレイだったもの」
といいつつ思い出しているのかライカの顔が軽く呆けていた。
守りたい、笑顔。じゃない顔だ。
「ライカー、戻ってこーい。」
ユイが声を掛けるとハッとしていたが、すぐにお弁当を食べ始めた。
「そういえばバリさんがここを観光スポットにするとか何とか言ってたね」
「言ってたにゃ」
「だったらこのままにしておこうっか」
「それがいいね」
なんて話をしているうちにポイントを通り過ぎて行った。
お弁当を食べ終えた後も俺達はゆっくり過ごした。
クラーケンのいなくなった航路は平和そのものだ。
「さてと、これからの事についてなんだけどいいかな?」
俺は皆に声を掛けた。
「どうしたにゃ?」
「まず、俺達の旅の最初の目的地は火の精霊様の所になる。場所はここよりず~と南の方になるんだそうだ。
ジーナやリンダは分かる?」
「さっぱりにゃ」
「だよね。まぁ俺達も行ったことはないんだけど、聞いた話によるとシーマから西に行くとセーキの村ってのがあるらしい」
「セーキ村なら行ったことあるにゃ。お魚を食べたにゃ」
リンダの思い出には魚を食べた事以外はないだろうね。。。
「そこからひたすら南に行って、陸地最後の町がゴカジっていう港町らしい。そこからは船でさらに南下していくらしい」
「セーキ村から南へは行ったことがないですね」
「だからシーマに着いたあとはセーキ村を目指すようになる。シーマからセーキへの道は分かる?」
「分からないですね。獣族の使うルートはちょっと特殊だしちっちゃい頃だったので」
「そっか。じゃあシーマに着いたらギルドに相談してみようか。もしかしたらセーキへの護衛依頼とかあったりして」
「そんな簡単にあるかにゃ?」
「無ければ道案内を募集しよう。あとは地図とかもあれば手に入れておきたいね」
「冒険者みたいで楽しいね」
ライカは楽しそうだ。
「みたいっていうか、冒険者なんだけど(笑)」
こうして、俺達のこれからの行先が決まった。
シーマの港に着いた。
到着後町に入るための手続きはギルドカードを提示すればそれで問題なかった。
相変わらず人がたくさんいる。さすが都会だ。
港のすぐ近くにある獣舎で料金を払い、馬車に乗って町の中心部へと向かう。
町の中心街にある宿に着いたときにはもう日が暮れていた。
以前精霊のお告げを受けにこの町に来た時と同じ宿だ。
とりあえずロビーにある受付に行く。
「5人で一泊したいのですが部屋はありますか?」
「今5名様がお宿泊可能でお取りできる部屋は、デラックスルームかCランクパーティールームがあります」
流石都会の宿。子供相手でもちゃんと相手してくれる。俺達の恰好を見て冒険者なのが分かったようだ。
「ちなみに、その二つの部屋はお風呂はついていますか?」
「デラックスルームにはお風呂が付いておりますが、Cランクパーティールームはついていません。
必要でしたらお湯を用意いたしますが、いかがされますか?」
俺達は顔を見合わせ一発で決めた。
「デラックスルームをお願いします」
「かしこまりました。ではデラックスルーム1泊2食付きで金貨10枚銀貨6枚です」
前金制なのはどこも一緒らしい。一泊の宿では高いと思ったがたまにの贅沢と自分に言い聞かせ支払いを済ませた。
「では、お部屋へご案内いたします」
そういうと、身なりは制服できちんとしているが働くには若すぎる子供?が案内に出て来た。
「お荷物をお持ちいたしましょうか?」
「いえ、結構です」
というと、ちょっとしょんぼりしていた。
ああ、そうか。荷物運んでチップ目当てだったりするのか?
だとしたら断るのはちょっと悪かったかな。
宿の最上階まで行くと、
「こちらのお部屋です」
「「「おおー!」」」
部屋に入るとまずとても広いリビングだった。
テーブルとイスがありちょっと意匠も凝っていてお高そうだ。
その向こうにはソファーもある。
隣の部屋は寝室になっていた。
キングサイズのベッドがどーんと2つくっついて置いてあった。
この世界では初めて見るレベルでふっかふかだ!
「みてみてー、こっちにはお風呂があるよー」
ジーナの声に俺もそっちに行ってみた。
浴室には俺達5人が入ってもまだ余裕がありそうなぐらい大きめの浴槽が置いてった。
「こっちにもお風呂があるにゃ!」
浴室からもう一つ扉があり、そこから出ると露天風呂になっていた。
夜空を眺めながら、眼下には街並みを眺めながら入る風呂って贅沢じゃん!
「すぐ入られるようでしたら、お湯を入れておきましょうか?すぐにご用意できますので」
部屋を案内した子?が言ってきたのでお願いした。
浴槽にある魔法陣に何か呟くと水が張られ、その後もう一つの魔法陣に何か呟くとお湯になった。
「へぇ~、君って子供なのにこんなに魔力を使っても平気なんだね」
ライカがその子に話しかけた。
「いえ、私はこう見えても大人です。小人族ですので」
「え?そうだったの?これは失礼しました」
「いえいえ、お気になさらず。よく間違えられますので」
浴室と露天の湯船にお湯を張ると甲斐甲斐しくもリビングでお茶を入れてくれた。
そこまですると部屋の出口でこちらを見ている。
「僕たちは見ての通り冒険者なんだけどね。しばらく旅に出るから明日は食材などを買いに行きたいんだ。どの辺りに行けばそういうお店が多いかな?」
「食材関係ですと、この宿を出て大通りを西に向かってすぐ商店街があります。そちらに行かれてはどうでしょうか。
たくさんお店がありますので」
「なるほど、ありがとう。ああそうだ、これを。」
俺は銅貨を数枚渡した。
この世界のチップ相場なんてさっぱり分からないから適当に渡しといた。
「ありがとうございます。何かありましたら受付までご用命ください。いつでも対応いたしますので」
そういうと小人族は出て行った。
「じゃあ早速お風呂入ろう!」
と俺が声を掛けると、すでにみんな服を脱いでいるところだった。
「何してるのー?ケンも早くおいでよ!」
ライカに関してはすでに浴室に入っていた。
「お、おう」
俺は慌てて装備を外し、服を脱ぐと魔法の石鹸をと布を用意しお風呂に入る。
みんなで体を洗いっこして湯船に入ろうとしたが、
ジーナとリンダはなかなかに汚かったので3人がかりで石鹸を付けて泡立ちがよくなるまで洗ってお湯で洗い流す。
3回位繰り返すとなかなかにキレイになった。
お湯を流す度にブルブルしてウォータースプラッシュ攻撃をしてくるのでなかなかに賑やかな入浴となった。
結局みんなが体を洗い終えるころには浴槽のお湯はかなり減っていたので、露天風呂に入る。
こうやって女の子たちとお風呂に入れるのはいつまでかなぁ・・・なんて考えていたが
恥じらいとは無縁のライカやジーナとリンダを見ているとまだしばらく大丈夫そうだなと思う。
お風呂から出ると、ジーナとリンダを温風で乾かしてやる。
そのあと毛並みを櫛でとかしていくと、見違えるようにキレイになった。
お風呂から出ると、リビングのテーブルには夕食が用意されていた。
「本日のメニューは、グリフォンの骨付き肉香草オーブン焼き、カーキの殻焼き、タタイの塩焼き、貝の酒蒸し、小魚の煮つけ、彩りサラダです」
俺達が席に着くとメニューを説明してくれた。
「これ、1階のレストランで見たことあるね」
「よく分かりましたね。これらの料理は1階レストランで調理されておりますので」
「そっか。じゃあさレストランのメニューを追加で注文はできる?」
「もちろん可能です。少々お時間を頂くかもしれませんが」
「タタイの釜めしを・・・みんなもいる?」
「いるー」
「じゃあ人数分」
「かしこまりました。少々お待ちください、すぐに用意しますので」
そういうと、小人族の子は出て行った。
「じゃあ、早速だけどいっただっきまーす」
「いただきまーーす」
俺達は豪華な料理に舌鼓を打った。
グリフォンの肉なんて初めて食べたけど、意外と癖もなく美味しかった。しいて言うならば意外に牛肉に近いかな?
30分程経った頃、釜めしが追加された。
銀貨3枚を支払い、チップに銅貨を数枚渡すと小人族はお礼を言って出て行った。
いや~、やっぱり米旨いわ!
というわけで俺達は夕食を堪能した。
お腹がいっぱいになるとすぐ眠たくなるのが子供の体。
みんなでキングサイズのベッドに移動した。
いやぁ~、ふっかふかですよ!
食後眠そうになっていたジーナもリンダも、ふっかふかベッドで飛び跳ねている。
元気になっちゃったみたい。
一頻遊んだあと落ち着いたころにみんなに声を掛けた
「明日はギルドに行ってみるつもりだけど、その前にいくつか買い物に行こうと思う。食材もきっとバリよりたくさんありそうだし。
それにジーナとリンダは装備を整えたりしなくていい?」
「私もリンダも、装備には獣族の身内から譲ってもらったものなの。どれもステータスを補強する力が付与されているものなのでこのままで大丈夫よ」
「そっか。じゃあ特に必要なものはないかな?」
「あるにゃ!魚釣りの道具が欲しいにゃ!」
「あー、そういうのか。じゃあそういうのも探してみようか」
「やったにゃ!」
猫なのに自力で獲れないのか。まぁ獣人だから釣りもありなのかな?
そんな話をしながら俺達はいつの間にか寝ていた。




