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旅立ち

あけましておめでとうございます。

今年も「俺のまったり異世界ライフ」をよろしくお願いします!

出発の日。


村の入り口にはみんなが見送りに来てくれた。

アスラやララの他にも一緒に旅に出るライカの両親であるベンさんとエリン先生、

それにレムザさんやダクティさん、囚われ仲間のグリンやピッケル、モズクやパセリも来てくれた。



「「「みなさん、行ってきます!」」」


俺達は元気よく挨拶し、みんなに見送られて俺達3人は出発した。


俺達が目指すのはまずはバリの町となる。

が、今回は地竜や馬車などではなく徒歩で行くことにした。


急ぐ旅でもないし、途中魔物を討伐しながら行こうというわけだ。

とはいえ、本当にただ歩くだけだとバリの町まで結構かかるので

軽く【身体機能強化ブースト】は付けている。


しばらく行くと、湖に向けて伸びる獣道に来た。


「そういえば、昔はこの先に魔物がいたよね。またいるかもしれないから行ってみようか」


「賛成!」


獣道を進むと湖に出た。

そこから湖伝いにぐるりと回り、途中から川になっているところから川沿いに下る。

水面を見ていると、サメのような背びれの魚がいた。


「あれってサメかな?」


「いや、サメは海水じゃないと。ここ淡水だよ?」


「あれはキラーフィッシュじゃないかな」


なるほど、海でも見たような気がするが魔物さんなら海水とか淡水とか関係ないのね。


「ライカ、キラーフィッシュって食べれるの?」


「食べれるよ。結構淡泊な白身で美味しいよ」


そうなのか。サメっぽい奴は白身魚扱いなのか。


「じゃあ一匹確保してみようか」


「でも川の中には入っていきたくないよね。食べられたくはないよ」


「ほんじゃまあ、魔法で遠距離攻撃して棒か何かで手繰り寄せるか」


俺は手近な背びれに向けて手を差し伸べ

「【電撃サンダー】」


手から出た電撃は一直線に背びれに命中した。

すると水面にぷかぁ~とキラーフィッシュが浮かんできた。


それも3匹。


近くにいたのか。。。


一匹で1メートル位のサイズがあるので三匹なんていりませぬ。


というわけで一匹だけ棒で手繰り寄せてキラーフィッシュゲット!


早速その場で平らな石の上で三枚に下ろす。

表面の皮を剥いで身だけにすると塩を振って20センチ程の短冊にすると、

それを棒に突き刺して準備完了!


そこまで準備していると後ろでライカが焚火の準備をしてくれていたので直火焼きにしていく。




それにプラスしてアラと水を土鍋に入れて焚火の真ん中にセット。

沸騰したら塩で味を整えて完成!


本日のメニューはキラーフィッシュの串焼きと粗炊きです。

うん、アウトドアっぽい!


ちなみに、三枚に下ろしている途中で魔石が出てきたのでそれはゲットしておいた。

また、放置していた2匹のキラーフィッシュはしばらくしたら息を吹き返したようで

元気に泳いでどっか行っちゃった。


「この串焼き結構いけるね!脂も載ってて白身で淡泊なのにうま味があるよ」


「そうだね。それに粗炊きも塩しか入れてないのに美味しい」


「これ煮つけにしても美味そうだよね」


「ああ、いいかも」

味噌とか醤油とか欲しいな。。。

そういえばシーマに行ったときに広島風お好み焼きを食べたけど、

あの時にソースが存在していた。あの味はほぼ前世のものと変わらなかった。

確かお好みソースって材料に醤油が入っていたような。

ということは探せばこの世界にも醤油があるのかもしれない。


そう考えると未来は明るいぞ!


「ごちそうさまでした!」


「おそまつさまでした!」


食事を終えて少し下ると、見覚えのある風景を見つけた。


「初めての魔物はここから森に入ったところだったね」


「ちょっとだけ寄ってみようかな」


俺達は森の方へ足を進めた。


「【索敵エネミーサーチ】」


「うん、この先に魔物の群れがいるみたいだ」


反応のあった方向へ進むと、スライムとゴブリンがいた。


俺は剣を構えると一気に距離を縮め、一刀両断!

そして魔石を回収、次の敵に向かうという形で戦った。


魔法で倒してもいいが、結局魔石を回収するためにそこまでいかないといけないから

だったら最初から接近して倒す方法を選択した。


チラッとみるとユイも同じ方法で倒していく。


ライカは後方から俺達から一番遠い敵に遠距離攻撃をしていた。


ものの数分でスライムさんとゴブリンさんの団体様を処理できた。


「以前はオークとかもいたのに、今回はいないみたいだね」


「それじゃ、どんどん進もう!」


俺達は森の中をどんどん進んでいった。


結局森を抜けるまでに倒した魔物は、


スライム×23匹

ゴブリン×28匹

トレント×8匹

ジャイアントスパイダー×4匹


という結果だった。もちろん魔石は回収したよ。


森を抜けるとバリへと向かう道に戻ってきた。


魔物もほどほどに狩れたのでここからは道沿いにバリへ向かう。


地竜だと数時間で着く距離だけど、いくら【身体機能強化ブースト】してても徒歩だとまだまだかかる。

陽が暮れる時間になってもまだバリの町には到着しなかった。なので今日は野宿が決定した。

となるとどこを宿泊地とするか。一本道から少し外れた人気のなさそうなところまで行くと、

土魔法で小さな小屋を作った。扉も窓も仕切りも何もない、簡単なものだ。出入りできるだけの穴はあけているので出入りはそこからする。

小屋に隣接するように湯船を作る。


やっぱり風呂には毎日入りたいやん。


湯船ができたら小屋を出たところに焚火の準備。

夕食用に村から持参した干し肉を土鍋に入れ、森を移動中にライカが採取した野草やキノコを軽く洗って土鍋に入れる。

弱火でコトコト煮込めるくらいの火加減を魔法で作り出し、しばらく燃え続けるよう魔力を調整する。これで夕食の準備は完了。


そのあと、湯船と小屋まで床を作っていると、小屋の中ではライカが草木魔法で簡易ベッドを作ってくれていた。

ベッドといっても立派なものではない。

藁を敷き詰めただけの本当に簡易なものだ。しかし地べたで寝るより100倍は寝心地がよさそうだからありがたい。


俺達はお風呂に少し熱めにお湯を張り、みんなで一日の汗を流した。

入浴が終わると風呂を消した。魔法で作ったものは解除すれば消すことができる。


風呂から出るころにはセットしておいたお鍋がいい感じに煮えていた。

最後に塩で味を調整して完成した鍋、その名も、干し肉と森の恵み鍋!を3人で食べた。

そこそこ美味しく頂けたが、やっぱり冒険者となると野営時の食事情はどうにか考えたいものだ。


お風呂も食事も終わったので小屋に入ると出入り口として開けていた部分を壁で塞ぐ。

完全に密閉空間になったので天井に光魔法で灯りを取って、

壁にいくつか小さな穴をあけて通気口を作った。


「じゃあそろそろ寝ようか」

3人で固まって藁のベッドに入る。俺が真ん中で左にライカ、右にユイ。

あと数年成長してれば立派なハーレム状態だよなぁ・・・。


「おやすみ」

旅の疲れもあって俺達はすぐに眠りについた。





翌朝、準備を整えると小屋を消した。藁のベッドはそのまま放置。

なんか植物系だからそのまま自然に還りそうだし。


出発すると一本道なので特に魔物を見ることもなかった。

このファンタジー世界、魔物は意外と少ないように思う。

森の奥とかに入っていけば確かにいるが、この街道では今まで一度も見かけたことが無い。


今日も【身体機能強化ブースト】を付けて軽いジョギングでバリの町を目指す。

そんな感じで数時間、やっとバリの町に到着した。


「とーちゃくーーー!!」


「着いたねー!」


「まずはどこから行く?」


「もちろん、腹ごしらえにいこう!」


「さんせ-」


というわけで、俺達は入り口から一番近くの食堂へとやってきた。


「一角兎の網焼きセットを3つ!」


「はいよ!銀貨2枚銅貨4枚だよ」

お金をぴったり渡した。

「ちょうどだね。ちょいと待っててね」


食堂のおばちゃんに注文をすると、子供相手でもとても感じがよかった。

しばらくすると注文した料理が届いた。


一角兎の網焼きがメインに、ホッタテのスープ、サラダに黒パンというセットだ。

今日は朝ごはんを食べれてないから3人ともガツガツ平らげていった。


「おお、いい食べっぷりだね!これはサービスだよ。しっかり食べて大きくなるんだよ!」

おばちゃんが黒パンを追加で持ってきてくれた。


なんていいおばちゃんなんだ。今後は昔のお姉さんと呼んであげようか(笑)

「ありがとうございます!!美味しいのでいくらでも食べれます!」

「あら、ありがとう。でも、褒めてもこれ以上はないよ!」

「ほんとうですよ!」

「その恰好、冒険者かい?」

「昨日地元の村を出て来たばかりの新人冒険者なんです」

「そうかいそうかい。がんばんなよ!ところで最近冒険者ギルドのほうが日に日に騒がしくなっているようだけどあんた達は行かなくても大丈夫なのかい?」

「何かあったのでしょうか?先ほどこの町に着いたばかりなので・・・」

「そうかい。だったらギルドに行ってみるといいかもしれないね」

「わかりました、そうします」


なにかあるのかな?


俺達は食事を済ますとお礼を言って食堂を出た。

そのままギルドに行くと確かに以前来た時よりも雰囲気が違っていた。

受付以外の職員はなにやらバタバタした感じだし、

掲示板のおいてある交流スペースに冒険者はほとんどいなかった。


「すみません、何かあったんですか?」

「あら?あなたはアスラさんとこの・・・」

「ケンです。覚えていてくれたんですね」

「そうね、子供が冒険者になるのは珍しいからね。それよりも・・・ちょうどいいわちょっと待っててね」

受付の職員は奥に行くとすぐに戻ってきた。

「2階の奥の部屋、ギルドマスターの部屋へ行ってちょうだい」

「わかりました」

何があったのかよくわからないけどもとりあえず奥の階段から2階へ上がり、ギルドマスターの部屋に行った。


コンコン。


「どうぞ」

「こんにちは、デンゼルさん」

「おお、よく来たね」

「何かあったのですか?」

「実はね、3週間位前からバリの町と精霊都市シーマの航路にクラーケンが出るようになってね」

「あ、この前シーマに行くときに見ました」

「あれを見たのかい?そうか。そ、それでね。そのクラーケンが少しずつだがこの町に近づいてきているようなんだ」

「あのでっかいのがこの町に?」

「まだ距離はあるものの、このままだと4日後位には港のすぐそこまで来てしまいそうでね。ちょうどアスラにも連絡しようと考えていたところだったんだよ」

「そうだったのですか。しかし、なんでまたこの町に向っているのでしょうか」

「そもそもクラーケンはもっと外洋にいるもので、この辺に出現したという記録は残っていない。だから原因も不明というのが現状だよ」

「冒険者を募って討伐とかは?」

「相手はあのクラーケンだからね。。。Bランク冒険者以上のパーティーが20以上はいないと話にならないが、この町にそんなに上級者はいない。だからアスラにも声をかけようと考えていたんだ」

「なるほど。では僕たちはFランクなので戦力にはなりそうもありませんね」

「いや、君たちはFランクで登録しているが実際はもっと上だと私は思っている。できれば今回の件手伝ってもらいたいと思っている。どうだろうか?」

「それはもちろん構いませんが、どうするおつもりで?」


コンコン

「失礼します」


入ってきたのはコスィーだった。

「あっ来客中・・・あら?あなた達はアスラさんところの。」

「こんにちは、コスィーさん。先日は灯台の件でお世話になりました」

「こちらこそ」


「コスィー、ちょうどよかった。お前も入ってくれ」

コスィーさんは俺達の前にあるソファーに腰かけると話し始めた。


「分かりました。先ほど偵察の船が戻ってきましたのでその報告に参りました」

「そうか、それでどうだった?」

「やはり予想通り昨日よりもこちらに向けて移動しているということでした」

「そうか・・・」


「デンゼルさん、それで対策は?」

「ああ、そうだね。今回はクラーケンが相手だ。海で戦うにはリスクが高すぎる。よって港にて防衛線を形成するつもりだ。目的は討伐ではない。追い払えればいいのだ。港に近づくと痛い思いをするとクラーケンが理解してくれれば追い払えれるのではないかと考えている」

「では、冒険者は港からクラーケンの姿を捉え次第遠距離攻撃をするんですね」

「そういうことになる」

果たしてそれでうまくいくのだろうか。

それにコスィーさんを見て思い出した事がある。


「ところで、お二人はクラーケンが強い光に魅かれて移動するという話をご存じでしょうか?」

「ああ、船乗りたちの噂話だろう?」

「そしてクラーケンが現れる前にこの辺りで強い光が出たものといえば、僕たちが灯台に魔法をかけたのが思い当たります。時期的に考えても、この話が噂レベルではなかったとすれば話の辻褄が合いませんか?」


「・・・・」

「いやしかしだね、灯台の光にいちいち反応していたらクラーケンは世界中の港に出現することになる。だがそんな例はない」

「そうかもしれません。が、今まで世界中にある灯台よりもここの灯台は強い光をだしていると思います」

「では、灯台の光を消せば来なくなるというのか?」

「可能性はあるのではないでしょうか。防衛線を張るにしても、その前にその位は試してみてはいかがでしょう」

「そうだな・・・そうしよう。コスィー、灯台に蓋でもつけて光を遮るよう手配してくれ」

「わかりました」

そういうとコスィーさんは早速部屋を出て行った。

「それでデンゼルさん、先ほどの防衛線の話ですが港で展開すると町に被害が出る恐れがあるのではないかと思います。そこで考えがあるのですが・・・」

「どんな考えだい?」


「まずクラーケンの今後の進路ですが、このままどこかに行ってくれるかもとか灯台の光を消したら来なくなるとかそういう可能性はあるかもしれません。が、最悪の事態を考えるとそれらの可能性だけに頼っていては危険です。ですので、この際討伐することを前提に考えます。そのためにはこの町だけでは戦力が足りないということでしたので、精霊都市シーマの冒険者ギルドにも協力を仰いでください。それは可能ですか?」

「もちろん可能だよ。だが、どの程度の戦力がこちらに来てくれるかは不明だよ」

「分かっています。ですが、上級魔法を使える、もしくは遠距離攻撃が可能な冒険者パーティーを可能な限り集め、この町の冒険者で遠距離攻撃可能なパーティーも合わせてクラーケンの進路上にある無人島に配置しましょう。また、遠距離攻撃ができない冒険者はこの町の避難誘導に回してください。クラーケンはとにかくデカいので、あれば暴れると陸地に大きな波がくる可能性もあります。高台か、もしくは船に乗せて避難させておくのがいいと思います」

「ふむ、それで、君たちは?」

「僕たちも遠距離攻撃が出来ますので無人島にて待機、クラーケンを捉え次第攻撃します。そこでお願いがあるのですが、シーマで数日後に合流予定だったジーナとリンダという獣族の剣士がいるのですがその二人をこちらに回してもらえませんか?」

「分かった、シーマのギルドに連絡してみよう」

「それと進路上の島々の中には人が住んでいる島もありましたよね?そこにも避難の連絡を回したほうがいいかと思います」

「そうだな。しかし、それであのクラーケンを討伐できると思うか?」

「やってみなければ分かりませんが、、、やれるだけのことをやってそれでももし討伐が難しそうであればみんなで逃げましょう!」

「・・・そうだな。まさか子供の君たちに言われるとは。我々大人がもっとしっかりしないといけないね」

自嘲気味に笑いながら言った。


「よし、ではその作戦でいこう。私は方々に連絡して回る。君たちは明日もう一度来てくれないか?」


「わかりました。町を守るため、頑張りましょう!」


それだけ言うと俺達は部屋を出た。


1階に降りると魔石を持っていることを思い出し、納品受付に行った。


「あの、魔石を買い取ってもらいたいのですが」


「はいはい、どうぞ。ではギルドカードを出してください。」

3人のギルドカードを出し、続いて手持ちの魔石をごっそり出し、買い取ってもらった。


スライムの魔石銅貨1枚×23=銅貨23枚

ゴブリンの魔石銅貨1枚×28=銅貨28枚

トレントの魔石銅貨1枚×8=銅貨8枚

ジャイアントスパイダー銅貨1枚×4=銅貨4枚

グレートロックバードの魔石銀貨4枚×2=銀貨8枚

合計、金貨1枚銀貨4枚銅貨3枚となった。


「あら?あなた達、そろそろランク上がりそうじゃない。ギルドカードを持って地下のサブマスターのところへ行ってらっしゃい」


「わかりました」

ランクアップの条件ってなんだったんだろう。

クエストを熟した数ではないのは明らかなんだけど。

とりあえず言われるがまま地下1階にある部屋へと向かった。


コンコン

「失礼します」


そーっとドアを開けて中に入ってみると、中には誰もいなかった。


そういえば、ここのじいちゃんはサブマスターらしいから、

クラーケン関係で今はデンゼルさんと打ち合わせでもしているのかもしれない。


俺達は諦めてさっきの受付に戻り誰もいなかったからまた今度来るとだけ伝えギルドを出た。

さて、どうしようかな。


「ねぇ、クラーケンを相手するなら魔法道具屋に行ってみない?何か役に立つものがあるかもしれないよ」

ライカさん、ナイスな提案


「ライカ、最初クラーケンを見た時だいぶ怖がっていたのに今回は大丈夫なの?」


「最初見た時は確かにびっくりしちゃったけど、もう大丈夫だよ。ボクだって他の魔物ともちゃんと戦えてたでしょ?」


「そうか、大丈夫ならいいんだけど。もし今回も厳しいようなら言ってね」


「大丈夫だって。でもありがとう」

ライカさん、今日もいい笑顔。


「それじゃ、魔法道具屋を探そうか」


この町ももう4回目だ。なんとなく商店がどのあたりにあるのか分かり始めてきた。

そのなんとなくを頼りに探してみると、あった。


リリの魔法道具店


あら、名前の響きからして美少女の店なんだろうな。などと期待して入ってみた。

「いらっしゃい」


予想は外れた。いや、数十年前は美少女だったかもしれない人が迎えてくれた。


「ヒヒヒ、これは可愛いお客さんじゃね。何をお探しかい?」

完全に悪い魔女の話し方じゃないですかー。


「僕たち新人冒険者なんですが、何か便利なものがあればと思いまして」


「そうかいそうかい。だったら・・・・これなんかどうじゃ?」


持ってきてくれたのは水晶っぽい素材でできたドクロ。


「これはなんでしょうか?」


「これはな、魔力を込めると膨大な力が解放されると言われている水晶のドクロ(のレプリカ)じゃ」


なんですと?水晶のドクロって言ったら前世でもオーパーツとして有名なやつじゃん。

それのオリジナルがこんなところに??


「へぇ、水晶のドクロなんて初めて見ましたよ。これオリジナルなんですか?」


「・・・じゃ」


「え?」


「レ・・・じゃ」


「なんですって?」


「じゃあから、レプリカじゃ」

なんでちょっと怒ってるんだよ。


「ああ、ですよね。で、このレプリカはどのような効果があるんですか?」


「お守りとしての効果があっての、心強い気持ちになれる」


気持ちの問題?

うーん、いらん。


「えっと、他には何かないですか?」


「そうじゃの・・・」

次に出してきたのは紙に包まれた白い粉だった。


「これなんかどうじゃ?こいつを使うと不安とか一発で吹き飛ぶぞ」


ダメ、絶対。


「その、、、気持ち的な部分じゃなくてもっと実用的な・・・」


ガチャッ


「ただいまー。あらお客様じゃない、いらっしゃいませ」


入り口から入ってきたのは40代位の品のよさそうな女性だった


「あら、もう帰ってきたのかい?今客を中毒者にしようと・・・」


ああん?中毒者だと!?

このババァ、なんてこと考えてやがる


「もう、またお客で遊ばないの。店番はもういいからね。はい、お待たせ。店主のリリよ。どういったものをお探しですかー?」


あのババァを容認しているこの人も信用ならんのでは・・・。


「いえ、冒険者なので使える道具があればと思い寄ってみましたが、もうそろそろ時間が無いのでこのへんで・・・」


「あら、、、あー、、そういうことか。大丈夫よ、さっきまでのは店番を頼んでいたけどこの店の商品じゃないの。勧められたのは魔法道具ではなかったでしょう?」


「たしかに。。。」


「冒険者の必需品といえば・・・魔法鞄は持っている?もしまだ持っていないならうちでも扱っているわよ?」


「魔法鞄ですか?持っていないです。どういう物なんでしょうか?」


「こっちのこれが全部そうよ」

案内してくれた商品棚には所狭しと鞄が置かれていた。


「魔法鞄はその見た目からは想像もつかないくらいたくさんの物が入れられるのよ。ほら、こうやって開けば口のところも伸びるから大きなものも入れられるわよ。ただし重さは変わらないから気を付けてね」

棚から一つ鞄を取って、見せてくれた。


「これはいいですね。ちなみにどの鞄も容量は同じ位なんですか?」


「この棚に飾ってあるのは大体見た目の3倍くらいね。その隣の商品だなのは5倍位は入るわよ」


「確かに便利そうですね。おいくらでしょうか?」


「こっちのが銀貨5枚、こっちのは銀貨8枚よ」

容量が大きいほうがやはりお高いようだ。


「これは買いだね、ユイとライカも買うでしょ?」


「そうだね。どれにしよーかなー」

ライカは早速鞄を見比べている。


3人がそれぞれ一つずつお気に入りの鞄を手に取ると


「これください!」


「はい、ありがとう」


「他には役に立ちそうなもの、ありませんか?」


「そうねぇ・・・冒険者によく売れているのはこの血染めのナイフとかかしら。このナイフは刺したものの血を吸い取る特性があるのよ。物騒に聞こえるかもしれないけど、動物や魔物を解体するときに使う冒険者は多いみたいね。これは銀貨6枚だけどいかがかしら?」


「それもよさそうですね」


「他にはこの風のマントとかかしら。装備すると暑さ寒さを和らげる効果があるわよ。装備しちゃえば手荷物にもならないし。これは銀貨3枚よ」


マント!これは暑い場所では日差しから守ってくれ、寒い場所では上着のさらに外に一枚あるだけで保温効果がよくなるという優れもの。しかも、着けているだけでカッコイイというオマケ付き。


「他には、、、この魔法の石鹸とか。使っても使ってもなかなか減らないのよ。大体一つあれば毎日使っても3年は持つ優れもの。銀貨9枚だけど3年使えると考えたらお安いでしょ?」


これは絶対欲しいヤツだ。花王。じゃなくて、買おう。


「他にはこれかな。魔法陣が中に埋め込まれていてね、魔力を込めると光るのよ」

どう見ても懐中電灯ですが、実際そうみたいでした。


「これなんかどうかしら?」

次に見せられたのは名状し難いバールのようなモノだった。

「これはハンマー、ピッケル、釘抜きにも使えるし場合によっては武器にもなるわよ。それに魔力が込められているから想像以上の破壊力が期待できるわよ」


エクスカリバールが町に売っていていいんですか!?


「では、魔法鞄(5倍)、血染めのナイフ、風のマント、魔法の石鹸をください」


エクスカリバールは自分で作れそうだったので購入は諦めた。

ユイとライカも同じセットを購入。


そして今まで使用してきた鞄を売却・・・と言っても銅貨1枚での引き取りだったが・・・

マントを装備。他のものを魔法鞄にしまうと店を出た。


「最初にいたババァはかなり危なかったけど、良さそうなアイテムが買えてよかった」

「水晶のドクロやら白い粉やら・・・なんだったんだろうね」

「今後見かけても絶対に近寄らないでおこう」


3人でグチを言いながら次は港に向かった。


港で分かったこと。

1、シーマ行の定期便が現在欠航であること。再開の見込みは未定であること。

1、灯台の光はフタがされて光が出ていないこと(すきまからちょっとは漏れているけど)

1、漁に出る漁師も少なくなっており、海産物がいつもより少なくなっていること。

1、この港には防波堤がないこと。


「これだとやっぱりクラーケンを何とかしないと先に進めないね」

「それに、クラーケンが暴れて大きな波が来たらこの辺かなり被害を受けそうだよ」

「勝手に防波堤作っちゃおうか」

などと話していたら、見たことがある人がいたので声をかけた


「こんにちは、バリート=バリさん!」

「はい、こんにちは。ん?君たちは・・・」

「5年前はお世話になりました。アスラ=アーノルドの子供で、ケンです」

「ああ、あの時の。今はいろいろあって定期便は結構しているんだよ」

「はい、聞きました。それにクラーケンの事も」

「なぜクラーケンの事を・・・ああ、冒険者になったのか」

俺達の恰好を見て、察してくれたようだ。


「それで、この港には防波堤がなさそうなので念のために作ってしまおうかと思っていたのですがいいですか?」

「防波堤?というのは何かな?」

「大きな波を防ぐために、港の沖合数百メートルのところに岩を積んで波を受け止めるものです」

「そんな大掛かりなもの、君たちができるのかい?」

「港のすぐ近くなら水深もそれほどじゃないでしょうし、出来ると思いますよ」

「そうかい、ならやってくれてもいいが。。。そこの小舟なら使っていいよ。ただし、使用は今日限りだ」

「わかりました」

俺達の承諾の返事に、バリさんは「え?」って顔をした。

そんなにすぐにできるものではないと思っていたのだろう。


まぁ、あまり気にせず言われた小舟を借りて港から沖に100メートル程出た。

「ライカ、俺達がこの辺りに防波堤作っていくから船の動きは頼むね」

「おっけー」


俺とユイはまず土魔法を使って棒を作り出し海底まで届かせた。

そしてそのままさらに地面の中へ突き刺し底にある硬い地層まで伸ばした。

そこまで伸ばしたら今度は棒の太さをどんどん太くしていく。直径1メートル程になったので形を円から四角に変える。そこまで出来上がると、船から降り、出来上がった四角い地面に乗る。そこに手をついてさらに大きくしていく。

数十分で港と並行になるように長さ50メートル位の地面が出来上がった。

続いて幅が今の1メートルだと弱いだろうから幅を広げていく。

前世だと大体2~3メートル程度だったよね。細かい寸法はとらないけど、大体前世の記憶にある防波堤のサイズへ広げていった。

数十分で幅3メートル、長さ50メートルの立派な地面が出来上がった。

「二人とも大丈夫ー?」

小船で俺達の作業を見守ってくれていたライカが心配して声をかけてきた。

「大丈夫だよー。これからこの地面をもう少し高くするから少し離れててね」

「わかったー、無理しないようにね」

「あいよっ!」


俺とユイは出来上がった地面にさらに魔力を込める。

すると地面がゆっくり盛り上がっていき少しずつ高くなる。

魔力を込めながら、防波堤ってどのくらいの高さが適当なのか分からないけど前世の記憶だと海面から3~5メートル位だったような気がするのでとりあえずそれよりちょっと高いくらいまで作り上げた。

あとはここまで泳いできた人が上に登れるように梯子を取り付けてと。

「ライカー、この梯子で登っておいでよー」

「わかったー」

ライカは少し離れていたが声をかけるとすぐにこっちまでやってきて梯子と船をロープで繋ぐと、防波堤の上まで登ってきた。

「うわー、すごーい!海の上に立ってるんだね!」

ちょっと前まで少し退屈そうな顔だったのが信じられない位いい笑顔じゃないですか。


そうなのだ、ここからの景色はなかなかイイものだ。

前方180度は見事な海!途中島が見えるけど、海しかないところは水平線まで見える。

振り返って後方を見ると、バリの港が一望できる。

ん?あれはバリートさん。他、漁師っぽい人や衛兵っぽい人などたくさんの人がこっちを見ている。


まぁ、突然こんなものが出来上がってたらビックリするか。

終わったらバリートさんに説明しておこう。


「ライカ、まだ完成じゃないんだよ」

「そうなの?」

「このままだと波の力をそのままこの防波堤が受けてしまうから長持ちしないんだよ。だからこの防波堤の前に波を消すブロックを置いていくんだ」

そういうと俺は土魔法で高さも幅も1、5メートルほどのテトラポッドを作り上げた。

「こんなのをこの防波堤の前にたくさん積んでいくんだ。これを置いておくと波の威力を分散させることができるからね。ライカもやってみる?」

「うーん、うまくできるかなぁ・・・」

「少々形が歪でも問題ないよ!問題は硬さだけど、岩くらいの硬さまで密度を上げればそれでいいよ」

「わかった、じゃあやってみる」

ということで俺達は防波堤の前にテトラポッドを作っては沈めるという作業繰り返した。


そんなことを続けていると、小舟が出来上がった防波堤のところまでやってきた。

「君たち、本当に防波堤を作り上げたんだね!驚いたよ」


「バリートさん、もうちょっとで完成しますので待っててもらえますか?この消波ブロックをもうちょっと入れて完成ですので。。。」


「わかった、作業を邪魔して悪かったよ。このまま待たせてもらうよ」


結局3人掛かりで合計500個くらいはテトラポッドを作って沈めただろうか。

防波堤の高さと同じくらいになるまでテトラポッドを積み上げて完成した。


「お待たせしました、バリートさん」

「いやいや、君たちはすごいな!まじかで見せてもらってそれがよく分かったよ」

「いえ、この辺の海は穏やかですけど、あのクラーケンが暴れたらどうなるか分かりませんから」

「確かにそうだね。これで被害が無くなるといいね。あとでうちの管理部から報酬を出すように言っておくから取りに来てくれるかい?」

「せっかくですが報酬のために作ったわけではありませんので」


「もちろんそうだろう。報酬の話なんかしなくても作ってくれていたんだからね。それは分かっている。だが私もこの町の責任者として君たちに何かお礼をしたいというだけだよ」


「そうですか、ありがとうございます。では町の管理部とかそういうのはちょっと苦手なので冒険者ギルドのほうに預けてもらってもいいですか?」

「そうか、そうだな。君たちは冒険者になったんだものな。分かった、そうするよ。そして、町を代表して君たちに感謝したい。ありがとう」


完成したので俺達がバリートさんと共に港に戻るとすごい歓迎された。

主に漁師の人達からの歓迎がすごかった。

俺達は、突然港にこんなものが出来たので操船に気を付けてほしい事を伝えた。


そうこうしていると陽も暮れ始めていたので宿に行くことにした。


やっとこの物語の主人公も冒険の旅に出られました。

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