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精霊様のお告げ

翌朝、俺達は神殿の前まで来ていた。


正面には大きな噴水があり、高さ5メートル位まで噴き出していた。


神殿の入り口からは、通路の両サイドからすごい量の水が流れ出ている。


流れ出た水と噴水の水が合わさって、神殿を囲むような堀に流れていた。


この水は掘からさらに川となって四方に伸び、シーマの町の外側まで続いているそうだ。

そんな大規模な川の源泉だから、まぁ水量が多いのもうなずけるというものだ。

そしてこの水は聖水としての効果もあるそうで、町に魔物を寄せ付けないらしい。


これが所謂水の精霊様の加護というやつらしい。


水があれば農業が潤う。


そして安全な街であれば人は集まる。


人が集まると物が集まる。


商業が盛んになるとさらに人が集まる。


この精霊都市シーマは水の精霊ウンディーネの加護の基、繁栄してきた街なのだ。


一応、この街を治めるのは4人の伯爵がいるらしいけどどっちかというと管理部門みたいな感じらしい。





入り口から神殿に入るとエントランスは吹き抜けになっており、広さはそこだけで体育館くらいはある。

まず目を引くのは正面の大きな階段と、その両側にある大きな2体の石像。


石像は大きな水瓶を肩に持った女性で、その水瓶からは大量の水が噴き出していた。

石像の前にあるため池に落ちてきた水はそのまま建物内にある川を流れ、入り口から出て行いっていた。


川には橋が架けられて手すりが付いており、人が落ちないようになっていた。


入って左側には受付らしきものが作られており、とりあえずそこに向かった。

受付は長蛇の列になっていた。

まぁ世界中から10歳毎に人が集まるのだから仕方ないか。


受付では名前と年齢、出身村を伝えると数字の書かれたカードを渡された。

材質は石のような金属のようなでもよく分からないものだったが、

俺が渡されたのが163と書かれており、ユイは164と書かれていた。

ライカは165だった。


「このカードを持って正面階段を登り、奥の通路から163番の部屋でお待ちください」


事務的に受付の人に言われたので3人で正面階段を上がると、

開けっ放しの状態の扉があった。


進むと通路が左右と正面にありそこに神殿スタッフがいた。


「1番から100番までの人は左へ、101番から200番までの人は右へ進んでください」


「俺達は右みたいだね」


10メートルも進むと通路は左に曲がった。


一本道なのでそのまま進むと、左右に扉いくつもあった。


左の扉には101番、右の扉には102番、少し進むと左の扉に103番、右は104番。


左右50部屋ずつあるのか。

俺達は163だから結構先だな。


精霊様のお告げって、自分一人だけ受ける場面しか想像していなかったけど、

この世界では7つしかない精霊神殿に世界中から節目の年齢になった人が集まるんだから

確かにこんな風に大勢に対応できるようになっているか。


163番のプレートがかかった扉の前に来ると渡されたカードが光り、扉に吸い込まれる。

そして扉がゆっくりと開いた。


中は真っ暗で何も見えないけど、まあ行くか。


「じゃあ終わったら神殿の外で待っててね」


ユイとライカに声をかけると部屋の中に入った。


暗いのでゆっくり進むと、扉は自動的に閉じられた。


扉が閉まると完全に外から光は入ってこないが、

よく見ると正面の壁全体が薄く青白い光を放っていた。



精霊様が順番にお告げして回るからここで待っていなさいということか。

それにしても163番目っていつになるんだろう。


そう思っていると、すぐに正面の壁から青白い光が強くなり空間が歪むような光り方に変わり、

その光が一つの形を作り始めた。


なにこれ、ファンタジー!


光は最終的に水でできた女性になった。


『ようこそウィンデーネの神殿へ。ケン=アーノルドにお告げを授けましょう』


おお、これが水の精霊ウィンデーネか!

思ったより小っちゃいけど登場シーンでファンタジー感もあったし、いいじゃんいいじゃん。


「はい、よろしくお願いします」


『ス・・・・ン』(小声)


え?何か言ったかな?


『ケン=アーノルド。あなたはとても強い体と魔力・それに深い知識を持っているようです』


おお、なんかそれっぽいな。


『そしてそれらはまだまだ未完成のようです』


10歳で伸びしろ無しとか言われたらツライかもなぁ。


『あなたはこれからその優れた力を研鑽し、そしてこの広い世界の中で人々の役に立てる力となるよう生きるのがよいでしょう』


なるほど。


『それでは、また10年後にお告げを授けます」



・・・え?




「・・・おわりですか?」



すると青白い光を放ちはじめる。


出現したときと逆パターンか!?



いやいや、確かアスラはお告げを受けて冒険者になったとか言っていた。

だからあなたは冒険者となってどこどこで何々をし、その後どこどこに行って何々をしてって・・・

こう具体的な何かがあるんじゃないの!?


今回のお告げで俺はどうすればいいかサッパリわからん。

というか、今まで通りの生活でよさそうじゃん。


などと考えているとすっかり青白い光はなくなり正面にはただの壁だけとなった。


どうやら本当に終わりらしい。



仕方ない、出るか。


後ろを振り返った時だった。



『ちょっと待ちなさいーーー!!!!』












急に大きな声が響いた!


何事かと振り返ると、そこには体長20センチほどの水でできた羽の生えた女性がいた。


「なんじゃこりゃ!」


『なんじゃこりゃとは失礼な!この私が水の精霊ウンディーネ様よ!敬いなさい』


いやいや、これならさっきのお告げをしてた女性のほうがウンディーネっぽいよ?


『むむ!あんた今私のこと小っちゃいとか思ったわね!』


「いえいえいえいえ、そんなことないですよ!」

精霊って考えてることが読めるのか?


『あ!そんなあっちでも!?』


「え?今度はなんですか?」


『ええい、ちょっと待ってなさい!』


自称水の精霊ウンディーネは右手の壁に向けて手を差し伸べると壁が消失した。


消えた壁の先はこの部屋と同じ部屋がもう一つ。


そしてそこにいたのはユイだった。



『これでよしっと。同時にイレギュラーが現れるとかやめてよね』



「えー、俺達何かしましたかー?」



『さて、あなた達二人は通常のお告げプログラムじゃ対応できていないのはもちろん、

それ以外にもちょっとあるから特別に私本人からのお告げを授けるわ!』


「お告げプログラムってなんですか??」


『ああ、さっきのお告げしたヤツよ。あれは水の微精霊に私が命令を書き込んで自動で動いているのよ。

お告げに来た人を【鑑定スキャン】して現在のステータスをそれとなく教えてるの』


鑑定ってそういえば異世界転生物語ではよく聞くな。

俺達にも使えたりするのかな。


『そのあと、まだまだ伸びる才能があればそれと、あとは特殊なスキルを持っていたらそれも教えているのよ』


そうそう、スキルとかそういうのだよ!


「俺達にもそういうスキルはあるんですか?」


『あなた達は・・・通常の人族適正の魔法と、、あとは[限界突破]だけね』


「その[限界突破]とはどういうものですか?」


『珍しいパッシブスキルだけどね。例えば本来どんなに鍛えても100メートルを15秒でしか走れなかった人が、

このスキルがあれば頑張れば12秒で走れるようになるわけ。頑張り次第で10秒かもしれないし、14秒かもしれないけど

どちらにしろ限界を超える力を持っているのよ』


「なるほど。他には?」


『他は・・・なさそうね。まあ一つでもスキルがあるなんて珍しい方なんだから感謝しなさい』


「はぁ・・・。あと、お告げを聞くとそのあとどうするか結構具体的に方針が決まるみたいなことを聞きましたが、

さっきのお告げはかなりぼんやりしてましたよ?」


『それは受け取り方次第よ。さっきのお告げでも、冒険者になろうと思って聞くと冒険者になるし、

農家になろうと思って聞けば農家になるし。その本来持っている想いに後押しする形をしているでしょ』


なるほど、確かにそうかもしれない。

占いみたいなもんか。


『そんな事よりも、あなた達二人は魂が同じなのよね!それに魔力値が異常だし、どういうことなのよ!』


「どう、、、と言われましても。俺達転生者なんですよ」


『転生者なんてあたりまえじゃない。誰だって輪廻転生しているもの』


「まぁ、そうなのかもしれませんが、前世が同一人物なんですよね」


『何あなた達、前世の記憶があるの?まぁそれは珍しいけどたまにあるからいいとして、

同じ人物が転生したら二人になったわけか・・・』


『ちょっとやっかい・・・いや好都合かな』(小声)


「え?」


『いやいや、なんでもないわよ。気にしないで』


気になりますよね、それって。


『で、さっきも少し言ったけどあなた達は魔力値が異常なのよ。普通の人が10とすると、大人の魔法使いで100、

やり手冒険者の魔法使いで300とか。過去の大戦時の英雄パーティーにいた魔法使いでも1,000位のものよ』


「は、はぁ・・・。」


『魔族の中でも魔王クラスで2,000とか。それがあなた達ときたら100,000もあるのよ!もうバカじゃないの!』


「バカとかひどい!(泣)」


『しかもそれが二人!どうなってるのよ』


「魔力は赤ん坊のころから毎日使ってたので、人よりは多いかとは思ってましたが・・・」


『人より多い!?そりゃ多いわよ、あなた達だけで魔王100人分の魔力があるんだから』


「てかなんで怒ってるんですか?」


『怒ってなんかないわよ!むしろあなた達の魔力を有効活用してあげようと思うわけよ』


どういうこっちゃ!?


『まずはこれを』


ちっちゃい精霊は手を俺とユイに差し向けると何か唱えた。


すると俺達の首にはネックレス・・というよりはチョーカーが現れた。


それには水という字を〇で囲った形のものが付いていた。


「なにこれ?」


『聞いて驚きなさい。あんたたちは人族だから召喚魔法は使えないけど、この魔法陣に魔力を込めると私を呼び出せるのよ!』


「は、、、はぁ・・・」

この漢字の水に〇で囲まれた印が召喚魔法の魔法陣なんだろうか。


『もっと驚きなさいよ、精霊を召喚できるなんて普通じゃありえないことなんだからっ!』


「しかしなんでこれを俺達に?」


『ずばり、理由は簡単。その魔法陣に魔力を込めると、あなた達の魔力が私に転送されるのよ!だからちょくちょく私に魔力を送りなさい』


え?ナニソレ。

俺達搾取される側じゃないですか。

ヤダー。


「えと、そんなんだったらお断りs・・・」


『はぁ!?』


「いえ、だからそれならおこt・・・」


『なになに!?よく聞こえないー』


こいつ、、、わざとか。


「ちなみに、魔力を送らないとどうなるのですか?」


『べ・・・別にどうにもならないわよ?』


なぜどもった。

あやすぃ。


『そんな事より使い方の説明ね。私を召喚しようと考えながら魔力を送ると召喚できるわ。何も考えずに魔力を送ると、魔力が転送されるだけ。

どお?簡単でしょ? ちょっと、魔力を送る方をやってみなさい』


こいつ、、俺達の返事を聞かずにごり押ししようとしてやがる。


「その前に。精霊召喚をして俺達になんのメリットがあるのですか?」


『はぁ!?こんなにプリティーな私が召喚できるというだけでどんな犠牲があってもメリットしかないじゃない』


「では、精霊様は何ができるのですか?」


今のところ、水が作り出せてその水が聖水になっていると。

あとは【鑑定スキャン】が使えて。

あとなんだろう。


『世界の1/6は水系統の力で出来ているのよ?つまり、大抵のことはできるわけ。お分かり?しかも知識量も人族には想像もできないくらいよ』


「では、異世界のことなどは分かりますか?」


『はぁ?異世界??そんなのあるわけないじゃない。全く、夢見がちな坊や達ね』


異世界転生のことはサッパリ分からないっぽいな。


がしかし、この世界のことは俺達よりも詳しいのは確かだろう。

なんせ、この世界が出来た時に大精霊が6属性精霊を創ったとされているからね。


たまに余っている魔力をちょっと送るだけでその知識が手に入るというのはメリットかもしれない。

まぁ口が悪いのが難点か。


「わかりましたよ、ではちょっと魔力送ってみますね」


俺達はチョーカーについている水〇の印に手を触れて魔力を少しだけ送ってみる。


『ちょ!バカ!!バカバカ!一度にそんなにたくさん送るヤツがいるかーーー!』


あれ?送った魔力は全体の1/20も使ってないけど。。。

あ、そうか。さっきの魔力値の説明が本当だとすると俺の1/20でも5,000ってことか。

でユイと二人分だから10,000。

となると、魔王の全力魔力5人分ってことになるのか。


とりあえず魔力を送るのはもっとちょっとにしなきゃいけないのね。

気を付けよう。


「大丈夫ですか?」


『はぁ・・・はぁ・・・。まったくもう。とりあえず制御不能分のありあまる魔力は水にして放出したから大丈夫よ』


「魔力の送り方は分かりました。まぁ今度からはもうちょと控えめにしますよ」


『はぁ・・・はぁ・・・そうしてくれると助かるわ」

なんだかまだちょっと慌ててる感じがあるけども。


『それとこれが重要なんだけど。さっきも少し話に出たあなた達の魂の話』


「たしか同じ魂とか言ってましたね」


『そう。まさにそれが問題なの。例え双子であろうが魂というのは各々独立した存在なわけ。だから完全な同一なんてありえないの』


「でも、そうだとしても俺達はどうすれば?」


『さすがに私の一存では決めれない。だからあなた達は他の精霊に会いに行きなさい。都合がいいから冒険者にでもなればいいわ』



「そんな理由で俺達の職業が決められちゃうのかよ」


『なによ、文句ある?他の精霊のところまで行くには、世界中を旅することになるのよ。国を超えて活動している冒険者ギルドか

商人ギルドに登録するのが都合いいじゃない。あんた達は魔力バカなんだから商人じゃなく冒険者のほうがいいでしょ!?』


人のことは何度もバカとかいいやがって。

今度魔力送るのは遠慮なくぶち込んでやろうか。。。


「まぁ冒険者にはなってみたいと思っていたからそれはいいとして、なんで他の精霊のところに行かなきゃいけないんだ?」


『さっきも言ったけど、私は世界の1/6しか分からないの。だから他の5精霊と話し合う必要があるわけ』


「じゃあいきなり大精霊様のところにいけば一か所で終わるんじゃない?」


『バカなこと言わないでちょうだい!大精霊様に声をかけて結局なんでもなかったりしたら大変なんだからね!

だからまずは6属性の精霊で話し合ってから、必要なら大精霊様のところにも行くという形にするのよ!』


精霊の世界って体育会系みたいな感じなんだろうか。。。


「わかったよ。それともう一つ聞きたいんだが、わざわざ旅をしないでもなんかこう・・・瞬間移動みたいなのはないの?」


『ほんとあんた達は発想からして子供ね。そんなの、大精霊様以外使いこなせないわよ』


あら、そうなの。

しかしまぁ、それが無いとなると世界中を移動しなきゃならんのか。



この精霊、まったく敬ったりできそうにないな。


大抵の事(1/6)は何でもできる(キリッ!


プププ。



「分かりましたよ。じゃあ俺達は一度家に帰って家族に報告します。そのあと準備が出来たら旅立ちますね」


『分かればいいのよ。そうしなさい。それと魔力は定期的に送ること。送るときはそ~と優しく送るのよ!』


なにそれ。ちょっとずつ送ってくれと言えばいいのに。


「はいはい。じゃあいくわ」


そう言うと、ウンディーネの体から部屋中に青白い光が放たれたと思うと

ウンディーネは消えて普通の部屋に戻っていた。


扉を出ると、ちょうどユイも正面の扉から出てきた。


あれ?さっき壁が消えたときは隣にいたのに。

異世界不思議パワーだろうか。


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□頭脳派脳筋の異世界転生もよろしくお願いします。
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