(04-4)相談
世間はゴールデンウィーク直前。校内はどこか気の抜けた空気で廊下にもいつもより人が少ない。
放課後、明里は意を決して新城先生に相談した。
「先生、今度のゴールデンウィーク、夜に学校に泊まって天体観測って……できませんか?」
新城先生は少し困ったように笑って首を横に振った。
「実はね、それも考えたんだけど……もう予定が入っちゃってるの。急にできた部活だから調整がきかなくて。ごめんね」
一瞬、胸の奥がきゅっとなる。けれど先生はすぐに続けた。
「夏か秋には必ずやりましょう。夜の観測はそのときが本番よ」
天文部に戻ってそのままみんなに報告する。
「そっかぁ……残念」
「満天の星、望遠鏡で見たかったよね」
「ネットの写真じゃなくてこの目で見たいよね」
口々にそんな声が上がる。
「でも、夏とか秋には合宿しようって先生が言ってた」と明里が言うと「それまで我慢だね」「うん、楽しみ取っておこ」
と、みんなすぐに前向きになった。
先生が来ない日の部活では、夕子が星にまつわる神話や伝説を話してくれることが多かった。夕子はそもそも天文部に入りたかったと言うだけあって、他の三人より詳しかった。
オリオンやプレアデス、月に住む兎の話。静かな声で語られる物語にドームの中の空気が少しやわらぐ。
話を聞きながら、明里の心にはまだ見ぬ夜空が広がっていく。
屋上いっぱいに瞬く星々。
息をのむほどの闇と光。
――その日が来るのを、ただ楽しみに待てばいい。
そう思うと、胸の奥がまた少しあたたかく膨らんだ。




