(04-3)太陽観測
初めての太陽観測はとにかくドキドキした。それは、始める前に先生から何度も、そして強く注意されたからだった。
「望遠鏡で太陽を見るときは絶対にそのまま覗いちゃだめ。これは天文の世界では常識中の常識よ」
先生の声はいつもより少し低く真剣だった。
「肉眼で太陽をちょっと見ただけでも目がおかしくなるでしょ。それを望遠鏡で見たら、もう“ちょっと眩しい”なんて話じゃない。最悪失明の危険もあるの」
四人は思わず息をのむ。
「だから、必ず望遠鏡の先に太陽観測用フィルターをつけるの。これ本当に大事だから。忘れないで。必ず」
その言葉が明里の胸にしっかり刻まれていた。
みんなで声を掛け合いながら慎重に慎重にフィルターを取り付ける。ちゃんと固定されているか、角度は合っているか、何度も何度も確認する。
そして――
ゆっくり、
そっと、
望遠鏡を覗き込んだ。
言葉を失う、とはこういうことなのだと思った。そこには、はっきりとした輪郭を持つ丸い太陽があった。その周囲ではゆらゆらと炎のようなものが揺れ動いている。
生きている。
そう感じずにはいられなかった。月を見たときの静かな感動とはまったく違う。力強く、雄々しく、圧倒的で――思わず畏怖の念を抱いてしまう。
「……太陽も、すごいね」
誰かが小さく言った。
「きれい……」
「当たり前だけど、月とは全然違うね」
それぞれが思いついた言葉をぽつりぽつりと口にする。
最後に先生が静かに言った。
「神秘的よね」
その一言が明里にはとてもしっくりきた。
科学で説明できるはずなのに、それでもなお説明しきれない何かがそこにある。
最初の太陽観測。明里は望遠鏡の中の太陽からしばらく目を離すことができなかった。




