(04-1)充実の放課後
新暦四月二十八日。
旧暦では四月一日。今日から卯月。
新月の夜明けで空には月の姿は見えない。それでも明里の胸の内は不思議と明るかった。見えないからこそこれから満ちていくのだと思える。そんな始まりの日だった。
天文部の活動が始まってから明里の毎日は大きく変わっていた。これまでは学校から帰るとすぐに宿題を片づけ、終わり次第神社へ向かう。宿題がなければそのまま神社へ直行。多少の例外はあってもほとんどがそんな流れの毎日だった。
今は違う。放課後になると迷うことなく屋上へ向かう。天文部の活動が明里の日常に新しい居場所をつくっていた。
部室――というには少し特別。
屋上の天体観測ドーム。
そこには先輩たちが残してくれたたくさんの資料があった。観測記録、星図、手書きのメモ。最初の頃はそれらを読み返しながら、先輩たちがどんなふうに空を見上げていたのかを想像する時間が多かった。
そして、新城先生が顔を出してくれる。
望遠鏡の扱い方。
機材の名前。
星座の話。
月の満ち欠けの理由。
専門的な話も多いはずなのに、先生の語り口はやさしくどこか楽しそうで四人はいつも引き込まれていった。
太陽や月を天体望遠鏡で観察する日もあった。覗き込むたびに肉眼とはまるで違う世界がそこにあって思わず声が漏れる。観察日記に書き込む文字も自然と多くなった。
毎日必ず観測するわけではない。それでも月や星の話をしながら過ごす放課後は明里にとってとても充実していた。




