経済、採点
何?14億?どこから湧いてくるのこんな金!
花子が目を見張っていると、背後から冷ややかな囁き声が落ちてきた。山田だ。
「花子先生、まだ説明してなかったか。ここは完全なる出世払いシステムだ。志望校にねじ込まれ、その地でしっかりと根を張ることができたら、希望額の報酬が下りる仕組みになっている。佐伯もそうだ。……どうだ、アイツに見込みはなさそうか?」
見込みがない、だと? とんでもない。
あの限られた短時間で、即興かつ完璧な論理構成で論文を書き上げたあの問題児を舐めてもらっては困る。本人に自覚など欠片もないだろうが、こちら側のリソースとして計算すれば、とんでもない特級の逸材なのは火を見るより明らかだ。
“あと山田さん、このレポートの採点、一体どう処理すればいいわけ?”
花子は佐伯の奇妙なレポートを突き出すようにして、山田に冷ややかな視線を向けた。
山田はちらりと目を通すと、不敵に鼻を鳴らす。
“ふーん、有限の優劣に対して無限の可能性、か。……よし、素数のべき乗分だけ右にビットシフトさせて、ランダムに全員を捩じ込め!”
“は? 何言ってるの……”
“そもそも、俺の塾生にこんな浅い優劣の序列をつけようなんて発想自体が甘いんだよ。花子先生、貴方ももう少し脳のキャッシュを増やさないと……このままだと、こっちが恥をかかされる羽目になりますよ?”




