↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
INTJ の浪人  作者: siliconAEGIS
第3章:再び動き出す歯車
PR
38/45

指示書

夜の静寂を切り裂くように、花子は自宅のポストから一通の茶封筒を引き抜いた。消印も宛名もない。ただ表に、無機質な筆跡で――『指示書』とだけ記されていた。


差出人は言うまでもない。山田だ。


封を切ると、中から一枚の便箋が滑り落ちた。そこには、あいつ特有の、まるで世界を嘲笑うかのような軽快かつ圧倒的な筆致でこう綴られていた。


『花子先生、お疲れ様。

何をやっても空回りして、すべてが他人のせいにしか見えない連中を見たことがあるだろ? 先日の同窓会で顔を合わせた、あの変わり映えのしない連中さ。あいつらに限って口を揃えてこう言うんだ。「あの頃は良かった」ってな。


だが、俺がそんな敗北者のセリフを吐いたことがあるか? ない。絶対にない。

何故なら、俺にとって今この瞬間が人生で一番面白いからだ。それってつまり、生き方の違いだろ? だが、あんな退屈な学校じゃ、そんな生存のプロトコルなんて一文字も教えてくれない。


だから、俺の進学塾を畳む。――いや、それをそっくりそのまま引き継いで、今度は花子先生が迷えるガキどもにその「生き方」を教えてやってくれ。

花子先生ならできる。


もし失敗したらどうするかなんて、無駄なエラー処理を考えるな。――責任は、すべて俺が取る』


花子は便箋を握りしめ、暗い部屋の中で冷徹に、しかしどこか歓喜に似た笑みを浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。