陰謀の尻尾
ジェシカが唐突に私のMBTIを聞いてきたのは、不意打ちだった。
反射的に「……INFJですけど」と答えると、彼女は不敵な笑みを深めた。
「なら、話についてこれそうね。彼も私もINTJだからこそ分かるんだけど……彼は昔から、途方もない秘密プロジェクトを水面下で仕込んでいる。いま表立って動いていないのは、単に準備が整っていないからよ。あの男の脳内で何年もかけて構築されているものだとしたら――地球規模、いや、それ以上のスケールの計画の可能性が極めて高いわね」
ジェシカは冷徹な眼差しを私に向け、さらに畳み掛ける。
「あなたは彼の“先生”であり、同級生でもある。おまけに頭も切れる。彼が夜の誘いにあなたを引き入れていること自体、彼があなたを信用している何よりの証左だわ。……ねえ、少し彼の動向を監視してくれないかしら?」
そう言って、彼女はスッと一枚のカードを差し出した。
「これは私とのホットラインよ。あなたの素性なんて調べ尽くしているから連絡先はいらないけれど……まあ、私の情報なんて、普通の検索網では絶対に引っかからないからね」
受け取ったそれは、名刺というにはあまりにも大きすぎる葉書サイズの重厚なカードだった。
中央には威圧的なハクトウワシのエンブレムが刻まれ、その周囲には国家の中枢に触れるジェシカの機密情報がびっしりと書き込まれている。
――これを持ち歩くこと自体が、この国の法や理性の外側に踏み出す行為なのだと、冷たい手触りが雄弁に物語っていた。




