第16話 サーシャという名前
シェルシーはベッドで眠っているサーシャの側で優しく見守っていた。
シェルシー「サーシャ、お母さんよ、分かる?」
しかしサーシャは眠ったままだった。
シェルシー「…夢でも見てるのかしら」
その言葉も届かぬくらい、深い眠りについていた。
そこはサーシャの夢の中。
サーシャは夢の中の自分の部屋で眠っていた。
ふと気がつくと、ドアの前に誰かが立ってこちらを見ていた。
それは懐かしい人だった。
サーシャの側に近づいて来た。
それは紛れもなくサーシャが小さい時に亡くなった父親であった。
父親はサーシャの頭を優しく撫でて話しかけた。
サーシャも話しかけ、二人はほんの少しだけ言葉を交わした。
父親はサーシャを寝かせ、サーシャが目を閉じると、安心したかの様にその場から静かに立ち去った。
その後、サーシャは夢の中でも深い眠りについた。
サーシャが気を失ってから三日後の朝。
一同は食堂で朝食を食べ終わり、メニが医務室まで様子を見に行くと。
メニ「あ、ああっ!サーシャ!サーシャが起きた!」
サーシャはベッドの上で身体を起こし、足に毛布を掛けて座っていた。
メニ「あ、待ってて、皆んな呼んでくる!」
メニは慌てて皆んなの所へ駆けて行った。
サーシャは状況が掴めず辺りをキョロキョロしている。
メニから聞いて皆んなは走って来た。
ベッドの上のサーシャを囲む様に皆んな集まった。
シェルシー「気がついたのね、良かったわ、このまま起きなかったらどうしようかって心配だったのよ、私の事分かる?お母さんよ」
サーシャ「お母さん?」
メニ「私は?」
サーシャ「?」
シャード「私の事分かる?」
オリバー「僕は?僕の事覚えてる?」
サーシャ「?」
サーシャは訳が分からず困っている。
おばあちゃん「やっぱり、みんな忘れちまったんだね」
皆んなは少し落胆した。
だが、そんな中シェルシーだけは気丈にサーシャに続けていた。
シェルシー「いい?貴女の名前はサーシャそれは分かる?」
サーシャ「…サーシャ?」
シェルシー「そう、それが貴女の名前よ、一番大事な事だから覚えておくのよ、いい?」
サーシャはシェルシーに満面の笑みを見せた。
シェルシー「いい笑顔ね、じゃあ次行くわよ、いい?…」
サーシャは全てを忘れた。
しかし、これから新たに沢山の事を覚えていくことになる。
新たな人生の旅路は此処からはじまるのであった。




