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1:出会い

 夢を見ていた。今や記憶の片隅にある出来事だが、人生の行く道を決定させた事件だ。はっきり言って、思い出しただけで胃が痛くなる。


 あの頃のあたしは本当に馬鹿だった。勉強ができるだけで周りを見下し子供(ガキ)扱いしていたんだ。だからこそ反感を買い孤立した。それでも自分は悪くない、お子さまなあいつらが悪いと思い込んでいた

 本当に間抜けだよ。タイムマシンがあるなら自分をぶん殴ってやりたいね。身長だって変わらないし問題無いだろ。

 …………話が逸れたな。そう、あれは中学二年の秋だったかな。あたしは工事が中止になったビルに来ていた。魔物が出たとかで建築工事が止まりヒーローが調査をしていたんだ。

 で、あたしはそこに魔物の写真を撮りに行ったんだよ。

 ああ、マジでイカれている。自殺行為にしか見えないね。でもあたしは行かなきゃならなかった。お使いの途中でクラスメートに財布を盗られて、それを返してもらう条件にってやつだ。あたしの金ならともかく、盗られたのは親の金だ。流石に無視はできない。腹が立つがあたしはビルに入ったんだ。


 それが人生の分かれ道になるなんて、ガキのあたしに想像つかなかった。それでも少し考えれば解るはずなのにさ。魔物が出た、巣くい居座っているって噂がある場所。危険に決まっている。


「ヒっ……」


 初めてみた生の魔物。テレビやネットで見た事はあったが、本物は迫力が違う。いや、おぞましいって言った方が正しいかな。棘だらけで帯電する蛇。あたしくらいなら一口で丸呑みできそうな十数メートルはあるバカでかい蛇の魔物だ。

 怖かった。初めて感じる死の気配、食われる恐怖。逃げようにも腰が抜けて身動き一つできやしない。思考だって鈍っていた。

 大きく開いた口が視界を埋める。その時だ。


「大丈夫かお嬢ちゃん? ったく何でこんなとこにいるんだ。立ち入り禁止って書いてあっただろ」


 宙に浮く身体。冷たい腕に抱きかかえられていたのを覚えている。

 ビックリしたな。なんせ目を開けたら悪人面の怪人に抱えられていたんだから。ヒーローだってすぐには気づかなかったよ。


 それがあいつとのファーストコンタクトだ。まぁあいつはこっちの事なんざ覚えちゃいないだろうね。なんせ数ある助けた小娘の一人でしかない。

 で、あたしはヒーローに関わる仕事に就くために勉強をして、ギアのメカニックになって……あたしもヒーローになっていた。


 魔法少女マリリンってヒーローに。

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