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43:集う

 土煙が巻き上がりアスファルトの破片が散らばる。砕かれる街。規格外の巨体が全てを踏み潰した。

 僅かな静寂。誰もが唖然とする光景。そんな世界を電柱の上から冷や汗まみれに見る人影が一つ。


「あ…………っぶねぇ」


 肩で息をしながら額の汗を拭う。

 善継はギリギリのところで飛び退き回避に成功していた。しかし頭は驚愕に染まっている。

 こんな図体で? さっきまで地を這いつくばっていたはずなのに。脳がかき混ぜられているような気分だ。


「銃といい、図体といい、どうにかしないとな」


 目を閉じ深呼吸。再び瞼を開ければ無数の眼球と視線を交わす。気持ち悪い面だ。昔観たSF映画に出てきたサイボーグモンスターを思い出す。

 お互い向けるのは敵意のみ。六本の脚を踏み鳴らしながら振り向き、銃口を向ける。


「さぁて、どうするか……なっ!」


 飛び降りるのと同時に発砲。拳くらいはあろう弾丸が頭上を掠める。

 飛ぶより走る方が慣れている。銃撃の雨をかい潜り外殻の隙間に一撃を入れよう。走り出すのに一歩遅れ銃声が響いた。

 来る。そう脳が警告を鳴らした瞬間、目の前に何かが庇うように飛び出す。


「!!!」


 蛙だ。金属製の骨に黄色い半透明の機械の蛙が銃弾を食らったのだ。ジュッと鉛玉が溶ける音。鼻にツンとくる刺激臭がする。


「こいつ。やれやれ、やっと援軍か」


「オーバートランス!」


 上空から聞こえる声に反応し蛙が跳ねた。


『デコレーションアップ!』


 腹から真っ二つに分離。空を舞う黒い翼、真理の右腕と肩に合体する。


『魔法少女マリリン! グラトニーガントレット!』


『A frightened face is the best spice』


 蛙の鎧をまとった蝙蝠の魔女。真理が上空から狙いを定める。頼もしい、そう心から思える。


「待たせたな!」


「助かる。だが注意しろ。こいつの対空砲火は激しいぞ」


「なら撃たせなきゃいいんだろ」


 ニヤリと頬を上げレバーを二回回しクロスギアを叩く。


『Arms』


『グラトニーフィニッシュ!』


 右腕の蛙が口を開く。泡立つ黄色い液体を膨らませると吐き出した。大きな唾が迫るも怪獣、ファランクスは銃を重ね防いだ。

 だが浴びたのは金属を溶かし腐蝕させる酸の塊だ。刺激臭をまき散らしながら蒸気を上らせ銃を破壊する。それだけではない。触手も、外殻も侵食していく。

 金属と生物、その両方に効果抜群。流石の性能と言えよう。


「効いてるっ!」


「当たり前さ。そうら、このまま溶かしてやる」


 再び右手の蛙を向ける。しかしこの怪物も見た目通りの虫ではない。真理の攻撃を理解し、脅威だと認識している。

 傷ついた触手を体内に引っ込めたかと思えば、すぐに新たな武器を再生したのだ。今度は銃身の下部にグリップのついた大口径の銃、ショットガン。飛行能力を持つ二人には有効だと考えたのだろう。

 確かに散弾の方が命中精度も上。火力より精度を取るのも手だ。だがそれよりも……


「んなぁ!?」


 真理も再生速度に目を見開く。元々体内にしまっていたのかと疑うほどだ。


「今更驚きはしないが、なんでもありだな。真理、回避を優先しろ! その隙に、って!?」


 お前も忘れていない、と叫ぶように再びガトリングが火を吹く。敵が増え暴れ狂うように弾をばら撒き、辺り一面を破壊して回る。

 避けるのも防ぐのも難しくないが、このままでは街の被害が増すばかり。弾丸の嵐をかい潜り蜘蛛の巣型のカッターを脚に投げる。

 だが効果は薄い。浅く切りつけるだけだ。それどころかこちらを踏み潰そうと足踏みをしだした。

 この巨体では歩き回るだけで甚大な被害を生む。棒立ちのままでいてくれるのが理想だが、こいつは意思を持つ怪物だ。被害も考えず……いや、わざと被害を拡大させている。

 どうにかしなければ。そう頭では理解しているが何もかもが足りない。

 その時地面を砕き大量の蔦がファランクスの脚に絡みついた。

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