第4話
「まさか…俺の痕跡が消されてる…のか?」
イーサンは考え込む。
「俊くん?」
「何か見つけたの?」
気付けば部長と美咲が僕の顔を覗き込んでいた。
「あ、いや。ちょっと事件に驚いただけですよ」
そう言って誤魔化すと、2人は笑う。
その時だった。
「何してるの」
ガラッと部室のドアが開きクロエが入ってくる。
「うわっ誰?」
「ん?クロエさん?」
驚く2人を無視して、クロエはパソコンを覗き込むと僕を睨んだ。
右上のIDの名前を見たのだろう。
「これ、お姉ちゃんのIDね」
「えっとこれは…」
「どうやって手に入れたの?パスワードまで」
「だからその…」
どうすればいいのか分からず、ついイーサンに視線を向ける。
「…いいさ、話してみろよ」
真剣な顔でイーサンはそう言った。
「…ふう、実はね……」
そうしてイーサンとの出会いからあったことを全て話した。
「それを信じろって?」
クロエが相変わらず冷たい目で睨んでくる。
「あの~、クロエ…さん?たぶん本当ですよ、俊はこんなことでは噓付かないですし、事実ログイン出来てますし話の筋は通ってます」
部長が庇ってくれる。
「あなたは?」
「あ、僕は部長で2年の大石真って言います」
「あっ…すいません先輩」
「あはは、いいですよ全然。昔から俊くんは幽霊が見えるそうでいろいろと相談に乗ったりしてたんです。実験で隠したカードの数字を当てるとかしてみたりとか……あ、すいません話が逸れちゃいましたね」
「いえ…」
クロエは渋々納得してくれたようだ。
「でも、俊の話が本当なら怖いわね。殺されると自分の痕跡が消されるわけでしょ?」
「そうだね~、指紋のデータとか医療記録が消えてるって事はもしかして持っていたものや家も消えちゃってるのかも…」
部長がそう言って考え込む。
「っ!まさかそれで、peaceがpaceに…」
イーサンが呟く。
「それでpeaceがpaceになってたのね。でも、証明できないわ…」
イーサンと同じことをクロエが言った。
「そうだね…存在した痕跡が消えるんだもの。世界を書き換えるようなチカラだ。今回は死体が残っていたから分かったけど、死体まで処理されるとこの世にいた事も忘れられてしまう。下手に追いかけてしまうとそれこそ捕まえられるのかな?」
部長が言う。
「ひっ!」
美咲が小さく悲鳴を上げた。
「そうね…」
「でも、死者が出てるのは止めないと…」
正義感というよりは恐怖から出た言葉だった。
「うん、それは正しいと思う…そうだ!」
そう言うと部長は紙を取り出して何かを書く。
そして、僕たちに一枚ずつ渡した。
「これは?♠️?」
「私のは♣️?クロエだから?」
「私のは♥️」
「僕のは♦️これは四つで1つ。僕達がお互いを忘れない為にね。さっきのpeaceの話で思い付いたんだ。これは四つ無いと成立しないからね」
「部長…」
「何があるか分からないんだこれくらいしとこうよ」
そう言うと部長はウインクした。
部長なりの盛り上げ方だ。
「ふふっ、良いですね」
美咲が笑う。
「すいません私まで」
「良いよ全然、こうして集まったのも何かの縁だし…そう言えばお姉さんが怪物警察何だよね?今回の事は伝えるの?」
「はい、一応伝えてみます」
「ん、よろしくね。じゃあ今日は解散しちゃおうか、意外と明日には良い案でるかも」
そう言ってパソコンを片付けるとみんなで教室を出る。
「またね」
「はい」
「ばいばい」
「さようなら」
それぞれ別れの言葉を告げ、家に帰るのだった。




