第3話
放課後、僕は部活の為に部室に向かっていた。
幽霊が見えるって理由でなんとなく参加してる部活だけど、みんないい人ばかりなので居心地がいい。
「まだショックを受けてるの?」
「当たり前だろ!俺の事を知らないとか言うんだぞ!」
「どうせしつこく迫りすぎて忘れられたんじゃないの?」
「ばっ、そんな関係じゃないっての!」
「はは」
初めてやり込めた気がする。
部室に入るともうすでにみんな来ていた。
みんなと言っても3人だけだ。
学年が1個上の部長と、僕ともう1人。同じ学年でクラスの違う女の子、間宮美咲だ。
「お、俊くん。ようこそ」
「あ、伊藤さん、こんばんは」
「はい、2人ともこんばんは」
荷物を置いて席に座る。
いつも何もせずただ好きなことを喋るだけの緩い部活だった。
今日は珍しく部長がパソコンで何かを書いていた。
「部長どうしたんですか?珍しいですねパソコン使うなんて」
「うん、オカルトのレポートを書いてるんだよ」
「すごいですよね。部長はそれをネットにアップしたりするですって」
「はは、大した事じゃないよ。調べた記録をにっきがてらアップしてるだけさ」
「へ~」
部長の知識は豊富で、幽霊が見えることの相談とかさせてもらったり、結構お世話になっている。
「今回のは何のレポートですか?」
「ふふ、実はね。見つけたかも知れないんだよマインドフレイヤを!!」
「マインドフレイヤって…あのD&Dの?」
美咲が部長に聞く。
「そうそう、雨の日に偶然歩いてるのを見かけたんだよね。いろんな怪物と共生してるけどマインドフレイヤは初めてだからさ良いネタになるかも!!」
「それってタコの魚人だったんじゃ…」
美咲が呆れながら突っ込む。
「あっ………ま、まあそういう事もあるよね」
「部長早とちり多いんですから…」
3人で笑い合う。
いつもの光景だった。
僕の後ろにいる幽霊以外。
さっきからこそこそと喋り掛けてきている。
こそこそ喋らなくても僕以外には聞こえないのだが。
「なに?」
イーサンに小声で話し掛けた。
「あのパソコン使わせてくれないか聞いてくれ」
「何で?」
「俺の死んだ情報とか怪物警察サイトにアクセスして見てみたい」
「ん~」
いまいち信用ならない奴だけど、さっきもアリスさんの秘密を知ってたし本当に関係者なのかな。
心を決める。
「すいません部長、少しパソコン借りても良いですか?」
「ん?あ、良いよレポート書く必要無くなっちゃったし…何するの?僕らにも見せてよ」
「あ、はい」
パソコンを借りるとイーサンの言われたままに入力していく。
すると、怪物警察のサイトに繋がった。
「おっ、スゴいねこんなサイトあるんだ」
「伊藤くんてもしかしてハッカー?」
部長と美咲が驚く。
実は僕も驚いていた。
「IDとパスワードは…」
イーサンの言われた通りに入力して、Enterキーを押す。
『このIDは存在しません』
「嘘だろ」
イーサンの焦る声が聞こえた。
「もう一回頼む」
イーサンの言われたままにもう一度入力してみる。
『このIDは存在しません』
「くそっ!死んだから消されたのか?」
「流石に入れないよね~」
「ふふ、伊藤くんどこでID見つけたの?」
部長と美咲が残念といった表情で笑う。
「あ、待てよ。もう1個IDを知ってる!」
イーサンが叫ぶ。
「あっ、もう1個入れてみますね」
再びIDを入力する。
パスワードを聞こうとイーサンの方を向くと少しモジモジと恥ずかしそうにしながら言う。
「パスワードはクロエラブ1105」
ブッ。
思わず吹き出した。
「大丈夫?」
「大丈夫か?」
部長と美咲に心配される。
「ちがっ、俺のじゃないアリスのだ!!」
「大丈夫です。ちょっとむせただけです。行きます」
パスワードを入力する。
ログイン出来た。
「嘘だろ!?」
「嘘でしょ!?」
2人が驚く。
正直信じられなかったが、あの幽霊は本当に怪物警察の関係者だったのだ。
「俺の情報と、殺した奴の情報が見たい」
イーサンの言葉通りに操作していく。
「俺の情報がない…それどころか俺のやったことが別人の功績になってる。どうなってるんだ…」
「すごいよ俊くん。ハッカーみたいだね」
「こんな才能あったのね」
「ははは」
「まて、このデータを見せてくれ」
言われた通りにデータを開く。
「ヘッドイーター事件?」
「うわっ、首から上を食べる!?しかも服も脱がせた上に持ち物も盗んで裸で放置するのか…ひどいねこれ」
「遺体は照会しても合うものが無く、どこからか来た旅行者と見られる…ね」
部長が顔をしかめる。
美咲は興味津々といった感じで見ていた。
「……これ、俺が死んだ場所だ。日付も同じ。だが…遺体は身元不明だと?」
「えっ!?」
イーサンの言葉に思わず声が出たのだった。




