第2話
「何とか誤解を解かなくちゃ!」
改めて僕は決心する。
「それよりもあの子にお姉ちゃんにさ~」
「はぁ~、はいはいそれもね…」
そしてアレから休み時間の度にクロエの元へ行き説明をした。
そしてお昼にようやく。
「はぁ、分かったわよ。連絡して上げる」
「ありがとうクロエ!」
「よくやったぞ俊!」
呆れられながらも、姉に告白するつもりがないこと、そして「イーサン」という人物から用件があることを理解してもらえた。
クロエがスマホから電話を掛ける。
僕達は緊張しながらコール音を聞いていた。
ガチャッ。
電話が繋がる。
『どうしたのクロエ?』
クロエがスピーカーにしてくれるのでこちらにも聞こえた。
「あ、おアリス姉ちゃん。ごめんなさいお姉ちゃんの知り合いのイーサンって人から伝言があるんだって…」
『イーサン?』
「そう」
『ん~、誰だろ?そんな名前の人知らないと思うけど…』
アリスは淡々とそう言った。
「はっ?」
イーサンが息を呑むのが聞こえる。クロエが「どういうこと?」という目でこちらを見てきた。
「おい冗談言うなよな」
イーサンが震える声で叫ぶ。
「えっと…冗談とかじゃなくてホントに知らないんですか?」
思わず僕は口に出していた。
『えっ誰?』
「学校の同級生の伊藤くん、この人がイーサンの伝言を伝えて欲しいんだって」
『ふーん、イーサンって人の事は分からないけど伝言なら聞くわ』
「おいいい加減にしろよアリス、お前俺と一緒にフィリップ班長のドーナツ食べただろ。俺だけ1個多めに食べたから怒ってるのか!」
えっとどうすればいいんだこれ。
「えっと、フィリップ班長のドーナツを一緒に食べたのを覚えてないかって伝言…かな?」
『えっ!!何で食べたの知ってるの!?あの時1人だったのに!!』
「「は?」」
イーサンも僕も驚きの声しか出なかった。
僕の場合はイーサンの発言が当たっていることにだけど、イーサンの場合は…自分の記憶が消されてること…なのかな。
「何でだ、何で俺を覚えてない?どうなってるんだ?くそっくそっくそっ!!」
イーサンが取り乱し、部室(周囲)を激しく浮遊する。
「そうだ!アレは、アレはどうなってるんだ!俺が居ないと成立しない筈だ、標語だ!時計の下の標語を聞いてくれ!!」
「あ、えっとあと1つだけすみません。時計の下の標語って意味…分かりますか?」
『あ、ええkeep the pace(足並みを揃える)ね分かるわよ』
「違う!! そこには"Keep the peace"(平和を保つ)と書いてあるはずだ!!」
「えっと…keep the peaceじゃなくて…ですか?」
『ええ、"Keep the pace"よ。でも……ふふっ、そっちの"Keep the peace"も素敵ね』
「そん…な…」
イーサンが項垂れる。
「あ…っと、それ…だけです。クロエありがとう」
「分かったわ、お姉ちゃんももういい?」
『ええ、仕事もあるし。じゃあみんなまたね』
電話が切れる。
「よく分からないけど大丈夫?」
クロエが心配そうに声を掛けてくる。
「あ、うん」
そんなにショックを受けているように見えたのだろうか。
しかし、僕自身よく分かって無かった。
イーサンとアリスの間に何が起きているのか。
さっきのやり取りの意味も。
繋がっているようで決定的に間違っているようなそんな不安感だけが残ったのだった。
ーーーその頃、怪物警察の捜査室では。
「どうしたのアリス?難しい顔してるわよ?」
「あー理穂?ん~何かピンと来るような来ないような変な感じなの」
軽口を叩きながら同じ班の遠藤理穂が部屋に入ってくる。千里眼の特殊能力を持っている。
「また、誰かにデートに誘われたんです?」
いつの間にか部屋に来ていたチェン・ユーエン。能力のテレポートで現れたに違いない。
「違うわよチェン」
みんな同じ班の仲間だ。
あと1人、班長を入れて全員で4人。
「お前達、昼休憩は終わりだぞ」
そう言って班長のフィリップ・ジョーンズが部屋に入ってきた。能力はテレパシー。
私はサイコキネシスを使える。
特別な能力を持って事件を解決する最高のチーム。
全員の頭文字を使って"pace"。
"peace"じゃない。
そっちもいいと思うけどね。
でも、これが私達の捜査班だ。




