97話 合わす振りに手拍子
ここまで遅れて申し訳ございません
今回は本当に反省してます
え?
今までは違うの?
いや、今までのも反省してますよマジで
修復中の格納庫。
工具の音と火花が飛び交う中――
また、笑い声が響いていた。
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焔は大袈裟に腕を広げる。
わざとらしく胸を張りながら叫んだ。
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「真の龍神となる!」
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その隣で、
昇の父まで悪ノリする。
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「人と――機械!!」
「魂が重なり合う時――!」
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二人して笑う。
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昇の顔がみるみる赤くなる。
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「だからやめろって言ってんだろ!!」
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勢いよく駆け出す。
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焔は腹を抱えながら逃げる。
「ははっ!捕まえてみろよ!」
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昇は本気で追いかける。
「いい加減にしろよお前......」
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その様子を見ながら、
守は少し安心したように笑った。
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「……さっきより元気ですね」
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剣は短く息を吐く。
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昇と焔を見ながら、
小さく呟いた。
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「……だから煽ったんじゃないか?」
「焔は昇を怒らせたら元気になると思ったから煽ったように見える」
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守は少し眉を寄せる。
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「……え?本当にですか?」
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剣は静かに焔へ視線を向ける。
だが――
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焔はただ楽しそうに逃げている。
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「ははっ!ほらどうした!」
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「待てこの野郎!!」
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しばらく見た後、
剣はため息を吐いた。
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「……違うな」
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追いかけるのをやめた昇が、
息を切らしながら睨む。
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さっきまでより、少しだけ表情が明るい。
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その時――
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四獣AI(青龍)
「四獣合体に必要な適合率安定訓練を開始します」
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空気が切り替わる。
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格納庫の奥では、
タートルウェアとタイガーウェアの修復が続いていた。
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開かれた装甲。
剥がれた外装。
火花。
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守は少し申し訳なさそうに、
タートルウェアを見る。
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「すみません……」
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焔は修復中のタイガーウェアとタートルウェアを見ながら頭をかく。
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「俺らだけでやんのか?」
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剣はモニターから目を離さない。
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「……まずは確認だ」
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昇と焔が搭乗する。
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モニターに数値が表示される。
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四獣AI(青龍)
「適合率、安定」
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一瞬、
空気が緩んだ。
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守が画面を見ながら言う。
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「……前回ほど高くないですね」
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焔は肩をすくめる。
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「むしろ普通じゃね?」
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だが――
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四獣AIの声が続く。
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「前回の適合率上昇は異常値です」
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空気が変わる。
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大画面に数値推移が映し出される。
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戦闘開始時。
通常。
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だが、
時間と共に急上昇。
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最後には、
明らかに突出していた。
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昇は顔をしかめる。
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「……なんかめちゃくちゃ上がってるな」
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剣は腕を組み、
静かに画面を見る。
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「……強かった理由でもあり」
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少し間を置く。
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「失敗の原因でもあるか」
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四獣AI(青龍)
「その通りです」
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「四獣合体に必要なのは高い適合率ではありません」
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「安定した適合率です」
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守は少し不安そうに尋ねる。
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「じゃあ……今回みたいに戦闘中に上がったら……?」
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「合体失敗の危険性があります」
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焔は苦笑混じりに頭をかく。
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「強すぎてもダメって面倒だな……」
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剣が視線を向ける。
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「昇、焔」
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短く言う。
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「一定を保て」
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訓練開始。
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動きを合わせる。
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同時に動く。
同時に止まる。
呼吸を合わせる。
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だが――
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噛み合わない。
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昇は数値を気にしすぎる。
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焔は逆にやりづらそうに顔をしかめる。
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四獣AI(青龍)
「適合率、変動」
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「同期率、低下」
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焔は操縦桿から片手を離し、
苛立ったように言う。
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「余計やりづれぇ!」
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昇も焦る。
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「なんで安定しねぇんだよ……!」
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ドラゴンウェアの声が響く。
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『落ち着け』
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昇は即座に返す。
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「落ち着いてる!」
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昇の父
「いや、落ち着いてないだろ」
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その瞬間――
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警告音。
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四獣AI(青龍)
「同期率、さらに低下」
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沈黙。
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そして、
静かな声が響く。
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「現状では――」
「四獣合体は不可能です」
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格納庫の空気が重くなる。
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守は不安そうにモニターを見る。
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焔は頭をかきながら息を吐く。
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昇は黙り込んだ。
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その中で、
剣だけが静かにモニターを見続ける。
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「……何かが違う」
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だが、
答えはまだ見えなかった。




