95話 第三者の意見を取り入れたからって別に良い物にはなるとは限らない
戦場は、まだ終わっていない。
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タイガーウェアとフェニックスウェアが前に出る。
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無駄のない動きで踏み込み、機械兵を斬り伏せる。
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焔は空から炎を撃ち込み、敵を削る。
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だが――
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守への負担が大きすぎる。
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施設前。
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タイガーウェアが、すべてを受け止めていた。
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「……まだ、耐えられます……!」
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何度も叩きつけられる攻撃。
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重い衝撃が機体を揺らす。
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装甲が軋み、ひびが走る。
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タートルウェアの動きが、徐々に鈍っていく。
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焔
「無理すんな!」
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剣
「……下がれ」
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守
「まだいけます……!」
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それでも、退かない。
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その背後には――
守るべきものがある。
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剣と焔は視線を交わす。
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そして――
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前に出るのをやめる。
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守の前に立ち、共に防ぐ。
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攻撃を分散させるしかない。
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だが――
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数が多すぎる。
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押し切られはしない。
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だが、余裕もない。
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その時――
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「待たせたな!」
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昇の声。
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振り返る。
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そこにいたのは――
昇とドラゴンウェア。
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なぜか、妙にテンションが高い。
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剣
「……いけるか?昇」
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昇
「ああ」
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自信満々に答える。
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剣はすぐに前を見る。
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「敵は残り五機」
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一歩、踏み出す。
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「俺が引きつける」
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焔へ視線を送る。
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「まとめて焼け」
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焔
「了解!」
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タイガーウェアが前へ出る。
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敵の間合いに入り、
あえて攻撃を誘う。
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複数の機械兵が、
一斉にタイガーウェアへ向かう。
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その瞬間――
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フェニックスウェアが空へ跳び上がる。
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戦場の上を取る。
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その身に炎が集まる。
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揺らめいていた炎が、
一点へと収束していく。
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圧縮され、
灼熱の一撃へと変わる。
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焔
「いけーーー」
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撃ち放つ。
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炎が地面をなぞるように広がり、
逃げ場を塞ぐ。
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包囲。
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四機の機械兵を、
まとめて捕えた。
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だが――
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すべては捕えきれなかった。
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炎の隙間を縫うように、
一機が抜ける。
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損傷しているはずなのに、
動きは止まらない。
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進路を変える。
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標的は――
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施設。
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一直線に突っ込んでくる。
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守はボロボロ。
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鉄球を投げる力もない。
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それでも――
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守
「……ここで止めます」
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鉄球を握る。
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最後の力を振り絞る。
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踏み込む。
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体当たり。
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直撃。
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機械兵を破壊する。
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だが――
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タートルウェアが、その場で止まる。
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完全に動かない。
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守
「……タートルウェア、大丈夫ですか?」
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『問題ない……ただ、しばらくは動けそうにない』
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守
「……わかりました」
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「後は、任せます」
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昇、焔、剣がその姿を見る。
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昇
「サンキュー!守!!」
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残る敵は、最後の一機。
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焔
「昇、今だ!」
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剣
「行け」
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昇とドラゴンウェアを見る。
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――笑っている。
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焔
「なんかアイツ笑ってるぞ…」
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守
「なんか気持ち悪いぐらい笑ってます…」
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剣
「…昇、どうした?」
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昇
「とくとご覧あれ」
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ドラゴンウェア
『俺たちの合体技を』
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焔・守・剣
「は?」
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「人と――」
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『機械』
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「魂が重なり合う時、真の……えーと龍王だっけ?」
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『違う、龍神だ』
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「あれ?そうだっけ?まあ良いか...真の龍神となる!」
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『さあ、我らの魂の息吹をくらえ』
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「『ドラゴインパクト!!』」
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炎が放たれる。
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一直線に駆け抜け、
最後の機械兵を焼き尽くした。
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炎が、ゆっくりと消えていく。
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機械兵は、完全に沈黙した。
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――しばらくして。
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昇はコックピットを降りる。
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足元に広がる戦場。
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焼けた匂いと、静寂。
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ゆっくりと息を吐く。
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そして――
四獣バングルに手を当てる。
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「……やったな」
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ほんの少しの間。
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『ああ』
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それだけで、十分だった。
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昇
「どうだった?」
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ドラゴン
『完璧だ』
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次の瞬間――
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昇
「だよな!!ははははははっ!!」
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ドラゴン
『ははははははっ!!』
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高らかな笑い声が響く。
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剣
「……あれだけ待たせて、長くてダサいとは何をやってたんだ......」
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ため息。
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昇とドラゴンウェアの高笑いが止まる
「え?何?」
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焔
「剣の馬鹿!」
「……いや、俺はカッコいいと思ったぜ」
「...だよな?守?」
———
守
「え?はい……カッコいいと思いますよ……えーと……真の龍神?の部分とか......」
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一瞬の間。
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焔と守、顔を見合わせる。
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そして――
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吹き出す。
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昇
「……なあ、ドラゴンウェア」
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『……なんだ?昇』
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昇
「……やっぱさ」
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「ドラゴンインパクトだけで良いな……」
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一瞬の沈黙。
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ドラゴンウェア
『ああ……』
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静かに、同意した。




