92話 そりゃ戦闘一旦終わったんだからやるだろ
戦いは終わった。
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静まり返る戦場。
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昇はゆっくりと息を吐く。
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「……はぁ」
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張り詰めていた空気がほどけていく。
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焔
「……終わったな」
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守
「はい……」
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剣
「……ああ」
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誰もすぐには動かない。
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ただ――
その感覚を確かめるように。
昇は静かに呟く。
「……ちゃんと、繋がってる」
焔
「だな……」
守
「はい……」
剣は何も言わない。
だが――
それで十分だった。
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場所は変わり、施設内。
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昇達と、四人の父が集まっている。
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昇の父が口を開く。
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「今回の戦闘のデータを計測したところ」
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剣の父が続ける。
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「四獣神の性能は想定以上だ」
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焔
「想定以上どころじゃねぇだろ」
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守の父が頷く。
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「動きに無駄がない。適合率も安定している」
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守
「はい……すごく自然に動かせました」
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焔の父が腕を組む。
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「四獣王の時よりも、自由に動かせたんじゃないか?」
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剣
「……違和感もない」
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昇は静かに頷く。
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「この力があれば――」
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一瞬、間を置く。
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「王とも戦える」
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空気が引き締まる。
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だが――
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守
「でも……月にはどうやって行くんですか?」
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現実に引き戻される。
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昇の父が静かに言う。
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「我々は月で捕らえられている間も、何もしていなかったわけではない」
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剣の父が続ける。
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「脱出後を想定し、地球から月へ向かう手段を検討していた」
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焔
「マジかよ」
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守の父
「理論上は可能だ」
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守
「そんなことまで……」
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焔の父が口を開く。
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「ただし――」
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一瞬の間。
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「時間はかかる」
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昇の父が頷く。
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「だが、行ける」
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その一言で十分だった。
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昇が前に出る。
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ゆっくりと手を差し出す。
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「行こうぜ」
「今度こそ四獣神と共に終わらせてやろうぜ!」
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焔が笑う。
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「派手にやろうぜ」
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手を重ねる。
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守も続く。
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「……守りきりましょう」
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静かに手を乗せる。
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最後に――
剣。
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「……ああ」
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手を重ねる。
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四つの手が重なる。
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言葉は少ない。
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だが――
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その覚悟は、確かだった。
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――1時間後
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昇
「ふざけんな、このやろう!!」
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突然、響く怒声。
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焔
「は?」
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守
「え?」
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剣
「……?」
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昇とドラゴンウェアが――
言い争っていた。
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昇
「はぁ!?そっちだろ!!」
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『うるせえ、お前が悪い』
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昇
「ふざけんな!!」
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さっきまでの空気が嘘のように――
騒がしくなる。
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その理由は――
まだ、誰も知らない。




