80話 究極の四獣合体
月面。
黒い機体――王の周囲に、光が集まっていく。
ただの発光ではない。
空間そのものが引き寄せられているような異様な光景。
昇の父が息を呑む。
「……そういうことか」
昇
「父さん?」
父はモニターを見つめたまま言う。
「王は月のエネルギーを吸収している」
「動くだけで膨大なエネルギーを消費する機体だ」
「だから月から離れられない」
守
「……地球では?」
父
「補給できない」
「だから動けない」
焔
「じゃあここがあいつのホームってわけか」
王がゆっくりと歩き出す。
地面が揺れる。
剣は静かに状況を見ていた。
(どうする……)
(帰還装置は一度だけ)
(開いていられるのは20秒)
(失敗すれば終わりだ)
その時。
守の声が通信に入る。
「ワープ装置を使ってください」
昇
「守?」
守ははっきりと言った。
「全員先に行ってください」
「最後に僕が入ります」
「20秒間、全部防ぎます」
一瞬、沈黙。
昇
「無茶だろ!」
守
「大丈夫です」
「僕が守ります」
その言葉は、震えていなかった。
剣が短く言う。
「……やるしかない」
四獣王が集まる。
タートルウェアが前に出る。
その背後に三機が入る。
帰還装置を起動する準備。
一度しか使えない。
緊張が走る。
昇が息を整える。
焔が笑う。
「帰ったら飯食おうぜ」
守が小さく笑う。
「そうですね」
剣が言う。
「……集中しろ」
その瞬間。
王の姿が消えた。
昇
「……!?」
次の瞬間。
背後に気配。
衝撃。
四獣王が一斉に吹き飛ばされる。
昇
「ぐあっ!」
焔
「クソッ!」
守
「防御が――!」
剣
「……読まれたか」
王は何も言わず立っている。
昇
「なんでバレた!?」
父の声が入る。
「バレていない」
「動きを読まれている」
剣が呟く。
「……学習している」
四獣王が立ち上がる。
だが。
損傷は大きい。
昇
「合体するしか無い」
四獣バングルを掲げる。
だが。
反応がない。
昇
「……できない!?」
焔
「なんでだ!」
守
「出力が足りません……!」
王がゆっくりと近づく。
一歩。
また一歩。
圧倒的な存在。
逃げ場はない。
昇
「くそ……!」
焔
「まだだ……!」
守
「防御が……持ちません……!」
剣は黙っていた。
王が腕を上げる。
装甲の隙間から光が漏れる。
守
「エネルギー反応が急上昇しています!」
剣
「来るぞ」
その瞬間。
四人の四獣バングルが光った。
だが。
今までとは違う。
激しく、止まらない光。
昇
「なんだ……これ……!」
光が四人を包む。
視界が白く染まる。
――静寂。
気がつくと。
そこは何もない空間だった。
そして。
目の前に現れる。
青龍。
白虎。
朱雀。
玄武。
四獣が、そこにいた。
低く響く声。
「なぜ戦う」
昇は迷わず答える。
「支配が気に入らねえからだ」
焔
「自由に生きたいだけだ」
守
「他人任せではなく自分達で生きる世界にしたい」
剣
「それだけだ」
一瞬の静寂。
そして。
四獣が笑った。
「分かっている」
「だからこそ我らは選んだ」
光が強くなる。
昇が叫ぶ。
「力を貸してくれ!」
「ドラゴンウェア!」
青龍が応える。
「言われるまでもない」
「叫べ」
「究極の四獣合体を」
「アルティメット×四獣王と」
昇が息を吸う。
焔、守、剣も同時に。
「「「「アルティメット×四獣王!!」」」」
光が爆発する。
月面に轟音が響く。
そして――
新たな存在が姿を現した。
究極の四獣王。
すべてを超えた姿。
昇が前を見る。
「……行くぞ」
王が動く。
四獣王も動く。
――四獣王最後の戦いが始まる。




