76話 機械兵「娯楽施設作れば脱獄考える奴いなくなるだろ」
月面都市の外れ。
四獣王は巨大な岩陰に隠されていた。
ドラゴンウェア。
タイガーウェア。
フェニックスウェア。
タートルウェア。
四人は機体から降りる。
昇が言う。
「よし」
「ここなら見つからないな」
剣が周囲を確認する。
「問題ない」
「ここからは徒歩だ」
守が少し緊張した声で言う。
「本当に潜入してる感じですね」
焔が笑う。
「ワクワクしてきたな」
そして四人は街へ向かった。
⸻
月の都市。
そこは想像していたものとは違っていた。
普通の街だ。
人が歩いている。
機械兵が巡回している。
建物が並び、店のようなものもある。
昇が周りを見る。
「……思ったより普通だな」
焔が言う。
「だな」
守が言う。
「人も普通に生活してますね」
剣が静かに言う。
「管理された都市だ」
「油断するな」
四人は図書館へ向かって歩き始めた。
すると――
巨大な建物が目に入る。
昇が立ち止まる。
「でっっか!」
焔も見上げる。
「なんだこれ」
入口の看板。
カジノ
昇の目が輝く。
「ちょっと見ていこうぜ!」
守がすぐに腕を引っ張る。
「ダメです!」
焔も言う。
「少しだけなら…」
守
「ダメです!」
昇が振り返る。
「ほんの5分」
守
「ダメです!」
仕方なく四人は歩き出す。
するとまた大きな建物が見える。
昇が指差す。
「今度はなんだ?」
建物の看板。
レンタルビデオ
昇が驚く。
「でっか!」
焔が言う。
「どんだけ映画あるんだよ」
守が言う。
「そんな施設まであるんですね…」
さらに進む。
今度は――
動物園。
その隣には水族館。
昇が呟く。
「……え」
焔も呆れる。
「月って動物園あるのかよ」
守が言う。
「動物もいるんですね」
剣が言う。
「機械兵は人間だけを管理しているわけではない」
昇と焔。
二人で言う。
「なんか普通に楽しそうじゃね?」
「探索したくなるな」
守
「ダメです」
四人はそのまま歩き続ける。
⸻
二時間後。
昇が言う。
「……まだ着かないの?」
焔も言う。
「歩きすぎじゃね?」
守が地図を見る。
「距離は合ってるはずなんですが…」
剣も少し眉をひそめる。
⸻
その頃。
月の図書館。
剣の父が腕時計を見る。
「遅いな」
しばらく考える。
そして。
「……しまった」
「言い忘れていた」
月の都市は広すぎる。
だから――
都市内にはワープ移動装置がある。
それを使わないと移動に時間がかかる。
博士はため息をついた。
⸻
その頃。
昇たち。
さらに一時間歩いていた。
昇が言う。
「三時間歩いてるぞ」
焔が言う。
「これ絶対遠いだろ」
守も疲れている。
「さすがに…」
その時。
昇の目に入る。
食堂。
昇が言う。
「……腹減った」
焔
「俺も」
守
「確かに…」
三人が剣を見る。
剣は少し考える。
「……少しなら問題ない」
昇が笑う。
「よし!」
四人は食堂に入った。
⸻
食堂。
囚人たちが食事をしている。
かなりの人数だ。
昇が言う。
「席ねえな」
守が言う。
「四人席は空いてません」
剣が言う。
「別れて座れ」
「情報収集もする」
焔が笑う。
「潜入っぽくなってきたな」
四人はそれぞれ席を探す。
⸻
昇。
食事を受け取る。
料理を見て少し驚く。
「何で本日の日替わり定食がS定食まであんだよ」
「まあだけど美味そうだしどうでも良いか」
トレーを持って席を探す。
そして。
一席だけ空いている場所を見つける。
昇が言う。
「ここ空いてる」
昇はそこに座る。
隣の男に話しかける。
「隣失礼しまーす」
昇が笑う。
「いやー俺昨日捕まったばっかで」
「明日から作業開始なんすよー」
「色々わからないから教えてくださ…」
昇の言葉が止まる。
ゆっくり顔を上げる。
隣の男を見る。
昇
「……い」
「え?」
「……親父?」
隣の男も目を見開く。
「……昇?」
二人同時。
「「え?」」
―――――
続く。




