71話 麒麟のコックピットの中で3日間暇してた人
1日目はおにぎり食いながらエネルギー切れで月にまた転送される
2日目月に戻ってきた後もバレたら捕えられるのでコックピットの中でずっと隠れながら暇だなーと思いながらおにぎり食う
3日目昇達がピンチになって応援しながら見てたら急に何かが当たってあれは怖かった...
捕獲された麒麟は、施設の格納区画に固定されていた。
巨大な黒い機体。
つい先ほどまで、四獣王を圧倒していた敵だ。
その機体を、昇たちは囲んでいた。
「改めて見ると……」
焔が腕を組む。
「とんでもねえ機体だな」
その時。
四獣AIが反応を示す。
「……反応を確認」
昇が振り向く。
「反応?」
「麒麟内部に生体反応を確認しました」
一瞬。
その場の空気が止まる。
「……は?」
昇が目を丸くする。
「生体って……人間か?」
剣が言う。
「コックピットを開けろ」
四獣AIが応答する。
「了解」
麒麟の装甲がゆっくりと開いていく。
重い金属音が響く。
やがて――
操縦席が姿を現した。
そして。
そこにいたのは。
白衣の男だった。
「……!」
剣の目が見開かれる。
「……父さん」
次の瞬間。
剣が駆け寄る。
操縦席の中。
その男はぐったりと倒れていた。
額から血が流れている。
剣が声をかける。
「父さん!」
守もすぐに駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
四獣AIが診断する。
「生命活動を確認」
「命に別状はありません」
昇が息を吐く。
「びっくりさせんなよ……」
応急処置が行われる。
そして。
しばらくして。
男がゆっくりと目を開けた。
「……ここは」
剣が言う。
「基地だ」
男はゆっくり周囲を見る。
そして小さく笑った。
「……そうか」
「成功したようだな」
昇が聞く。
「成功って?」
「てか、なんで麒麟の中にいんだよ」
男――剣の父は答える。
「情報を渡す必要があった」
「だが……通信ができなくなった」
守が言う。
「だから麒麟の中に?」
博士は頷く。
「一人なら、隠れて潜り込める可能性があった」
「捕まらなければ……」
焔が言う。
「ずっと麒麟の中にいるつもりだったってことか」
博士は笑う。
「そうなるな」
そして言った。
「だが、お前たちを信じた」
「必ず麒麟を捕らえるとな」
昇が頭をかく。
「まあ……捕まえたけどさ」
ふと守が気づく。
「でも博士」
「その怪我は……?」
博士が苦笑する。
「戦いを見ていた」
「雷砲と……あのエネルギー攻撃」
「夢中になって見ていたら」
「突然、操縦席の近くに何かが衝突した」
昇が言う。
「は?」
博士は肩をすくめる。
「急に何かが飛んできてな」
「その衝撃で頭を打って気絶した」
「正直、何だったのかは分からん」
その瞬間。
剣の表情が固まる。
脳裏に浮かぶ。
巨大な鉄球ハンマー。
タイガーウェアが投げた。
タートルウェアの盾。
「……」
剣は黙る。
さすがに――言えない。
その空気を破ったのは昇だった。
「あ、そうだ」
昇が言う。
「情報の話してなくね?」
「それ言うために来たんだろ?」
博士が頷く。
「その通りだ」
そして。
博士はモニターを操作する。
月の映像が映る。
「ここだ」
座標が表示される。
「月面基地」
「そこに、お前たちの父親たちは捕らえられている」
守が息を呑む。
「月……」
焔が言う。
「ついに本拠地か」
博士が続ける。
「さらに」
「麒麟のコアを使えば」
「ワープエネルギー問題も解決できる」
昇が笑う。
「つまり」
「準備できたら――」
拳を握る。
「殴り込みだな」
剣が静かに頷く。
守も頷く。
焔が笑う。
「待ってろよ月」
昇が言う。
「行くぞ」
「次の戦いだ」
目的地は――
月。




