68話 麒麟以外の敵が登場しない理由は...強い敵が1人の方がテンション上がるから
《警報》
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施設周辺に重い振動が走る。
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「高エネルギー反応接近」
四獣AI。
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昇が笑う。
「来たな……!」
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黒い影が地面に降り立つ。
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麒麟。
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圧倒的な存在感。
空気が重い。
立っているだけで圧力を感じる。
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剣が言う。
「行くぞ」
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「ああ!」
「はい!」
「任せろ!」
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四機が同時に踏み込んだ。
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麒麟が動く。
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踏み込んだ瞬間、地面が砕ける。
黒い機体が視界から消える。
雷が尾を引く。
空気を切り裂く衝撃音が遅れて届いた。
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速い。
今までとは違う。
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「見えた!」
昇が叫ぶ。
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ドラゴンウェアが体を捻る。
雷が顔の横を通過する。
警告音が鳴り響く。
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「……あっぶねぇ!」
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今までなら直撃していた。
確実に。
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だが今回は――避けた。
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麒麟が続けて攻撃。
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「来ます……!」
守。
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タートルウェアが盾を構える。
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激突。
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轟音。
地面が割れる。
衝撃が機体を揺らす。
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だが。
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吹き飛ばされない。
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「耐え……られる!」
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守が踏み込む。
盾で押し返す。
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麒麟の体勢がわずかに崩れる。
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その瞬間。
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「焔」
「おうよ!」
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タイガーウェアとフェニックスウェアが同時に踏み込む。
地面が爆ぜる。
加速。
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二機の脚が同時に振り抜かれた。
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衝突。
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轟音が空気を震わせる。
衝撃波が周囲を吹き飛ばす。
麒麟の装甲に火花が散る。
金属が歪む音。
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確かに――
手応えがあった。
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昇が叫ぶ。
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「いける!」
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確信。
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だが。
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麒麟が動きを止める。
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一瞬。
戦場の音が消えたように感じた。
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黒い機体がゆっくりと構える。
装甲の隙間から光が漏れる。
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雷が集まる。
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「来るぞ!」
剣。
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前に見た雷攻撃。
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麒麟が構えた瞬間、そう思った。
さっきと同じ動きだ。
次に来るのは電撃。
回避の準備もしていた。
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――だが。
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来ない。
放たれない。
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「……来ねぇ?」
昇が呟く。
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違う。
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雷が消えない。
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拡散するはずの電撃が、
麒麟の体へと吸い込まれていく。
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装甲の隙間から光が噴き出す。
青白い電光が体表を走る。
空気が震える。
地面の砂が浮き上がる。
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四獣AIが告げる。
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「高エネルギー集中反応」
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昇の声が漏れる。
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「……は?」
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次の瞬間。
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麒麟の全身に雷が纏われた。




