53話 問題が山積みですね はい
施設の作戦室。
モニターには月面の座標が表示されている。
到達は可能。
だが――
問題は残っていた。
⸻
「四獣合体で月には行けるんですよね」
守が確認する。
⸻
「理論上は可能です」
四獣AIが答える。
⸻
「理論上かよ」
昇が苦笑する。
⸻
その時。
剣が静かに言った。
⸻
「到達後はどうなる」
⸻
全員の視線がAIへ向く。
⸻
「四獣合体による月面転移は」
「極めて高出力エネルギーを消費します」
⸻
モニターに数値が表示される。
膨大な消費量。
⸻
「到達時」
「エネルギー残量はほぼゼロになる可能性が高いです」
⸻
空気が止まる。
⸻
「……それって」
守の声が震える。
⸻
「戦えないってことか」
焔が言った。
⸻
「はい」
⸻
沈黙。
⸻
月には行ける。
だが。
着いた瞬間に戦闘不能。
⸻
意味がない。
⸻
「最悪だな」
剣が呟く。
⸻
昇が頭を掻く。
「いやでもさ」
「親父たち助けに行って」
「何も出来ませんでしたって」
「笑えねぇだろ」
⸻
「当然だ」
剣が即答する。
⸻
守が俯く。
「どうすれば……」
⸻
焔が腕を組む。
「方法はあるはずだ」
⸻
昇が顔を上げる。
「だったら」
「エネルギー残して行けばいいだけだろ」
⸻
三人が昇を見る。
⸻
「無駄遣いしなきゃいい」
「効率上げりゃいい」
「強くなりゃいい」
⸻
単純。
だが。
間違っていない。
⸻
剣が小さく息を吐く。
「理屈は通る」
⸻
守も頷く。
「はい……!」
⸻
焔が言う。
「つまり」
「四獣王を強化する必要がある」
⸻
その時。
四獣AIが光を揺らした。
⸻
「一つ方法があります」
⸻
全員が顔を上げる。
⸻
「現在の四獣王構造を基準に」
「出力効率を向上させることが可能です」
⸻
昇が笑う。
「マジかよ」
⸻
だがAIは続けた。
⸻
「ただし」
「条件があります」
⸻
空気が張り詰める。




