52話 四獣合体を四機同時だって??みたいな事言う前から名前的に四機同時合体する流れわかるよね?
モニターには月面の座標が表示されたままだった。
赤く点滅する一点。
そこが敵の出入口。
そして――
父たちがいる可能性の高い場所。
⸻
「数十倍ってなんだよ……」
昇が頭を抱える。
「無理じゃねぇか」
⸻
「現在の出力では不可能です」
四獣AIが淡々と告げる。
「地球から月面への空間転移には」
「膨大なエネルギーが必要です」
⸻
「施設の電力を全部使うとかは?」
守が言った。
⸻
「不足します」
⸻
「四獣王を同時に動かしても?」
焔が聞く。
⸻
「不足します」
⸻
短い沈黙が落ちた。
⸻
「……敵は普通に来てる」
昇が言う。
「来れる方法があるってことだろ」
⸻
「ああ」
剣が頷く。
「向こう側に仕組みがある」
⸻
四獣AIが解析結果を表示する。
「機械兵の転移は」
「空間固定座標から実行されています」
⸻
「固定?」
守が聞き返す。
⸻
「はい」
「転移ゲートの存在確率が高いと推定されます」
⸻
焔が腕を組む。
「つまり」
「向こうにはワープ装置がある」
⸻
「可能性が高い」
剣が言った。
⸻
昇が笑う。
「じゃあ簡単じゃん」
「同じの作ればいいんだろ?」
⸻
だが。
四獣AIは静かに光を揺らした。
⸻
「再現は可能です」
⸻
一瞬。
空気が変わる。
⸻
「マジか!」
昇が身を乗り出す。
⸻
「ただし」
「条件があります」
⸻
モニターに数値が表示される。
巨大なエネルギー量。
⸻
「空間干渉を成立させるには」
「現在の出力では不足しています」
⸻
守が呟く。
「やっぱり……」
⸻
「四機同時出力でも不足します」
⸻
さらに空気が重くなる。
⸻
「ですが」
⸻
四獣AIが続けた。
⸻
「四獣合体を行った場合」
⸻
全員が顔を上げる。
⸻
「エネルギーは相互共鳴により増幅されます」
「理論上」
「月面転移に必要な出力へ到達可能です」
⸻
静寂。
⸻
「四獣合体……」
昇が呟く。
⸻
「四人で一つになるってことか」
⸻
そして笑う。
⸻
「面白ぇじゃん」
⸻
焔が小さく笑う。
「ああ」
「理屈は分かる」
⸻
剣が頷く。
「四人の同期が条件だな」
⸻
守が不安そうに言う。
「でも……成功するんですか?」
⸻
四獣AIは答えた。
⸻
「問題があります」
⸻
全員が視線を向ける。
⸻
「四機合体の制御データが存在しません」
「現在の状態では」
「転移は成功しません」
⸻
沈黙。
⸻
だが。
昇は笑った。
⸻
「じゃあ」
「作ればいいんだろ?」
⸻
剣が小さく息を吐く。
「ああ」
⸻
焔が言う。
「方法を探すぞ」
⸻
「はい!」
守も力強く答えた。
⸻
月への道はまだ遠い。
だが――
確実に見えてきていた。




