46話 助けに来たぞ
拘束された機械兵が、かすかに震えた。
静止しているはずの内部機構が、
微弱な反応を繰り返している。
《警告》
《外部干渉を検知》
四獣AIの声が、施設内に響いた。
「中枢側からの信号です」
「拘束中の機械兵が、認識されています」
「……来るな」
剣が、短く言った。
⸻
次の瞬間。
警報が鳴り響く。
新たな反応が、施設外縁に出現。
「敵影、確認!」
昇が声を上げる。
「数は少ねぇ……一、二体か」
だが。
その動きは、今までと違っていた。
⸻
敵は、こちらを見ていない。
真っ直ぐに向かう先――
拘束された機械兵。
「……俺たちじゃねぇ」
焔が、目を細める。
「あいつら」
「アレを壊しに来てる」
⸻
「目的を確認」
四獣AIが、即座に分析する。
「敵は」
「情報漏洩を防ぐため」
「拘束中ユニットの破壊を最優先しています」
「回収じゃない……処分か」
守が、低く呟いた。
⸻
白虎と玄武が前に出る。
拘束を狙い、間合いを詰めようとする。
だが敵は、巧みに距離を保ち、
強引に破壊行動を続けてくる。
「……捕らえる気、ないな」
剣が、すぐに判断した。
「今回は、無理をしない」
⸻
「目的を変更する」
剣の声は、冷静だった。
「拘束は諦める」
「優先するのは――」
視線が、拘束機械兵へ向く。
「守り切ることだ」
「了解!」
全員の声が、重なる。
⸻
戦闘は短かった。
敵は強引だったが、
それ以上に、焦っていた。
四獣王の連携が、確実に敵を削る。
そして――
最後の一撃。
敵は、爆散した。
⸻
一瞬の静寂。
「……終わったか?」
昇が、息を整える。
その時だった。
《警告》
《拘束ユニット 内部異常》
「っ……!」
拘束された機械兵の内部で、
自壊反応が立ち上がる。
「敵は」
「捕獲を想定しています」
四獣AIが告げる。
「このユニットは」
「自律的に破壊される設計です」
⸻
「止めろ!」
「対応中」
制御信号が走る。
数秒後――
内部反応は、強制的に沈静化した。
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沈黙が、施設を包む。
剣が、拘束された機械兵を見つめる。
「……向こうは」
一拍。
「もう、一手先を見ている」
誰も、否定しなかった。
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捕まえただけでは、足りない。
守るだけでも、足りない。
敵は、
捕獲されることすら、計算に入れている。
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それでも。
彼らは、止まらなかった。
月へ行くために。
真実に辿り着くために。




