表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/76

第75話 孵化

ピシッ。


小さな音だった。


だが。


その場にいた全員が聞いた。


騎士団も。


赤黒いゴブリンたちも。


巨大ゴブリンも。


誰一人として動かない。


ただ。


黒い卵を見ている。


ジョンも同じだった。


頭の中は混乱している。


王。


継承。


適合率。


代替処理。


意味が分からない。


分からないまま。


目の前に卵がある。


しかも。


その卵を見ている巨大ゴブリンが怯えている。


それが一番おかしかった。


ピシッ。


また亀裂が入る。


卵の表面に走る赤い筋が光る。


心臓みたいだった。


ドクン。


ドクン。


脈打つたびに。


周囲の空気が震える。


ジョンの首筋に鳥肌が立った。


「隊長……」


騎士の一人が小声で言う。


「どうしますか」


隊長は答えない。


答えられない。


今までの経験が役に立たない顔だった。


王国騎士団。


精鋭。


その隊長が。


ただ卵を見ている。


「おっさん……」


ジョンは隣を見る。


おっさんも珍しく黙っていた。


額に汗が浮いている。


「嫌な予感しかしねぇ」


それだけだった。


ジョンも同意だった。


ピシッ。


バキッ。


亀裂が一気に広がる。


卵が割れた。


全員が身構える。


巨大ゴブリンですら。


だが。


何も出てこない。


静かだった。


「あれ?」


ジョンが呟く。


空っぽなのか。


そう思った瞬間。


中から何かが顔を出した。


小さい。


拍子抜けするくらい。


人の手のひらほどしかない。


黒い生き物だった。


丸い。


毛玉みたいだった。


「……は?」


ジョンが間抜けな声を出す。


周囲も同じ反応だった。


強大な王。


継承。


そんな話の末に出てきたのが。


黒い毛玉。


しかも。


眠そうだった。


ふらふらしている。


「キュ?」


鳴いた。


可愛い声だった。


路地が静まり返る。


誰も予想していなかった。


巨大ゴブリンですら固まっている。


黒い毛玉は周囲を見回す。


赤い目。


丸い体。


短い手足。


どこからどう見ても弱そうだった。


「キュ?」


もう一度鳴く。


そして。


ジョンを見つけた。


目が合う。


嫌な予感がした。


ものすごく。


嫌な予感が。


黒い毛玉が嬉しそうに跳ねる。


「キュッ!」


次の瞬間。


ジョンへ向かって一直線に飛んできた。


「うわっ!?」


避ける暇もない。


ポフッ。


胸に当たる。


軽い。


全然痛くない。


黒い毛玉はジョンの服にしがみつく。


そして。


満足そうに丸くなった。


「キュ〜……」


寝た。


数秒で。


寝た。


ジョンの頭が真っ白になる。


「え?」


終わり?


本当に?


そんな空気だった。


だが。


周囲は違った。


巨大ゴブリンが跪いている。


赤黒いゴブリンたちも。


騎士団の隊長は顔面蒼白だ。


全員が。


ジョンの胸で寝ている毛玉を見ている。


そして。


誰かが呟いた。


「……認められた」


ジョンの顔から血の気が引いた。


やめてくれ。


その言い方は。


本当にやめてくれ。

【あとがき:現在のステータス】


【スキル】

■武器系

刀剣スキル 20

盾スキル 3

戦闘技術スキル 13


■生産系

料理スキル 13


■その他

鑑定スキル 0.3


【所持金】

2,171g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚))


【所持アイテム】

・???のスクロール 6枚

・奴隷のマクダフの野郎

・武器破損した剣

・???の指輪(バンステ金策で入手)

・ゴブリン(テイム)


【投資・契約】

・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)

 元本:金貨10枚

 状態:運用中

 想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)

 詳細:非公開/高リスク


【装備品】

・骨護札の首かざり

・水トカゲの手袋(呪)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ