第58話 赤黒いゴブリン
「――変異種か」
おっさんの声が沈む。
「最悪だな」
僕にはおっさんが言っていたことが初めはあまり理解できなかった。
門の外。
赤黒いゴブリンが、ゆっくり動いていた。
普通じゃない。
デカい。
筋肉が膨れ上がっている。
腕なんか、丸太みたいだった。
そして。
目。
真っ赤だ。
ギラギラしている。
まるで人間を見て笑っているみたいで、気味が悪い。
「おい……あれゴブリンか?」
「でけぇぞ……」
「進化種だ!」
冒険者たちが騒ぐ。
だが。
誰も前には出ない。
兵士たちも緊張していた。
槍を構えている。
でも、近づかない。
いや。
近づけない。
そんな感じだった。
赤黒いゴブリンが、ゆっくり首を動かす。
門の上。
兵士たち。
野次馬。
冒険者。
順番に見ていく。
その視線が。
ジョンで止まった。
「……っ」
背筋が冷える。
気のせいじゃない。
絶対に。
見られた。
次の瞬間。
指輪が熱くなる。
さっきより、ずっと。
「あつっ!?」
ジョンは思わず胸元を押さえた。
「どうした!」
おっさんが振り向く。
「指輪が……!」
その瞬間だった。
赤黒いゴブリンが。
笑った。
ニタァ。
そんな感じだった。
口の端が裂ける。
普通のゴブリンじゃない。
あんな顔、するはずがない。
「おい」
おっさんの声が低くなる。
「まさか……」
赤黒いゴブリンが。
一歩、前に出た。
地面が沈む。
重い。
デカすぎる。
兵士たちがざわつく。
「来るぞ!」
「構えろ!」
「弓兵!」
怒鳴り声。
緊張。
空気が張り詰める。
だが。
赤黒いゴブリンは、急に止まった。
そして。
ゆっくりと。
腕を上げた。
ゴブリンの後ろ。
黒い森の中。
そこから。
ぞろぞろと。
何かが出てくる。
ゴブリン。
ゴブリン。
ゴブリン。
だが。
全部、おかしい。
目が赤い。
体が大きい。
皮膚が黒ずんでいる。
普通の個体じゃない。
「おいおい……」
近くの冒険者が顔を引きつらせる。
「群れ全部が変異してやがる……!」
門の上で鐘が鳴る。
今度は短く。
連続で。
危険信号。
兵士が叫ぶ。
「総員戦闘準備!!」
「西門閉鎖急げ!!」
巨大な門が動き始める。
重い音。
ギギギギギ。
だが。
間に合わなかった。
赤黒いゴブリンが。
消えた。
「え?」
ジョンの声が漏れる。
速い。
見えない。
次の瞬間。
門の前にいた。
「なっ――」
兵士の声。
その直後。
腕が振られる。
人が、飛んだ。
鎧ごと。
血を撒きながら。
悲鳴。
混乱。
怒号。
「下がれ!」
おっさんがジョンの腕を掴む。
「こいつは普通の進化群じゃねぇ!」
赤黒いゴブリンが、また笑う。
そして。
真っ赤な目で。
まっすぐジョンを見ていた。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
2,171g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚))
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)




