第45話 勝てるはずだ。第三回戦前夜
夜。
ジョンたちは、いつものようにテーブルを囲んでいた。
皿の上には、肉と魚とパン。
もう乾いたサンドイッチではない。
パンに肉が挟まっていないだけで僕はうれしく思う。
それだけで、空気は少し明るい。
今日の出来事。
どう過ごしたか。
誰がどこで何を見たか。
取り留めのない話が続く。
だが――本題は別にあった。
明日。
モンスターコロシアム、第三回戦。
延期されていた試合が、ようやく再開される。
食事は、そのための作戦会議でもあった。
「第二回戦目で準優勝者を出してきたことを考えると……」
おっさんがパンをちぎりながら言う。
「なら次は優勝者が来てもおかしくない」
軽く言っているが、内容は重い。
ジョンは手を止めた。
「明日の試合……僕たち、勝てるの?」
少しの沈黙。
おっさんに迷いはなかった。
「ああ」
一言だった。
「俺たちの“銃ゴブリン”なら、次も余裕だ」
断言。
根拠は語らない。
だが、それで十分だった。
ジョンには分からない。
だが、分からないままでいいとも思っている。
このおっさんが言うなら、そうなのだろう。
考える必要はない。
従えばいい。
視線を横に向ける。
マクダフは、黙っていた。
皿の肉を乱暴に切り分けている。
機嫌が悪い。
明らかだった。
何かあったのか。
聞くべきか迷う前に、マクダフが口を開いた。
「トリポリオの旦那ぁ……」
低い声。
「次の試合も、本当に勝てるんですかい」
ナイフが皿に当たる音が鳴る。
「勝てるなら――俺は有り金すべて、賭けますぜ」
食卓の空気が変わる。
おっさんは、少しだけ笑った。
「ああ、勝てるはずだ」
やはり迷わない。
だが、続ける。
「ただし――」
指を軽く振る。
「ジョンとマクダフ、お前らは賭けられない」
「……は?」
マクダフが顔を上げる。
「お前らは“選手”として登録されてる」
おっさんは当然のように言った。
「自分の試合に賭けるのは禁止だ。やるなら、誰かに頼め」
僕は首をかしげた。
戦っているのは、僕がテイムしたゴブリンのパックだ。
自分たちが前に出ているわけではない。
それでも――選手。
理由は、分からない。
だが。
分からないことを、考える気もなかった。
このおっさんに任せておけばいい。
それで、ここまで来た。
これからも、そうだろう。
ジョンはパンをかじる。
柔らかい。
最近は、まともなサンドイッチ以外の食事ができているのだ。
それだけで、十分だった。
そして何といってもお金がある。
それだけで、世界は変わる。
サンドイッチだけの生活には、もう戻らない。
それが、何より嬉しかった。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
1,002,171g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚))
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)




