第40話 勝つ側の顔の奴隷男 その2
ギャンブル施設がある町は、活気がある。
一番うるさいのは、その中心だ。
だが――
そこにいる連中の顔は、死んでいる。
あるいは、目が血走っている。
焦点がどこに合わされているのかも俺には分からない。
笑っているやつはいない。
……ああはなりたくない。
いや。
もしかすると――
俺も同じ顔をしているのかもしれない。
御主人様やトリポリオの旦那から見れば、な。
バッサーニオに入る。
やはりここは落ち着く。
戦場じゃない。
俺の居場所は――こっちだ。
今の手持ちは、金貨4枚と銀貨89枚。
十分だ。
勝負はできる。
倍。
いや、5倍。
……30倍。
俺なら、いける。
倍なら金貨9枚。
30倍なら――白金貨が見える。
悪くない。悪くはない。
まずは、”予告知屋”を探す。
ここを使わないやつは、カモだ。
ここを利用するには”鈴”が必要になる。
施設の外れ。
目立つ格好の女が売っている。
町ごとに、色も形も違う。
銀貨50枚から。
安くはない。
だが――払う価値はある。
鈴を鳴らす。
店の左横。
そうすると、裏に通される。
そこで“情報”が買える。
今日の狙い。
オッズ。
流れ。
――そして、“確定予想”。
笑える話だ。
だがここで出るオッズはズレない。
最初から決まっている。
つまり――
二店方式か何店方式かは知らないが、ここを利用しないと負ける。
さっきの男がいた。
首に鈴を5つ。
朝、あの店にいたやつだ。
顔は――いい表情だ。
鈴は一つでいい。
二つ目からは、養分だ。
施設にも。
予告知屋にも。
いい客だ。
「さあさあ!今日はアツいぞ!!激熱だ!!」
「第三試合!モンスターコロシアム!」
「水トカゲ対火ザル!!」
「水トカゲ絶対有利なのに、なななななんとオッズは3倍だああああ!!」
「ここだけの話、ここだけの話なんだけどね……出来レースの噂も――!」
……なるほどな。
”大金庫絡み”なら、基本は堅い。
それで3倍。
悪くない。
これでいい。
まずはこれを取る。
軍資金の金貨を増やす。
そこからだ。
「そうか!分かった。分かったぞ!大丈夫だ……これは当たる……」
鈴の男が呟く。
「火ザルだ……火ザルが来る……」
「“アツい””激熱”……ヒントはそこにある……」
「オッズは12倍……これで全部取り戻せる……」
「勝ったらまっすぐ俺は帰るんだ……妻と子供を……」
……ダメだな。
あいつはもう沈んでいる。
俺は違う。
俺は――勝つ側だ。
受付に向かう。
迷いはない。
「第三試合。水トカゲに賭けたい。」
金貨を4枚、カウンターに置く。
係員は何も言わない。
慣れた手つきで、札を切る。
オッズは3倍。
当たれば――12枚。
十分だ。
それで流れを掴む。
「……間違いない」
小さく呟く。
水トカゲが勝つ。
決まっている。
俺は、知っている側だ。
札を握る。
これで俺は――
白金貨までの長い道を進む。
【あとがき:マクダフ様の現在のスキルステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 16
槍スキル 36
盾スキル 21
戦闘技術スキル 20
■生産系
料理スキル 32
薬調合スキル 6
■その他
鑑定スキル 1
ギャンブル
【所持金】
銀貨89枚
【所持アイテム】
・中回復ポーション(品質:上)
・予告知屋の鈴
■ 負債
負債:1,000,000g
王法違反及び軍規違反支払い金額 ※1
※1 支払いは金貨または白金貨のみとする




