28 ゴショトンネル02
真田は国道414号線を渡り、向かい側の小さな公園に入る。
公園を斜めに横切った先には中央線の四本の線路をまたぐ橋がかかっており、そのさらに奥にトンネルの入り口が見える。
左側三路線のトンネル入り口は3つ並んでいたが、一番右の路線は一本だけ少し先の奥まったところに、ひっそりと古い赤煉瓦造り入り口が見えた。
左の三路線は新御所トンネルと呼ばれており、ディケロメンバーが目指すのは右の旧御所トンネルだった。
旧御所トンネルは明治時代に作られた全長三百十七メートルの古いトンネルだ。
この区間の中央線は複々線で四ツ谷―信濃町間には四本のトンネルが通っているが、奇妙なことにこの旧御所トンネルだけは他の三本から少し外れたルートを通っている。
真田は橋のたもとにロープをかけて一気に崖を降り、奥の旧御所トンネルの入り口に向かう。スーツの腕に付いているアラームが鳴り始めた。あと三十秒でスーツの効果が切れるという警告だ。真田は全力でトンネルに走り込んだ。
トンネルの中は静まり返った不気味な暗闇だった。スマートフォンのライトを付けてゆっくりと奥へ進む。
アラームが鳴り止んだ。透明効果は切れているはずだったが、暗くて自分の体は見えなかった。徐々に目が慣れてきて、前方にトンネルの待避所が見えてきた。うっすらと人影が見えた。
ディケロのメンバーだった。ジョー、ムサシ、春菜の三人だった。
「ナミとジュリアは?」
ジョーが真田に聞く。
「ダメでした、透明になれずに見つかっていました」
「クソ、帰ったらフォークトに代償を払ってもらわないといかんな」
春菜はしょんぼりと落ち込んでいる。
「よし、少し先に進もう。この先にも待避所があるはずだ」
四人は警戒しながらスマホの灯りを頼りにゆっくりと前に進んだ。
幸い敵には遭遇せず、四人は無事に二つ目の待避所に付いた。そこはちょうどトンネル区画の真ん中あたりだった。
真田が時刻を確認する。二十二時二十分だった。四人は並んで座った。
「外はどんな感じですかね」
「そろそろうちの総攻撃が始まってる頃だな」
「上野と池袋も最後の攻勢に出ている頃です」
「いよいよラストの山場だな、勝てるだろうか」
「品川のみんなならきっと勝てます!」
春菜が胸を張って応えた。




