27 ヤマト05
コタローたちは河島常務を救助した後、第三砲塔に向かっていた。
もう少しで到着するというところで、主砲発射のブザーが聞こえた。
「まずい!」
一行は慌てて隠れる場所を探したがあいにく辺りには何も無かった。
その時、轟音とともに、目の前にそびえ立つ第三主砲が猛烈な炎を吹き出した。
コタローたちは木の葉のように爆風に吹き飛ばされ、暗い海面に落ちていった。
------
大和の斉射を受けたヒカリエ要塞はパニックに陥っていた。
最上階の司令部では、ロキが叫んでいる。
「状況を報告しろ、敵の砲撃か?」
会議室のテーブルがひっくり返り、オペレーターのパソコンは全て床に転がり落ちていた。
「分かりません、突然爆発が起きて十九階のフロアが全滅しました。その他のフロアも衝撃で砲の固定具が外れて射撃不能です!」
床が斜めに傾いていた。会議室のキャスター付きの椅子がガーっと音を立てて壁際に移動して行く。
「各階の復旧急がせろ!」
「ほ、報告します」
「どうしかた?」
「渋谷駅に突然品川兵が現れて、現在奇襲を受けています。敵の数は、約百」
「百だと? ありえん、監視班は何をしていた?」
「報告は入っていません。突然出現したとのことです。先ほど山手線が渋谷駅に停車していたとの報告もあり、もしかしたら電車に乗ってきたのではないかと」
「バカな、山手線がこんな時間に・・・まさか」
「ヒカリエ正面の品川戦車隊、突っ込んできます!」
「各階の復旧はまだか」
「まだです、突破されます!」
ロキは呆然として壁のマップを眺めた。先ほどまで要塞からの砲撃で釘付けにしていた品川の青い点が渋谷駅に向かって移動を再開している。さらに渋谷駅前には無数の青い点が表示され、再編成中の赤い点と入り混じっている。
その時、再び巨大な爆発音がして強烈な激震が起きた。
床が波打ちロキは椅子から投げ出された。先ほどよりさらに大きく床が傾き、テーブルが音を立てて滑り出す。
何人かのオペレーターが悲鳴を上げて机や椅子と一緒に窓から落ちて行った。
「被害を報告しろ!」
ロキが机にしがみつきながら吠える。しかし誰も答えなかった、みな床に転がって悲鳴を上げている。ロキはスマートフォンを取り出して他の階に電話をかける。しかし同じく応答は無かった。
ゴリゴリと不気味な音を立てながらビル全体が急激に傾いて行く。
机と椅子と人間が次々に転がって行く。ロキは床にしがみつきながら渋谷駅のムスタングに電話をかけ直す。
その時、ロキが振り向くと、部屋の奥から机がサイコロのように転がってきた。
そして、ロキの顔面を直撃した。




