27 ヤマト04
「着弾しましたか?」
ヤマモトが電話で春菜に聞く。
『はい、全弾命中しました。やりましたね』
「ありがとうございます」
『誘爆も起きてます。ですが致命傷にはなっていないので、すぐに二射目をお願いします』
「わかりました、今順番に装填作業をしてます。あと五分ほど待ってもらえますか」
『わかりました、じゃあ準備ができたらまた連絡下さい』
ヤマモトが春菜との通話を切る。
五分後、ヤマモトの携帯が鳴った。コタローからだった。
「どうした?」
『あ、社長、河島常務が海に落ちてしまって。すみません』
「なに? 河島君が? で、無事なのか」
『はい、なんとか』
「良かった。仮想現実とは言えBAPの臨死体験はリアル過ぎて洒落にならんからな。あとでトラウマになっても困るし。それで、装填作業は?」
『第二砲塔まで終わりました。あとは第三砲塔だけです、今、木村工場長たちが先に行って作業してくれていると思います』
「分かった、連絡してみる」
ヤマモトは通話を終了して木村に電話をかける。臨時のアルバイト達とは言え、日頃仕事で見知った面子だったので、日々の仕事の延長のような感覚だった。
「木村君、作業はどんな具合だ?」
『あ、社長、今装填完了しました』
「おお、そうか、でかしたぞ。射撃手順に入るから退避してくれ」
ヤマモトは通話を終了し、春菜に電話をかける。
「ハルさん、発射準備完了です」
『了解です、やり方はさっきと同じです。ではレーザー照射しますね』
ヤマモトが照準器を覗くと赤い筋が現れた。その線に照準の縦線を合わせる。船体は停止させていたが、次弾の装填中に海流に流されたのか、微妙に照準が狂っている。ヤマモトは各砲塔に微調整の角度を告げる。
『仰角は先ほどと同じで、20.5度でお願いします』
大和の主砲は次の弾薬を装填するには一旦仰角を下げなければならない。そのため、各砲の仰角はまた一から設定し直しになる。
『風は止みました、あとはもう少し中央に集弾したいので、第三砲塔を0.2度右でお願いします』
「了解」
ヤマモトは最後の指示を出すと、発射合図のボタンを押した。退避警告のブザーが艦内にけたたましく鳴り響いた。




