27 ヤマト03
砲弾が発射されると、第一砲塔内ではアルバイトの乗組員達が退避室から出てきて次弾の装填作業を開始する。真田の指示で、初弾はヒカリエ要塞の装甲を破壊するための徹甲弾を発射し、二発目はビルの内側を破壊する榴弾を発射することになっていた。
コタローがアルバイトたちに指示を出していく。
弾は一発1.5トンあるため人間が直接持ち上げることはできない。専用のクレーンでレールに乗せ、大勢で力を合わせて押し出すように運んでいく。
弾丸を砲身に詰め込んだあと、その後ろから薬のうと呼ばれる火薬を詰め込む。薬のうは一個30キロで、砲弾一発につき三個詰める。この一連の動作を三回繰り返してやっと一つの砲塔の装填が完了する。
第一砲塔が終わると次は第二砲塔である。バイトたちはぞろぞろとハッチから出て、20メートル後方の第二砲塔に移動する。
大和46センチ主砲は幅15メートル、高さ7メートル、砲身を含めた長さは30メートルの巨大な鉄の塊だ。分厚い装甲で囲まれ重量は2500トン、大型トラック100台分の重さだ。
コタローたちアルバイトは巨大な建造物のように暗闇にそそり立つ第二砲塔の横を抜けて砲塔後部の扉から中に入る。
ただちに次弾装填作業を三発分行い、最後に第三砲塔へ移動する。
しかし第三砲塔は船体の後ろの方にあるため、百メートルほど移動しなければならない。薄暗い甲板をアルバイトの乗組員たちが小走りで移動していく。
「みなさん、急いでください。早く次の弾を撃たないといけませんので」
コタローがバイト達を急がせる。バイトの中には息が上がってしまっている者もいた。みな慣れないVR端末の操作で足元がおぼつかない。
「コタロー君、これもしかして、わざわざ移動しないで一つの砲塔で連射したほうが早かったんじゃないか?」木村工場長が指摘する。
「うっ・・・確かに」
半分くらい進んだあたりでだれかが叫んだ。
「誰か海に落ちたみたいです!」
「ええっー? 誰ですか?」
「河島常務の姿が見えません」
コタローがあわてて甲板から海面を覗く。しかし暗くて何も見つけられない。
「山村さんと清水さんは残って常務を探すのを手伝って下さい。あとのみなさんは第三砲塔に行って先に作業を始めてて下さい。手順は分かりますよね」
コタロー達は残って海面を探した。
「今あのへんに何か見えました!」
コタローがその方向を見ると確かにボンヤリと人影が見える。コタローは迷わず暗い海面に飛び込んだ。




