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23 アオヤマイッチョウメ03

ーーー10分前

 品川陣営の銀猫の戦車隊は、青山一丁目交差点の南方五百メートルの国道319号線上で停止していた。


 渋谷陣営のマップに映っている青い点は、春菜率いるA小隊が渋谷陣営のドローンをハッキングして映し出したダミーだった。実際の銀猫の部隊はやはりハッキングにより、渋谷陣営のドローン映像には映っていなかった。


 最初、銀猫とサンダースの部隊はわざと敵に発見させておき、その後に敵ドローンをハッキングし、同時に両部隊のダミーを生成して四ツ谷に進軍するように移動させて見せたのだった。実際は両部隊とも発見された位置で停止している。


 真田が先日の虎ノ門で上野の戦車部隊に対して用いたトリックをより大規模に行ったものだった。

 敵ドローンへの侵入、ダミー映像の生成、味方部隊の映像の消去などをA小隊のメンバーとノブナガが分担して短時間のうちに実施したのだ。


「あ! なんか突然、敵の部隊があらわれました、結構な大部隊です」

 クリスタルタルが興奮しながら叫ぶ。

 司令部に集まっているメンバーが一斉にドローン映像を見る。何もいないはずだった渋谷駅寄りの青山通り上に、戦車が次々に姿を見せる。


「なんだこれは、地下にでも潜っていたのか」

「そういえば以前、渋谷陣営は秘密の地下道を掘っているという噂があったな」

「真田さん、すごいですね。この地下道も予想していたんですか?」

「うーん・・・」真田は曖昧な返事を返しながら映像を食い入るように見ながら思考を巡らせる。


 湧き出した戦車部隊は青山一丁目の交差点に向かって殺到する。真田はスマートフォンの一斉通話で銀猫に話しかける。

「銀猫さん、映像見てますか?」

「おう、ばっちり見てるぜ。なんか湧いて出てるみたいだが、こいつらを殺ればいいのか?」

「はい、後ろからガツンとやってしまって下さい」

「ヒューイも出していいんだな?」

「はい、思いっきり全力出しちゃって下さい」

「よし任せろ」


 銀猫のC中隊甲組の部隊が前進を開始する。銀猫のレオパルド2以下、重装甲の戦車50両、加えて歩兵百人が車両に分乗して随伴する。

 国道319号線沿いの青山公園東側のゆるいS字カーブを抜けると、すぐ正面に青山一丁目の交差点が視界に入る。交差点には移動中の渋谷の予備部隊が見えた。どの車両も側面か後部をこちらに向けている。


「てっ!」

 銀猫のレオパルドは停車して第一弾を発射した。

「全車、突撃!」

 銀猫のレオパルドを追い越して、品川の戦車隊が次々に突撃する。


 赤坂の乃木神社にはドグラのヒューイコブラが無音飛行で待機していたが、銀猫の指令を受けるとローターを一気に加速して夜空に舞い上がった。

 翼下には対戦車ミサイルが鈴なりに取り付けられている。ヒューイコブラはそのスマートな機体をひらりと旋回させると、加速しながら北へ向かった。


 三十秒ほどで青山一丁目の交差点が視界に入る。砂埃を巻き上げながらその場でホバリングすると、大量のミサイルを渋谷部隊の密集した地域に雨のようにばらまいた。

 渋谷陣営のプレイヤーは突然の背後からの攻撃に何が起きたのかわからないまま次々に炎上する。そこに追い打ちをかけるように突撃してきた戦車の砲弾と機関銃弾が降り注ぎ、さらに砲兵のE中隊が連携して砲弾の雨を降らせる。

 渋谷プレイヤーはパニックに陥り、ほとんど応戦する間もなく総崩れになった。


 わずか15分ほどの戦闘だった。銃声が次第に散発的になる。

 渋谷軍の車両はほぼ全て炎上し、ついに動くものは見えなくなった。


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