23 アオヤマイッチョウメ02
品川軍の50個の青い点は国道319号線を北上して行く。渋谷陣営のオペレーターがレーダー画面を見ながら報告する。
「品川戦車部隊の最後尾が青山一丁目の交差点を通過しました」
ロキはうなずいてレーダー画面を確認する。
品川軍の青い点の集団は、北の権田原の交差点から南の青山一丁目の交差点まで、つまり赤坂御用地西側の直線道路の区間にすっぽりと収まっている。
「獲物が袋に入りました」
ロキが報告するとムスタングがうなずく。
「予備部隊、包囲機動を開始せよ」続けてロキが命令する。
青山通り上では渋谷陣営車両が一斉にエンジン音を響かせ、次々に3Dプロジェクターのダミー映像から出て進撃を開始した。
レーダー画面には渋谷予備部隊の赤い点が青山一丁目交差点に殺到するのが表示される。
「品川軍の先頭はあと三分で権田原の交差点に到達し、四ツ谷遊撃隊と会敵します」オペレーターがロキに報告する。
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四ツ谷駅を先発した一個中隊の赤い点は赤坂御用地の北側の国道414号線を西に移動し、権田原の交差点の手前で左右に散開して待ち伏せの態勢をとる。
レーダー上の青い点の先頭が権田原の交差点を四ツ谷駅方面に右折し414号線に入った。続けて二両目、三両目と右折する。
四ツ谷遊撃隊の射撃手はマップを確認しながら戦車砲の照準器を赤外線モードで覗いた。
照準器には今まさに、品川陣営の戦車が視野に入るはずだった。
しかし・・・
品川陣営の車両の姿は見えなかった。人気のない直線道路の先に権田原の交差点の信号機が薄ぼんやりと浮かんで見えるだけだった。
照準手は混乱して再度レーダーを確認する。確かに、品川の青い点は権田原の交差点を右折し、こちらに向かって来ている。それどころか、マップ上の青い点は待ち伏せしている渋谷の赤い点に次第に近づき、今にも重なりそうな勢いである。会敵予定の三分はとっくに過ぎていた。
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「四ツ谷遊撃隊、状況を報告しろ。交戦中か」ロキが部隊に直接問いかける。
「いえ、敵影ありません」
「なんだと、すぐ目の前にいるはずだ、しっかり確認しろ」
司令部のレーダーの画面にははっきりと縦隊で前進する品川戦車の車列の青い点が映っている。ロキは画面をドローンのリアルタイム映像に切り替える。しかし街灯に照らされた414号線は遊撃隊の報告のとおり無人だった。
ロキが直接通話で予備部隊に連絡を取る。
「予備部隊、現況を報告せよ。品川の最後尾を目視できているか」
「こちら予備部隊、現在、青山一丁目の交差点を確保、敵影は確認できません」
「どういうことだ・・・」
ムスタングはマップを見つめながら呟いた。
ロキはこの時点で初めて状況を理解した。
その時、けたたましくアラームが鳴り響いて、予備部隊からの緊急伝が着信した。
「こちら予備部隊最後尾、現在、後方から敵の猛烈な攻撃を受けています!」
「どうした?」
ムスタングが異常に気付いて問いかける。
「敵はどこの陣営だ」ロキが問いかける。
「品川です」
「映像出せ」
オペレーターが画面を切り替える。ちょうど渋谷の予備部隊の戦車が大爆発して炎上するところが映し出された。
「やられているではないか」
ムスタングが無然として言う。ロキはそれには答えず部隊に指示を出す。
「敵の位置と戦力、被害状況を報告しろ」
「敵は青山一丁目の南方に潜伏していたと思われます。戦力は不明、少なくとも戦車50両はいます。歩兵も多数、あ! 戦闘ヘリが・・・」
プツリと通信が途絶えた。
ムスタングは目を丸くしてロキを睨みつけた。




