22 ドッグボム03
上野陣営のリュウは四ツ谷駅をまたぐ陸橋の上でタイガー戦車をアイドリングさせている。ハッチから身を乗り出して一息つく。
先日の品川陣営との虎ノ門での戦闘で愛車のタイガーI型が破壊されたため、今回の四ツ谷杯向けに貯金をはたいてタイガーⅡ型にアップグレードしていた。
「意外と手こずったな」
車体前部の操縦席のハッチも開いていて、操縦士のカワウソップが顔を出している。
「60両ほどやられたらしいです、砲撃が結構厳しかったですからね」
「さて、どっちが来るかな。渋谷のイナゴか品川のゴキブリか」
「まあ、どちらにしても今回のうちの戦力なら安泰でしょう。これだけの戦車を揃えられたんですから」
「そうだな、それに苦手な池袋を最初に叩けたのも大きい。増援はどうなってる」
「先ほど補充の50両が秋葉原を出発したと連絡がありました」
「上々だ」
リュウのタイガーの前後と右側にはそれぞれ一両ずつ、タイガーIが停車している。リュウが指揮する第一タイガー小隊だ。周囲には護衛の歩兵が散開して警戒に当たっている。
リュウの前に停車しているタイガーの下に犬が一匹潜り込んだ。護衛の歩兵が車体の下を覗き込む。
芝犬だろうか、薄茶色の犬が一匹、戦車の車体の真下で伏せの姿勢を取って、しっぽを振りながら舌を出してハアハアと息をしている。黄昏時の薄闇に目が光っている。
覗き込んだ兵士は、戦車が動いて踏み潰されたら可愛そうだと思ったのか、手を差し伸べて「おいで」と言った。
その言葉の「で」を言い終わるか終わらないかの瞬間、犬の体が白く光った。




