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16 ヒューイコブラ01

―――四ツ谷杯一週間前 午後一時


 上野陣営の戦車部隊60両がエンジン音を響かせながら一列縦隊で日比谷通りを進んでいく。先頭は品川方面守備隊長ネコワサビのエイブラムスだ。


―――M1A2エイブラムス

 アメリカ陸軍が開発した最新鋭の主力戦車である。湾岸戦争で実戦投入され大きな戦果を挙げた。1500馬力の高出力ガスタービンエンジンに頑強な複合装甲、主砲は強力なラインメタル社製44口径120ミリ滑空砲を装備している。燃費は悪いがアメリカならではの贅沢さが売りの、現代における世界最強クラスの戦車だ。


 隊列の先頭が日比谷公園角の日比谷交差点に差し掛かる。

 ネコワサビの第一中隊はそのまま直進、第二中隊は右折して右から回り込む。品川陣営が立てこもる日比谷公園を左右から包囲殲滅する作戦だ。


「よし、ネズミをあぶり出せ!」

 ネコワサビがスロートマイクで指令を出すと、エイブラムスの120ミリ砲が火を吹いた。

 大爆発が起きて公園内の木がなぎ倒される。

 

 走行中の戦車の車内は外から見るよりずっと揺れがひどい。そのため移動中は照準がブレて精密な射撃が行えないため、一旦停止して揺れが収まった状態で照準を合わせて砲撃を行うのが基本である。しかし現代の第三世代戦車は、電子制御で揺れを吸収して照準を合わせることのできる車種もあり、走行中でも射撃が可能だ。


 二号車はエイブラムスと同じ第三世代主力戦車でイギリスのチャレンジャーI、三号車は旧ソビエト連邦のT80だ。後続の戦車も続けて砲撃を開始し、日比谷公園はたちまち猛烈な爆煙に包まれた。


 戦車隊は一列縦隊で進みながら次々に、轟音と砲炎を発しながら公園内に猛烈に砲弾を撃ち込んで行く。

 十発、二十発、三十発・・・

 日比谷公園は猛烈な爆炎に包まれていく。


 最後尾の戦車が日比谷の交差点を通過した。ネコワサビの先頭車は日比谷公園の反対側付近にほぼ達しようとしていた。上野戦車の車列が公園全体をぐるりと包囲する形が完成しようとしていた。


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