最悪のタイミング
「朝食も食べずにどこに行ったのかと、探してたらなにやっているの?」
「食欲よりもちがう欲望を満たしたいのですか?」
どうやら最悪のタイミングで2人はここに来たようだ。大長老との模擬戦闘のため、周りに警戒する余裕がなかったので全然気づかなかった。
「ち、違います・・・」
2人は仁王立ちして、俺は正座させられていた。
「違う?お互い服を脱ぎ合って、おっぱじめようとしていたんじゃないの?」
完全に誤解されていた。どうやって誤解を解こう。
「た、鍛錬していただけです・・・」
「性の鍛錬ですか?」
ティアさんあなたは、そんな言葉使う人じゃないですよね?
「ほっほっほっ。愉快なやつらじゃなのう」
大長老笑い始めた。
「で?あんた誰?見かけないエルフね?」
エリスは大長老に向かって睨みつけていた。ティアも少し離れた所でジィーっと見ていた。
「この儂にここまで敵意を向けるやつは何十年ぶり・・・いや100年以上かの?」
大長老は嬉しそうだった。
「エリス、ティアこの人は―――」
エリスとティアは大長老と気づいていないので教えようとしたが、急に喋れなくなり、そして大長老は抱き着いてきた。
「「なっーーー」」
2人は目を見開いた。そして
「死ね」
(ちょっと待って。俺にも当たる)
エリスはこちらに矢を打ち始めた。大長老は俺を抱えながら避けていた。
「エリスさん、矢が当たったらどうするんですか?」
ティア・・・よかった。ティアは冷静―――
「私は拘束するので、お仕置きするのでしたら、その時に」
「わかったわ」
「では。ウォータープリズン」
訂正。ティアも冷静じゃありませんでした。
「ほっほっほっ。昨日より技にキレがあるのう」
こんな状況でも、楽しそうですね?しばらく2人は攻撃したが、大長老は俺を抱えているのにも関わらず避け続けた。
「エリスさん、ちょっと」
ティアはエリスに耳元で何かを話していた。
「なにか、作戦を考えているみたいじゃのう?」
大長老は動きを止め、様子をうかがっていた。
「いくわよ」
エリスは3連射を打ち放ったが全部当たらなかった。
「残念じゃのう」
「それはどうかしらね」
エリスは不敵な笑みをした。
「ウォータープリズン」
「「!!」」
俺と大長老はウォータープリズンに囚われた。
「木々に囲まれたところに誘導して、そこにティアが罠を用意していたのよ」
たしかにここはツタが絡み合っていて、通れるところが少ない。そこを狙ったのか。
「これでチェックメイトです」
すごいぞ。大長老を捕まえられるなんて。
「さあ、じっくり話を聞かせてもらおうかしら?」
エリスは指を鳴らし、ティアはニコニコしながら近づいて来ていた。
(あっ、これやばいな)
俺がそう思っていると、ウォータープリズンが弾けた。
「見事じゃ」
「「・・・」」
エリスとティアは自分の作戦が破られても臆せず臨戦態勢に入った。
「待つのじゃ。もうここでお開きにしようぞ」
「はぁ?今矛を収められると思っているの?」
「儂は続けてもよいが、ほれそこの男」
大長老は、俺を指さした。
(なんだ?今度は何をするつもりだ?)
「まったく動かんじゃろう。さっきの水の牢獄で溺れてしまったようじゃのう。早く人工呼吸してやらなければ、死んでしまうかもしれんのう」
「「!!」」
俺は生きているし、溺れていない。あんたが動きを封じているんだろうがっと思ったが口も動かせないので、目で訴えたが
「あいつが死ぬと後味悪いし、ここは私が人工呼吸してあげるわ」
「いえ、私がします」
「ティア、あなた貴族令嬢でしょう?なのに嫁入り前にキスはまずいんじゃない?」
「エリスさんはいやとおっしゃいました。いやなことを仲間にさせるわけにはいきません。なので私がします」
「大丈夫よ。私、人工呼吸の経験あるから」
「私はキスをマスターしています。なので人工呼吸もきっとうまいです」
「キスをマスターしたって、どういう意味?」
「母に免許皆伝をいただきました」
「それ、何才の時?」
「6才ですが?」
「ふっ、私はミリスに言われたわ。エリスは上手いね」
「私は―――」
エリスとティアが言い争っていると、大長老はこちらに手を振り去って行った。そして俺の拘束も解除された。なので、俺もこっそりとその場を離れた。




