魔素
「俺は戦える。戦えるんだ」
若い男はそう叫んでいたが、明らかに顔色は悪く肩で息をしていた。
「魔素が体に入っているのです。無茶はしないでください」
魔素ってなんだ?
「なぁ魔素ってなんだ?」
俺はエリスに聞いた。エリスはそんなことも知らないのって顔をした。
「魔素っていうのは魔物の体を作っている物よ。人体には有害だかなのよ。少量なら体調不良程度で済むけど、大量に体に入ると死んでしまうの」
ん?魔物は魔素でできている?ということは・・・
「魔石って・・・」
「ええ、魔素が固まったものです」
魔石って、この世界のエネルギー源に使われているよな?
「そんなの使って大丈夫なのか?」
「それは大丈夫よ。マジックアイテムは魔素を魔力に変換して使っているから。魔力にしてしまえば、人には無害になるらしいわよ。そうよね?」
「はい、そう言われています」
人間がアンモニアを尿素にするようなものか?なら安全か。
「さて、喧嘩を止めに行くか」
このまま放置して、大事になっても困るからな。俺たちは揉めている2人の方に向かって行った。
「デスマーチの前で何を揉めているんだ?」
「あっ、勇者様。よいところに」
だから俺は―――なんか一々訂正するのも面倒になってきたな。
「隊長を止めてください」
隊長?誰だ?ってローゼフじゃないか。髪を下げていたからわからなかったわ。
「よう、ローゼフ」
「誰だ。ってお前か」
ローゼフは俺に気にせずに歩こうとした。なのでローゼフの前を塞ぐように前に立った。
「なんだ?邪魔するのか?だったら」
ローゼフは拳を握りしめ戦闘態勢に入った。
「武器もない状態で俺に勝てるのか?」
「そういうお前だってないだろうが」
ふらつきながら、よく啖呵をきれるな。俺は少し関心した。
「魔素が体に残っているんだろう。無理するなよ」
「こんなもん、大したものじゃない。お前くらいなら余裕だぜ」
「そうかい」
「!ぐはっ」
「「「隊長」」」
俺をローゼフを掴み投げた。
「こんな攻撃も防げないやつがデスマーチに参加するなんて無理だろう」
「くそ・・・」
ローゼフは悔しそうだった。そのローゼフを庇うように何人かが俺たちの間に入ってきた。そのなかには揉めていた人物もいた。
「いい部下をもっているなローゼフ」
「邪魔だ。トージョーは俺が潰す」
「部下の善意を無下にするな。こいつらはお前のために体をはっているだから」
「トージョー、いつかお前を倒すからな」
「そうか、それは楽しみにしているよ」
俺は後ろ手を振り、その場を去った。エリスとティアがついてきて
「損な役回りね」
「本当ですよ」
「これで彼らの部隊が円滑に回るなら、構わないよ」
2人はギュッとしてきて
「私はあんたがいい奴ってわかっているから」
「私もですよ」
「ありがとうな」
俺たちは家に戻った。




