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21 神社のダンジョン

 修造とゲンと連れ立って神社のダンジョンに入ったレイナたちだったが、黒猫は喋らず、ウーサにも大人しくするようにお願いしていた。

 レイナたちの戦力を晒す気はなかった。


 一階層に入ると、湿地帯にカエルが蔓延る階層になっていた。

 カエルの鳴き声が響く中、修造とゲンはぬかるんだ地面を避けて進み、飛んでくるカエルをゲンが吠えて修造に知らせると、鎌で切り裂いていく。 


 手慣れた様子で問題ないように思えるが、カエルの繁殖が尋常ではなく、翌日には倍の数に増えているそうだ。

 このままだとダンジョン外に出てしまうのも時間の問題だと思っていた時にレイナたちが来た。

 ハンターならば問題ない弱さだ。

 手数を求めた修造がレイナたちでも倒せるだろうと見込んで助けを求めた。


 修造がネットや他のハンターと繋がりがあれば問題ないことだった。

 しかし、田舎者だった修造はネットも繋がらない山奥に住んでいたことから、ハンター組合などの組織を知らなかった。

 偶然訪れた得体の知れないレイナに頼むしかなかった。


 レイナは風魔法で、黒猫は爪で、ウーサは角でカエルを倒して行った。

 レイナの魔法や黒猫やウーサが簡単に倒していくのに修造も驚いたが、他のハンターを知らない彼はこんなものだと納得してしまった。


 手早くカエルを殲滅すると、下の階層に降りて行く。

 亀、鯉、鰻と続いて修造は探索を終了した。

 彼はここまでしかダンジョン攻略をしていなかった。

 思いがけない手助けで魔物討伐を行ったが、これより下層は更に強い魔物が多いと引き上げることになった。




 修造はダンジョンに入って魔物を倒すことだけが仕事ではない。

 畑仕事や山に潜む害獣や魔物を倒すための罠を仕掛けて、見回る必要もあった。

 

 レイナは修造に手伝いを申し出た。

 彼の技術は今後に大いに役に立つ。


 レイナは修造から米野菜の栽培方法、山に自生する食べられる物、害獣の罠の作り方、害獣の解体方法など百姓の知恵を教えて貰う。

 これで山でも自力で生きて行くことが出来るだろう。


 夏休みの間、レイナは修造の家にずっといた。

 修造は寡黙なレイナに文句も付けずに嬉しそうに教えていた。

 黒猫とウーサもゲンと仲良くなっていた。 


 修造は畑からトマト、きゅうりと庭に放し飼いにされている鶏から卵を穫ると、そうめんに盛り付けて食べた。

 簡素な料理だか素材の味が引き立つ料理だった。

 食後には茹でたトウモロコシと冷えたスイカが出てくる。

 

 「こんな物しかないがなぁ」と修造は言うが、田舎には豊かな食材にありつける楽しみがあった。

 食べ物の美味しさを知れば収穫も楽しくなるもので、レイナは炎天下の中、麦わら帽子を被りながら夢中で野菜を収穫した。


 修造に頼んで幾つかの野菜の種を貰っている。

 木造の家の畑に蒔くのが楽しみだ。 




 田舎の祖父母の家を満喫しているようなレイナだったが、ダンジョン攻略を怠っていた訳ではない。

 修造の仕事が忙しい時はレイナたちだけでダンジョンに入っていた。

  

 修造には鰻の階層から下には行かないように注意されていたが、レイナたちはお構いなしに先に進んだ。

 魔物は蛇、蜂、鳩、鶴と魔法を使う手強い相手になっていた。


 レイナは一度試しで火魔法を使ってみた。

 魔力も増えて魔力制御も慣れて来たので、今なら扱えると考えたのだ。

 しかし炎はレイナの制御を離れ、階層を駆け巡り魔物を焼き尽くした。

 焼け野原になった階層にレイナはため息をついて火魔法を封印した。


 レイナは水魔法の『水球』、風魔法の『風刃』の他にも『竜巻』『水柱』が使えるようになっていた。

 しかしダンジョン内では使い道の難しい技なので、使い勝手の良い水球、風刃を数多く出せるように練習していた。


 レイナは魔物を倒すと解体して素材を収納に入れていく。

 新しい魔物の素材を咲田に売れば、新しい魔道具を作れるかもしれない。

 魔物を適当に間引きつつ、素材を回収して行った。




 ***




 レイナたちが修造の家で夏休みを満喫している間、ダンジョン事情は変化していた。

 海外でダンジョンマスターを倒して、新たなダンジョンマスターになった人が現れたのだ。

 彼は世界に対して宣戦布告した。

 ダンジョンより魔物が押し寄せ、人間を襲って行く。

 人々は混乱してダンジョンマスターに与する人や制圧しようと軍隊を差し向ける政府など混迷を極めた。

 しかしダンジョンマスターの膨大な魔力と絶大な力を知った人間は、さらにダンジョン攻略に精を出すようになる。


 日本でも政府に離反するダンジョンマスターが現れる。

 名前は香川健吾。

 20代の青年はネット配信でダンジョンマスターと名乗り、自身のダンジョンの利権と領土を主張し、侵入して来た者には容赦なく魔物に襲わせると宣言した。

 政府は彼のダンジョン周辺を封鎖して自衛隊を駐留させて様子を見た。

 香川はダンジョンから出てこず、静観する姿勢だ。


 ダンジョンマスターの出現でダンジョン関係者は新たな緊張が走った。

 現状、ダンジョン攻略を進めてダンジョンマスターまで辿り着いてるハンターはいないが、今後、

攻略が進み、ダンジョンマスターを倒してしまった時どうするのか。

 新たな争いが始まり、論議が紛糾する。

 しかし、人間は誰よりも先に力を求める。

 虎視眈々とダンジョンマスターを狙う人々で、攻略は過熱して行った。

 

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