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真っ暗な空間。
一人の男が水鏡の前で佇んでいる。
黒髪、中肉中背の何処にでもいそうな男。
しかし、水鏡を見つめる瞳だけは暗く残忍な光が宿っていた。
「霸楝」
後ろに女が現れ、男の名を呼んだ。
「揃ったか?」
「ええ。大体の数は集まりましたわ。……一つ、聞いてもよろしいかしら?」
霸楝の確認に女は頷く。そして躊躇いがちに質問すると、無言で促された。
「わざわざ凌霄がいる所を襲わなくてもよろしいんじゃないかしら?」
十二霊のリーダーである凌霄に手を出すのはリスクが高い、と女は言った。
「あいつがいる所を選んだつもりはない。ま、あいつの力を取り込んだ方が楽といえば、楽だけどな」
霸楝の口調は軽いものだが、目は笑っていない。
水鏡に映っているのは一組の兄妹。
「俺たちが導き、治める世界をどうして人間どもに好き勝手にさせている? 仲間が落ちていく悲しさ、仲間を手にかける心苦しさ……それより人間の方が大切か?」
優しげな声で語りかける男。しかし、瞳の光は剣呑なものだった。
「なぁ、ウブガミよ」




