7・討伐
シュンッ
勢い矢が飛んで、先に付いた柊の葉の棘が羅刹の目を潰した。
右腕と左目をなくした羅刹はかなり弱っていたが、まだ倒せない。
「柊か。みなで葉を集めてくれ。万三郎殿、風を起こして集まった葉を
羅刹に飛ばしてくれ」
「承知!」
そうはさせまいと羅刹が末裔たちを襲おうとして後ろを向いた。
動くたびに背中に隙間が見えた。
「…背中に裂け目がある?まさか、あの少女も皮なのか?」
もしそうなら、本体がまだ中にある。
集まった葉を万三郎が風をおこして飛ばし
羅刹が葉を避けようと気を取られた隙に、霧島が皮を切り裂いた。
「グエエエ」
少女の皮はバラバラになって、中から小鬼が出てきたと思ったら、
太陽の光でプスプスと音を立てて塵となって消えていった。
「日の光を避けるために、人間の皮を被っていたのか」
太刀を鞘に納めると、思わず此花の姿を探した。
と、此花が胸の中に飛び込んできた。
「…油断した」と、抱き止めて笑う霧島。
「無事で良かった。弟の仇を取ってくれてありがとう」
「此花が助けてくれたから。でなければ、あのまま死んでいた」
「あー、いいなぁ。我も想い人ほしいなぁ」万三郎の言葉に
「いや…そ…そうでは…」と慌てる霧島は、離れようとする此花を捕らえて
「そうです」と肯定した。
その言葉に、此花は顔を覆って上げられない。
「ではな」とニヤニヤ笑って万三郎はどこかへ飛び立って行った。
「此花」
楓が立ち上がってこちらに向かってくる。
「あんたなんか、その鬼とどっかへ行っちゃいなさいよ」
ビクリと此花の肩が動いた。 そっと顔をあげる。
「おい、楓!此花の力を見ただろう!?
あれほどの能力は我らにはかかせない」
「うるさいな。わたしがいればいいでしょう? ほかにも治せる者はいるし」
「…行きなよ。今更仲間ヅラなんてしない。どこか遠くで、幸せになっちゃえ!」
「楓さん…」思いもしない言葉だった。
だが確かに楓の精一杯の優しさだ。
「人間はアヤカシと同じように年は取らないけど、
此花の方がはるかに早く死ぬけど、その鬼がそれを百も承知で
最期まで共にあると約束するなら、行きなよ」
「久遠にそうすると約束しよう」
「約束を違えたら、お前を討ちに行く。たとえ何代に渡っても」
楓は「ほら、撤収」と、仲間をせかして山を下って行った。
「勇ましい人だね。さすが末裔だ」
「本当に?本当にわたしは霧島と共に行ってもいいの?」
「そうしたい。攫っても連れて帰りたい」
「霧島よりも先に、シワシワのおばあちゃんになるわ」
「きっと可愛らしいおばあちゃんになる」
此花は何年か経って、もしも霧島の気持ちが変わったとしても共に行こうと決め
霧島の胸に顏をうずめた。
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